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公爵家談話室。

両親が三人掛けのソファに並んで座る。対面にソフィア。兄はソフィアの隣に座りたかったらしいが(母にひと睨みされ)、

諦めて一人掛けの椅子をソフィアのなるべく近くまで運んで座る。父の後にはローレン。扉の近くには

バルト、そして紅茶を淹れ終えたステラが控えた。



「ソフィア、大丈夫?私たちは家族なのだから、何時でもあなたの味方よ。困ったことでも悩みでも心配ごとでも、何でも力になるわ。安心して話してちょうだい。」

お母様の言葉でソフィアは力が入っていた体が少し楽になった。

「はい。ではまず私の魔力の属性についてお話させてください。私の魔力が……創生であることがわかりました。」

ガタッ…。父と兄は腰を上げた。

母は目を見開いたが、直ぐに戻しソフィアを安心させるように頷いた。

ローレン、バルトは一瞬体が硬直するように固まったが、こちらも直ぐに戻った。

ステラは口元に手を当て心配そうにソフィアを見ている。


「どうしてわかったの?」母が言葉を続けたので父と兄も腰を落ち着け直した。

「実際はまだ創生の魔法は使ったことがありません。ですが、創生の魔法を使う者を守護する者たちと出逢いました。」

「三人の守護者か!!?」父が言う。

「はい。200年前から公爵家の森にある創生の泉の守り人だったそうです。」

「森に創生の泉が??」兄が驚いている。

「人間には辿り着けないのだそうです。その泉で私のことをずっと見守ってくれていたの

です。この世界に生まれる前から…」


ガタガタ、ガタッ……。

今度は全員が音を立てて驚いている。

一番近くに居た兄はソフィアをぎゅっと抱きしめていた。

転生という考えがないこの世界で理解するのは難しいのかもしれない。

皆に深呼吸を促し、少し間をとってソフィアはゆっくり話し出した。


幼い頃から熱を出す度にサラという、こことは別の世界で生活している人の夢を見ていたこと。

何度も見る夢が自分が経験したものだと感じるようになったこと。

ここ最近は頻繁に夢を見ていて、誕生日の前日に見た夢でサラがやはり自分であることが理解できたこと。そして、守護する者たちと出逢ったこと……。


両親は創生の魔法と守護する者の存在を知っていたのか、神妙な表情で理解しようとしてくれているようだった。

兄はソフィアに抱きついたまま少し震えるようにしている。妹が危険な状態なのかと怯えているようだ。

ローレンも両親と同様に静かにソフィアを見つめている。きっとローレンも創生の魔法の知識があるのだろう。

バルトとステラはお互い少し近づき並んで平静に努めようとしていた。


皆がソフィアを心配しているのは充分伝わってきたので、

「私は大丈夫です。守護者たちもいてくれるし、創生の魔法についてはこれから学んでいきます。

私の認識では前世はこことは違う世界、異世界でサラとして生きていて、その世界はここよりも進化していました。

創生の泉の守り人のおかげでこの世界にソフィアとして生まれ変わり、前世の記憶を取り戻したのです。

これからは創生の魔法を使いこなし、サラの知識も活かしてどんどん健康になっていきたいのです。それが今の私の目指すところです!!!」

最後は力が入って、拳を握っていた。


張り詰めた部屋の空気がソフィアの勢いでフッと緩む。

両親はぬるくなった紅茶で一度口を潤した。それを見た兄も席に戻り、紅茶を口にして深呼吸をしている。


ソフィアはその様子を見てよしっ!と居住まいを正し、一気に勢いづく。


「それでは、創生の泉の守り人。そして創生の魔法を使う者を守護する者たちを紹介します!!」と言ったところで、

両親とローレンが再び慌てだした。??

「待て、ソフィア!!」と父が叫んだが、


「ビビ!トット!ポポ!」ソフィアが呼ぶ声が先だった。



空中に光が瞬いて三人が現れる。

三人並んでソフィアの横にゆっくりと降り、ソファに着地した。

?いつもより大人しい??


『『『我らが、創生の泉の守り人。そして、創生の魔法を使うソフィアを守護する者である。』』』

ソフィア以外は皆、一度仰け反ったが……キョトンとして三人を凝視しだした。口は若干開き気味だ。


一番先に我に戻ったのは父だった。(流石、宰相!!とソフィアは思う。)


「お初にお目にかかります。私はソフィアの父、ルルヴィーシュ公爵家当主ベンフォーレにございます。こちらが妻、 リリアンヌ。長男のシリウス。後ろに控えるのが執事のローレン。側に仕えるのがバルト、ステラでございます。」

皆それぞれ動揺を隠しつつ慇懃に挨拶した。


ビ 『うむ。我らはそなたたちのことは知っておる。』

ト 『昔からいつもみておるからの。』

ポ 『楽にするとよい。』


??ビビたちの様子がおかしいというか…ちょっと笑える…。


ビ 『今日はソフィアから頼まれたのでこの場に来た。』

ト 『遠慮なく問いたいことがある者は申し出よ。』

ポ 『我らに知らぬ事はないからな。うむ。』


ソフィアは笑いそうになり、下を向いて必死に耐え始めた。

何それ?話し方どうした!?

笑いを堪えて、ブルブルしそうになった…

すると隣の三人も震えているのに気づく!!?

四人は一斉に吹き出した。

「『『『アッハッハッハッ!うふふ、ふふっ!!』』』」

笑いが止まらない。

何それ、アハハッ。

話し方いつもと全然違うぅ~。

うふふ、守護者っぽく言えたでしょ?!!

何、敢えてなの!?すごーい!!

などと四人で騒いでいると、周りのポカンとした様子が目に入った…。

しまった…とソフィアは三人を落ち着かせて改めて、こちらが

『ビビです!』

『トットです!』

『ポポです!』

『『『よろしくおねがいします。』』』と

挨拶を終えた。


後に訊いたところによると国の伝記による「創生の魔法を使う者を守護する者」の記載には通常の1.5倍の馬や牛、熊、虎、中にはドラゴン等があるらしい……うん、うちの子たちが一番可愛い。



ステラに紅茶を淹れなおしてもらい、お茶菓子も出してもらった。

父の声がけで全員着席し、紅茶と準備された焼き菓子を口にして平静さを取り戻した。

ビビたちは嬉しそうに次々とお菓子を食べている。

「ビビ様。ソフィアが創生の魔法を使えるとのことですが、その…」歯切れ悪く父が言う。

ビ 『そうだよ。もう前世の記憶、あぁ、サラの時の知識ね…それも思い出したみたいだから材料さえあれば、今のソフィアの魔力量でも創れる物はいっぱいあるよ。

あと、呼び方はビビでいいよ。トットとポポもいいよね?』

ト・ポ 『『いいよー!!』』

「わかりました。それで、ソフィアが願う物を創り出して問題ないと…。」

ト 『そうだね。ソフィア何を創りたいの?』

「考えてるのはいくつかあるんだけど、先ずは材料を準備しないといけないわ。」

ポ 『それ大事だねぇー。間違えると創れない。』

うんうんとソフィアは頷き、両親に向き直る。

「お父様、お母様。ビビたちの言うとおり材料の準備からしたいと思うのです。そのため、自分の目でこの世界に流通している物を調査させてください。」

「調査というと?」父が言う。

「はい。王都の街に出て、必要な物、使える物を探したいのです。」

『『『行く行くー!!一緒に行きた―い!!』』』

ソフィアたちは前のめりだが、父とローレンが渋い顔をした。危ないだろうと考えているらしい。

「街を見て回るにはかなり歩かないとならない。いくら近くまで馬車で行っても、ソフィアの体力では難しいのではないか?」

確かにそれはそうなのだが、何が売られているか知らなければ始まらない。

「私がソフィアを抱いて回ります。」兄が突然言い出す。いやいや、お兄様。いくら年上とはいえ、まだ10歳。5歳の妹を抱いて街を回るのは無理ではなかろうか…

「少しの間歩くのならいざ知らず、街歩きをするのは無理ではなくて。」母が言った。

当然だと思う。悔しそうな顔をした兄だったが、直ぐに顔を上げ「ならば、ソフィアが疲れる頃にバルトに抱いて歩いてもらいます。」と言った。

兄はソフィアのやりたいことを応援すると既に決めたらしい。嬉しいことだ。もっと過保護に心配するかと思いきや、自室に篭もることの多い妹に外の世界を見せてやりたいと思ってくれていた。

バルトはステラと同じ17歳。護衛として身体を鍛えているので、しっかりとした体つきで身長も高い。

シリウスとソフィアで両親を見つめると、両親は不安な顔をしつつも頷いてくれた。



街の調査は明後日。ソフィアとシリウス、ステラとバルト。そしてビビ、トット、ポポで出掛けることになった。

ビビたちは私たち強いから大丈夫~!!と張り切って叫んでいた。











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