30
一旦休憩……。
リラックス効果のハーブティー。
皆、放心状態だったが、次第に正気を取り戻すと瞳がキラキラ?
いや、ギラギラと光を放ち始めている、怖い……。
ソフィアはビビたちにコソコソと尋ねる。
「映像は私の記憶に残ってることしか出てこないの?」
ビ 『サラが見たことある場所なら出てくるんだ。補正機能で、その場所の細かいところは正確に映されるよ。』
「じゃあ、サラが目にした全てが見れる?!」
ト 『ん~っ、ソフィアがその場所を思い出せれば、かな。』
なるほど……。私が思い出せる場所については、補正機能?とやらで正確に前世の映像が映し出せる。
ということは、……。映し出された映像から私が学んでない事柄についても、読み取れる可能性がある?!!
「場所さえ思い出せれば、映像がでるのね!!?」
ポ 『簡単に言えばね!
記憶が鮮明な場所の方が、映像もより詳しいものになるよ!!』
!!っこれって、
もしかしたら陛下やお父様たちのお仕事に役立つかもしれない。
例えば治水……堤防・護岸・ダム・灌漑などだろうか……サラは詳しくない分野だか、場所の記憶はある。
この世界の治水事業自体も分からないが、お父様たちが見れば役に立つかもしれないのだ。
やったわ!!嬉しい!
健康になるためにを目標のようにしてきたが、生活に根付いたところにも広げていける魔力かもしれない。
ソフィアまでもが、瞳を光らせ始める。
シロが不安そうに、皆の顔を覗いて回っていた。
皆で軽めの昼食をとり、考えをまとめることにした。
それぞれが知りたい事だらけなのだ。
皆の目力が凄い……。
……、……、……。
「ソ、ソフィア。」
「陛下、何でしょう?」
「先程の光景は学校と言ったな?
皆、選ばれた子供たちなのか?」
「いいえ。私の生まれた国では、
国や保護者が、義務教育を受けさせなければならないのです。
6歳から12歳までの6年間を小学校。その後3年間、15歳までが中学校です。
こちらの世界に当てはめれば、皆、平民ですし、義務教育は無償です。」
……。
「国民全てが、あのように教育を受けるというのか?」
「そうです。教育機関でいえば、その後3年間が高等学校。大学とありますが、自分の学びたい分野に進んでいけます。
技術を身につける学校もありますし、進学ではなく、就職する者もいます。社会にでる時期は様々になりますね。」
……、……。
「ソフィは映像に出ていたことが、全て出来るのか?」
兄はソフィアの手を握りしめながら、緊張の面持ちで聞いた。
「??はい。上手い下手はあるかもしれませんが、全て習ったことです。
あっ、でも水泳は得意なんですよ!
前世でも身体が弱かったので、医者の勧めもあり水泳教室に通いました。
免疫力がつく、心肺機能の強化、全身運動、
怪我をするリスクが少ないと言われていたので!!」
ソフィアは自慢げに答えたのだが、
兄はソフィアを抱き上げ、強く抱きしめてしまった。
?、?……。
「危ないだろう!!」
危ない?……あぁ、この世界では戦時の訓練のために泳ぐ、というイメージなのかもしれない……。
「お兄様、落ち着いてください。前世では、プールという安全管理をされたところで、練習をするのです。危ないから泳がないと言う人は誰もいません。」
「……。」
「お兄様、私はいつかこの国にもプールを創りたいと思っていたのです。
怪我した後のリハビリにもいいのですよ。
夏には毎年、水泳大会がありました。記録を伸ばせた時はとても嬉しかったですわ。
記録といえば運動会も!
私は病弱でしたが、運動神経はよかったのです。走るのも速かったですし、球技……、
あのボールを使ったものです、も得意でした!!」
皆は、ソフィアが映像にあったことをしている姿が想像できないらしい。
まぁ、そうだろうなぁ……。
「何か見たいもの、知りたい場所はないですか?」ソフィアは改めて聞いてみた。
「そうだなぁ。農業や工場の現場。医療、林業、公共事業の内容、冬場の過ごし方……あぁ、あとは……。」
「アレク……、無理だろう!考えをまとめろ!ソフィアがパンクしてしまう。」
お父様が止めてくれた。
「陛下。治水はいかがですか?先程、社会科見学でダムに行ったことを思い出しました。そうですね、あとは工場現場なら今日、お見せ出来ます。」
ソフィアも先程、聞いた仕組みだ。思い出すにも時間が欲しい。
「治水か?いいな。そうしよう!!」
よかった。今日はそれで許してもらおう。
「私たちはやっぱりファッションかしらね、リリー!」
「そうね!このシーズン最後の舞踏会で何かお披露目したいわ!」
う~ん。ドレスを着て歩いている人はいないが……美容室、化粧品、ネイル、あとは着物かな、やっぱり。
お兄様たちに目をやると
「「「運動会!水泳大会!!」」」
はい。さっきボールと言ってしまいましたしね……。
午後は上映会となった。
異世界を知ってもらう為には最高だろう。
広い場所の方が良いだろうと、別館で一番広い部屋に学校か?と思うように机と椅子が並べられた。皆、ノートと鉛筆を持ってやる気をみせている。……、うん、私も頑張ろう……。
まずはダム。放水されている映像はなかなかの迫力で、お兄様たちも喜んでいた。
社会科見学で行ったダムには、仕組みや役割についての解説と、模型が展示されている資料館があった。やった!補正機能でしっかり見れる!……助かります!!
……しかし、表記は日本語だ……。
ソフィアも急いでメモすることになった……。仕方ない。
堤防や橋の映像もじっくり見て、工事現場に。ソフィアが理解したいと見つめる時に、映像は止まってくれた!優秀!
近所に建てていた、高層マンションの工事現場。
大きなクレーンなどの重機に興味津々のようでなかなか見終わらなかった。
次は友達の結婚式の映像にした。
ドレスや着物も見れるし、ヘアメイクやネイルの様子も映し出された。
化粧品売り場の映像も。あまりにも数が多くカラフルなせいか、王妃様とお母様、ステラまでもが歓声をあげた。
ここもなかなかOKが出ず、すごい速さでメモをとっていた。
最後は運動会。
悩んだが、中学校のものにした。サラの中学校は四軍に別れて行われた。
青・緑・黄・桃の四軍だ。個人競技から団体競技、最後はリレーと映像の中同様に盛り上がりながら楽しんでいた。
球技大会、こちらはクラス対抗。サッカー、バスケットボール、バレーボール、卓球、野球……。もうソフィア的にはお腹いっぱい……。
最後に水泳大会。個人競技から最後のリレーまで皆、盛り上がっていた。
全競技全てではなかったが、充分楽しんでもらえたようだ。
ソフィアは最後にと花火大会を映し出す。
夏には全国各地で行われたが、子供から大人まで夜空を見上げる光景が懐かしい。
皆の笑顔と瞳に映る花火、日本の夏を思い出す。
怒涛の上映会。皆は興奮冷めやらぬようで盛り上がっている。
すると、トテトテトテとシロがやってきてソフィアの頭を撫でてくれた。
『『『お疲れ~!』』』ビビたちも労ってくれる。
ソフィアはやっとひと息ついた。