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登城の翌日は疲れてぐったりした。

発熱はしなかったが、予防のためにも自室でゆっくりするように言われ、ソフィアは大人しく従った。


今後の予定を考えて過ごし、まずは豆腐を創ることにする。サチヨの店に豆腐はなかった。タンパク質やカルシウム豊富な豆腐をぜひ食べたい!豆乳やオカラもできる。

にがりがあるのか?とも思ったが、塩があるからあるだろうと料理長に聞いたら、やっぱりあった。

明日、厨房でスタッフと作ることにした。



昨日の帰り際、王子たちからボールが欲しいと言われた。予想どおり…あれだけ夢中で遊んでいたからね。

もう少し耐久性を持たせた完成品をお渡しすることにした。

すると今度は陛下が、騎士団の訓練にも使えそうだな?と言い出した。

うん?騎士団に?

体力増進?筋力強化?チームプレーで協調性?

う~ん、サッカー、バレーボール、野球ぐらいだろうか……バスケットボールだと今のボールからかなり改良が必要かも……

などと考えて……「検討させてほしい。」とお応えした。


考え出すとやりたい事がどんどん増えるわね……でも、一つ一つ確実に完成させなければ!!

まずは明日の豆腐だわ!そう決めて考えるのを止め、ステラにお茶を頼んだ。




厨房でまずは見本用にとソフィアが豆腐、豆乳、オカラを創生の魔法で創ってみせた。

厨房には料理長はじめ、スタッフたちが揃っていた。

皆、手元にはノートと鉛筆を持っている。

公爵家ではメモには鉛筆が定着していた。

次は作り方を説明する。大豆は水に浸して、準備してもらってある。

手際のよいスタッフたちによってスムーズに作業が進んだ。皆、新しい物とあって楽しんでいる。

せっかくだから料理に使ってみることにした。麻婆豆腐、豆腐の味噌汁、豆腐のハンバーグ、おからは煮物に。豆乳はバナナジュースに使った。

皆でお昼に食べ、概ね好評だった。

最近公爵家では、サチヨの店からの仕入れを増やし、ソフィアのレシピで日本食が混ざるようになっている。

使用人の中には、胃腸の調子がよくなったと喜んでくれる者もでているようだ。



これもサチヨの店あってのことよね。一度ご挨拶に伺いたい。そうだわ!それなら……以前から考えていた計画も!!お父様に相談してみましょう!ソフィアは一人ワクワクしながら、父の帰宅を待ったのだった。




夕食までにお父様は帰って来た。両親と兄と揃って夕食をいただく。

食後にゆったりと紅茶を飲み始めたので、ソフィアは切り出した。

「お父様、やりたい事があるのです。」

「おや、何かな?お父様に教えておくれ。」

「はい。私、色々とお料理をしておりますが、それはサチヨの店があったからこそ叶えられた部分がとても大きいのです。

ですから、サチヨの店の店主様にはとても感謝しております。」

「そうか。私からもお礼を伝えねばならないな。」

「それで店主様がよろしければ、一緒に定食屋をやってみたいのです!!」

「うんん?……定食屋とはどういうものかな?」


ソフィアは定食屋のメニューとして考えた料理の事や営業時間、対象にしたい客層や料金の設定まで説明した。


「なるほど。随分と詳細まで考えたものだな……。創生の魔法に関わることは魔法省や陛下にも報告せねばならない。そこは私がやっておこう。」

「エッ!お父様!!定食屋をやることを許可してくださるのですか?」

「ああ。もちろん。ソフィアがやってみたいことなのだろう?」

お父様の隣りに座っているお母様も微笑んでいた。

やった!お許し頂けたわ―!!嬉しい!!


ソフィアは大喜びだが……

「店の経営については、どうするつもりだ?」お父様の声に我に返った。


「それについてですが……、サチヨの店の姉妹店にしてほしいと店主様にお願いしたいのです。ですから、出資をお父様にお願いし、経営を店主様……勿論、店主様が了承されればですが……。」

ソフィアは紅茶を一口飲んで続ける。

「サチヨの店についてローレンに調べてもらいました。

店主様も言っていたとおり、代々受け継ぐ製法で家族で繋いできたお店のようですが、国内での認知度は低く、輸出や古くからの得意先によって経営を守っているようです。

今の店主様は真面目で、奥様と二人で製造から販売まで行っています。」

ローレンが調べた内容を報告書にまとめていた。

「私が仕入れさせて貰っている物は手間暇がかかる物ばかりです。正直、創生の魔法を使わずに、二人で作っているのが信じられないくらいの物です。ですから、今後の私の仕入れの為にも、もちろん今までの感謝の為にも協力もしたいですし、経営も拡大できるようにしたいのです。」

「なるほどな。その為にも認知度が必要という訳か。」

「そうです。製造能力も拡充させて、販路も広げ認知度も上げたいです。」

だが、創生の魔法について今はまだ知られることは許されない。

あくまでソフィアが仕入れさせて貰った物の感謝として出資を申し出る。

調味料などの認知度を上げる為に定食屋を開店させる。その為に必要なことはソフィアを始め、公爵家が全面的に協力するということだ。

そのためには、様々な契約も必要になるし何よりお金がかかる。


本当にいいのだろうかとお父様をじっと見つめる。

「ソフィア。創生の魔法という稀なる力を得て、お前は皆の為にとよくやっている。まだまだ幼いのに……。不安もあるだろうに、前世の記憶とやらも活かして既に多くの利益を出しているのだぞ!!」

「利益を……。」

「私は利益とはお金だけではないと思っている。皆はソフィアから、もう様々なものも幸せも貰っているからな。」

「そうよ、ソフィア。あなたからは新しい経験もたくさん貰っているわ。最近は貰い過ぎていてよ、うふふ。」

「ソフィアのやりたい事に出資するのは、我が家の幸せというものだ!!」


お父様!!お母様!!と感激していると、お兄様が横からぎゅっと抱きしめてくれた。

嬉しい!!やりたい事をやるための協力を家族が公爵家の皆がしてくれる!!幸せ!!



お父様はローレンに指示をして、まずはサチヨの店の店主夫妻に手紙を出すことになった。

そうだ!まずは了承を得なければ何も始まらない……。





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