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「ベン。今日はソフィアが魔法省にきているのだったな?」

「はい。リリーが一緒に登城しました。」

「今は王妃とお茶会だろう?ソフィアが寂しがっているやもしれん。様子を見に行こう!」陛下が立ち上がる。


今日は国王も宰相も珍しく会食が入っておらず、軽めに昼食を終えた二人はのんびり紅茶を飲んでいた。


ベンフォーレはアレクサンダーを軽く睨んだが、ベンフォーレとて娘が心配なのは間違いなく「少しの時間にしてください。」と言うといそいそと魔法省に繋がる扉へと急いだ。

国王の執務室にも魔法省に繋がる扉がある。

鍵も国王と宰相という立場上、持っている二人だ。二人の鍵は指輪。

嬉しそうに向かう二人だった。





魔法省の今日の昼食は鶏肉のソテーだった。パンとサラダ、野菜スープのセット。

やっぱりもう、準備は終わってるわね。美味しそうな香りが食堂に広がっている。

忙しいピークを避けて、料理長に挨拶をしたソフィアは、厨房スタッフ用の昼食を任せてもらえないかと頼んだ。


「差し入れにお持ちした調味料があるのです。よろしければ、スタッフ分の鶏肉を使って料理させていただきたいです。」

料理長は子供のソフィアを心配したような顔だったが、公爵家でも料理はしてるし、侍女もおりますからと説明すれば

「楽しみにしております。」と任せてくれた。

急いでご飯を炊いて、鶏肉は唐揚げにする。

ご飯は味噌と醤油の焼きおにぎり、鶏肉は塩麹を使って唐揚げにする。

サラダと野菜スープはそのまま使わせてもらおうとプレートにおにぎり、唐揚げ、サラダを盛り付ける。

普段使わない調味料の香りに惹かれたのか、皆、興味津々だ。

ジル様とルイも一緒に食べようと待機していた。


職員たちの食事が終わって、空いた食堂に料理長始め、厨房スタッフ。ジル様とルイ。ソフィアとステラが席に着いた。

「ソフィア様が珍しい調味料を使って、作ってくださった貴重な料理だ。皆、有難く頂戴するように。」料理長が言うと

「「「「「いただきます!!」」」」」と

待ちかねたように昼食が始まった。

熱々の唐揚げ、香ばしい焼きおにぎりは、初めて食べるものだと揃って喜んでくれた。

味はこの世界の人達にも好ましいものらしい。

良かったわ。定食屋でのメニューにしても大丈夫みたいだ。

ジル様とルイも黙々と食べている。嬉しい。


と……「いい香りだな。」食堂の入口から聞き覚えのある声がする。

ん――っと、来たの?と思って振り向くと……やっぱり、陛下。とお父様が一緒に立っていた。

皆、突然の国王と宰相の登場に慌てて礼をとろうとしていたが

「よい、よい。それより、私たちにも同じものをくれ。」と皆を止めた。

「陛下、お父様。ご機嫌麗しゅうございます。昼食はまだお済みでないのですか?」

ソフィアが顔を傾げて聞くと

「ソフィア~!今日も可愛いな!!お昼はベンと軽く食べたが、あまりにも私たちが誘われる香りだからな。」

「焼きおにぎりと唐揚げは私が作ったのですが、お味見いただけますか?」

「ソフィアが!!それをくれ!

先日、アルベルトとエドモンドに散々自慢されたのだ。自分たちにだけ特別にソフィアが料理してくれたと……。」特別に?いやいや……二人とも……。苦笑いしながらも、

「では、ご準備しますね。」と応えた。


急遽、ソフィアを挟んで両脇に席が整えられる。陛下もお父様もニコニコしながら食べている。王城で働く者にとっては、貴重な光景に違いない。

「いかがでしょうか。」

「美味しいな。味も香りも食欲をそそる。先程、昼食を食べたのに手が止まらないほどだ。」

「ありがとうございます。」

「ソフィア、これはサチヨの店の調味料を持って来たのか?」

「はい、お父様。今日の差し入れにと。唐揚げに使っている塩麹は改良したものですわ。」お父様は美味しいよと頭を撫でてくれた。ふふ、嬉しい。



陛下は食後、ソフィアを膝に乗せてのんびりお茶し始めたが、「陛下!業務が溜まってます!!」とお父様に連れられて行った。

ソフィアも持って来た調味料の数々を料理長に手渡し、使い方のメモも添えた。



時間もだいぶ経っていたので、今日は一箇所だけと、魔法で薬剤を作っているという部屋に案内された。

ジル様によると、以前より薬草からとれる薬成分が減っているという。

ソフィアは言われた薬の成分を創生の魔法で調べてみる……う~ん。この薬草からなら、やはりもっと薬が取り出せそうだ。抽出方法の改良が必要かもしれないと、ジル様と話をした。

それに……薬草自体の出来も問題かもしれない。お母様に植物が良く育つ土を作ってもらって、成分を調査しよう。

そんなことを話し合い、メモをとりつつ今日は終了となった。



ビビたちを呼んで、お母様の待つ城の部屋の前まで行く。送ってくれたジル様とルイに挨拶をしていると、

ビ 『あ―、ジル!魔法省の建物、防御魔法強くしといたよ!!』

ト 『三箇所ある魔法省への扉、幻影の魔法かけといた!』

ポ 『しっかりやっておいたから安心してね!またね~!!ジル!ルイ!!』

……、

幻影の魔法とは、悪意のある者には扉が見えないという効果があるらしい。

昼寝してたと思ったのに、いつの間に?!

そういえば、しれっとお昼は食べてたし、守護する者としてやるべき事はしっかりやってくれてる……素晴らしい!!ありがとう!!

ビビ!トット!ポポ!!


ジル様とルイも気付いていなかったらしく、深々と頭を下げてお礼を言った。



お母様と合流すると、お疲れ様、まずは一息つきなさいと紅茶とお菓子を出された。

王妃様も一緒にニコニコと迎えてくれた。

紅茶を頂いて、ホッとしたところで

「ソフィア。実はお願いがあるの。」

と王妃様がソフィアを見つめる。

既に我が物顔のビビは王妃様の膝に乗って、撫でられていた。

「はい。何でしょう。」

「最近リリーったら、自分だけツルツルピカピカお肌になったでしょう?」

?、?お母様は元々お綺麗だが、最近はソフィア配合による化粧品で確かに磨きがかかったようだ。あぁ、なるほど。

「お化粧品ですか?」

「そう!聞けば、ソフィアがリリー専用に配合してるって……。」

「個々によって、肌質は違いますからね。専用の物の方が効果が出ます。王妃様にもぜひ創らせてください!」

「まぁ、ソフィア!!相変わらずいい子ねぇ!お願いするわ!!」


ソフィアはステラが持っていた鞄からファイルを出し、王妃様用のカルテを作り始めた。

お顔はバッチリ化粧されていたので、手などを触れさせてもらい、気になる点も聞いていく。まとめた結果から化粧品を創って王妃様にお届けすると約束する。

うふふと嬉しそうに王妃様は微笑んでいた。





今日は長い一日だったわ……

ソフィアはその日ビビたちをお腹に乗せ、ぐっすり深い眠りについた。







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