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評判最悪男、魔女になる  作者: 出雲大吉
さらにおまけ!

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213/217

ラスボスはデュラハンでもショウコでもない


 今は春休みである。

 この春休みはほぼ学校に行っていた。


 何故なら、補習だから!

 ダンジョン消滅の危機を救った英雄に待っていた報酬は補習である!


「まーじでムカつく! 東京本部のダンジョンがなくなったら学園も消滅だぜ? それを救った俺達への配慮ってもんがねーのかよ!」


 俺は憤慨している。

 この春休みはずっと憤慨している。


「まあ、それはそれ、これはこれだろ。学校はお前らの将来の為の教育機関なんだからしゃーない」


 愚痴る俺にシロが慰めにならない正論を言ってきた。


「知ってる? 俺はそういうきれいごととか正論が嫌いなの!」

「知ってる」


 あーあ、めんど!

 明日も学校だぞ!


「なんで春休みの日曜にこんな憂鬱になるのかねー」

「まあ、土日は休みなんだからいいじゃん」


 これで土日も学校だったら教育委員会に殴り込みだわ。


「今何時?」


 俺は現在、服を着替えている最中である。

 今日は日曜日の休みため、遊びに行く予定なのだ。


 なお、遊ぶ相手はシズルではない。

 シズルは昨日から静岡の実家に帰っている。

 だから今日は違う相手と遊ぶ予定である。


「9時だなー。まだ時間はあるぞ」


 待ち合わせ時間は10時である。

 そして、この家に迎えに来る手はずになっているため、余裕はありそうだ。


「しかし、お前、彼女がいない間に違う女を家に連れ込むんだな」

「言葉にすると、俺、最低だな」

「まあ、恋愛感情はないだろうけど、なかなかひどいなーと思って」


 まあ、一般的にはそうかもしれない。

 でも、世間一般と大きく違うのは俺が女ということだ。


「別にあんなロリ2人に情欲も沸かねーわ。というか、今日、あいつらが来ることはシズルも知ってるし」


 もっと言えば、あいつらが家に来るのも初めてではない。

 俺の家は学校や寮からも近いし、学校終わりにたむろっていることもよくある。


「どっか行くん?」

「知らね。家で駄弁ってるか、買い物か、カラオケじゃね? あいつら、それしかしねーし」


 昨日の夜、アヤとマヤから交互にメッセで連絡が来たのだ。


『…………明日暇?』

『…………遊ぼ』


 あいつら、メッセでもこの調子だからめんどくさい。

 あいつらが家で息を合わせてメッセを送っているところを想像すると、ちょっと面白いけど。


「他にやることねーの?」

「ねーな。ダンジョンに行く気にはなれんし」


 この前までダンジョン漬けだったので、当分は行く気になれない。

 まあ、そもそもアヤとマヤがダンジョンに行きたがるとは思えないけどね。


 俺は服を着替え終えると、コーヒーを淹れにキッチンに向かう。


 ピンポーン!


 俺がコーヒーを淹れようと準備をしていると、玄関のチャイムが鳴った。


「もう来たのか?」

「早くね?」


 まだ約束の時間まで1時間弱ある。

 遅刻魔のあいつらが時間より早く来ることなんてありえないし、訪問販売かなんかかね?


「よーし、腹いせにイジメてやろ」


 訪問販売だろうが宗教の勧誘だろうが、俺様の前にはサンドバックなのだ。


「警察じゃね?」

「何もしてねーよ!」


 俺はいわれもない疑いをかけるシロにぷんすかと怒ると、玄関に行き、ドアを開いた。


「やあ! ただいま!」


 俺はすぐにドアを閉めた――――と思ったら足を入れられ、阻止された。


 俺は無言で挟まっている足ごと扉を力づくで閉めようとする。


「いたたた! 痛いから! やめろ!!」

「帰れ!」

「なんだよー。せっかくアメリカから帰ってきたからお土産を渡そうと思ったのにー」


 俺の家に来たのはロリ姉妹でもなければ訪問販売でもない。

 アメリカで問題を起こし、この前のダンジョン攻略に参加しなかったクレイジーサイコレズであった。




 ◆◇◆




「で? 何の用?」


 俺は玄関で粘るユリコに折れ、家に招いた。

 念のため、携帯はワンプッシュで本部長にかけれるように持ったままだ。


「いや、アメリカから帰ってきたから知り合いにお土産を配ってるところなんだよ。はいこれ」


 ユリコはそう言って包装紙にくるまれた箱を渡してきた。


「どうも」


 俺はその箱を受け取ると、包装紙を破き、中身を確認する。

 箱の中身はチョコだった。


「お前、この前のオーストラリア土産もチョコじゃなかったか?」


 空港で買ったとか言っていたやつ。


「いやさー、私もアメリカっぽいもんを買おうと思ったけど、浮かばなかったんだよ。ハンバーガーか?」


 まあ、そのイメージはあるけど、お土産にハンバーガーはないわな。


「言われてみれば、定番がわからんな」

「だろ。だからそれ。空港で買ったチョコ」


 こいつ、空港で買ってばっかだな。


「あんがとさん。コーヒーでも淹れるわ」


 というか、準備してる途中だったわ。


「お前は座っとけ。私が淹れてやる」


 何故に客が淹れるんだ?

 不審すぎるわ。


「言っておくが、俺は薬品鑑定のスキルがあるから薬を盛ってもわかるぞ」

「チッ! 私はブラックでいいぞー」


 ユリコは舌打ちをすると、床に仰向けで倒れ込んだ。


 こいつはホンマ…………


 俺はキッチンに向かうと、棚からもう一つのコップも取り出し、コーヒーを淹れる。

 そして、2つのコーヒーを持ち、部屋に戻った。


「お前、何してんの?」


 ユリコはさっきまでテーブルの前にいたのに、今は何故か俺のベッドで横になっていた。


「眠い。時差ボケだわー」


 ユリコはうつ伏せで突っ伏したまま、くぐもった声で答える。


「帰って寝ろよ」

「一緒に寝ようぜー」


 死ね!


「コーヒーをぶっかけてやるからそこをどけ! 洗濯がめんどくなるからな」

「ヤラせてくれたらヤラせてやるぞー」


 もうこいつが何を言ってるのかすらわからん。


「意味わからんわ……」


 俺は2つのコーヒーをテーブルに置き、座った。


「いや、お前は男として女とやりたいわけだろ? 私を抱いてもいいからその後、女に戻れ。私が抱く。ウィンウィンだろ?」


 狂ってるわ…………


「人の幸せをぶち壊そうとすんなや。そういうのは俺が女になる前に言え」


 中学の時だったら喜んで抱いてやったわ。

 ユリコはスタイルもいいし、見た目もいいから去年の俺だったら速攻で食いついただろうね。


「それだと私にメリットないじゃん」


 でしょうねー。


「お前、男もイケんの?」


 レズじゃなくてバイだったの?


「さあ? 男とやったことないし、興味ない」

「俺とデキんの?」

「どうでもいいなー。マジで男は興味ないから勝手に腰振ってろ。私はその後の楽しみを妄想しとくから」


 こいつ、マジで壊れてんな。

 そこまでするか?

 貞操観念のかけらもねーじゃん。

 さすがはクレイジーサイコレズ…………


「とにかくやんねーから。アメリカに行ったんだろ? 例のあいつは? 駅で会ったヤツ」


 マリリンの生まれ変わりだったかな?


「あー、マリリンね」


 あ、本当にマリリンなんだ。


「抱いたん?」

「うん。楽勝だったわ。他にも遊んでたんだけどねー。ダンジョン内でヤッたのがまずかったわ。捕まっちゃった」


 ばーか!

 ホント、ばーか!


「本部長がキレてたぜ」

「あー、昨日、めっちゃ怒られたわ」


 ユリコはベッドに横たわったまま笑う。


「お前、いい加減にクビか?」

「んなわけねーじゃん。私がどれだけ協会に貢献してきたと思ってんだ」


 そうなの?


「お前、何もしてねーじゃん」


 いっつも肝心の時にいねーじゃん。


「以前もスタンピードを止めたし、お前は知らんだろうが、私はこれまでにピンチになった多くのパーティーを救ってるんだぞ」


 へー。


「それ、全員女だろ」

「うん」


 でしょうね!

 その後の展開も想像がつくわ!

 というか、お前のストーカースキルで弱そうなパーティーの跡をつけて、ピンチになるまで待っていただけだろ!


「こういうクズはさっさとクビにしろよなー」

「レッドだったお前は速攻でクビだな」


 俺はいいの!

 かわいいからね!


「アメリカはもういいのか?」

「指定の階層とやらをクリアしたからな」


 ホント、実力だけはあるな…………

 さすがはランク詐欺。


「お前、1人?」

「いや、ゴリゴリのマッチョ達と」

「ご愁傷様」


 俺だったら絶対に嫌だわ。


「楽しかったぞ。同性愛について語りつくした夜は忘れられんな」


 あー……

 そっちもゴリゴリなのね。

 瀬能でも送ってやれば良かったかな?


「もうちょっとアメリカで遊んでこいよ」

「終わったら速攻で追い出された。二度と来るなだってさ。向こうのお偉いさんに中指を立てられたわ」


 何をしたらそんなことをされるんだよ…………


「次はどこ行くん?」

「まだ決めてない。夏には北欧に行こうかなと思ってるけど」


 人生を満喫してるなー。

 羨ましくもないけど。


「あっそ」

「お前さー、トランスバングルを手に入れたんだろ」


 ユリコが仰向けに体勢を変えながら聞いてくる。


「50階層を突破したからな」

「ちょっと、男に戻ってくんね?」


 はい?


「何で?」

「どんな感じなのか興味あるから男になって、女に戻ってみて」


 意味わからんな。

 あー、でも、≪教授≫も同じようなことを言ってたな。

 思い出すだけで腹立つ。


「めんどいから嫌だ」

「おっぱい触らせてやるから」

「うん」


 俺はトランスバングルを使い、男に戻る。


「こんな感じ」

「へー、思ったよりすぐなんだなー。じゃあ、女に戻って」


 俺は言われるがまま女になった。


「こんな感じ」

「ふむふむ。トランスバングルは制限がないんだよな?」

「だなー」


 そんなことよりおっぱい触ってもいいかな?


「お前、トランスリングも持ってただろ」

「うん…………おっぱい」

「勝手に触れ。トランスリングの制限は?」


 俺はベッドに横たわるユリコの元に行き、ベッドに腰かけた。


「大体2ヶ月に1回、100分ほどしか使えない」


 ユリコって結構あるなー。


「完全な劣化版なわけか…………お前、それいるか?」

「いらんね。トランスバングルがあるし」

「じゃあ、くれ」

「え? お前、男になんの?」


 そういう趣味があるとは…………


「いや、男に使わせれば、ウィンウィンになれるだろ」


 うぶな男に使わせて楽しむわけね。

 業の深い女だなー。


「なるほどー。でも、売れば高いんだよなー」


 シロがそう言ってたし。


「ヤラせてやるから」

「いや、俺、彼女持ちだぞ。浮気になっちゃうじゃん」


 ダメだよー。

 隠しても、どうせすぐにバレるし。


「さっきからずっとおっぱい揉んでおいて何を言ってんだ? っていうか、いつまで触るんだ?」


 時間制限はなかったから…………


「これはセーフ! 俺は女だし、スキンシップだよ」

「じゃあ、私がスキンシップしてもいいのか?」

「殺すぞ!」

「相変わらず、自己中だなー。じゃあ、いくらなら売ってくれる?」


 えー…………

 いくらぐらいかなー。

 シロさーん。


『5億って言っとけ』


 高くね?


『そいつは出すぞ』


 クレイジーサイコレズだもんね。


「5億」

「たっけぇ…………」

「そのぐらいするんだよ」


 多分ね。


「5億はちょっと持ってないな。まあいい。数年で貯めれるだろ。ちょっと待ってろ。絶対に売るんじゃないぞー」


 え?

 マジで5億も出すの?

 こいつ、バカじゃね?


「まあいいけど…………」

「よっしゃ。さーて、これからどうすっかなー。大阪に遠征すっかなー」

「大阪ねー。そういえば、あっちも存続したんだっけ」


 ≪教授≫が東京本部のロクロ迷宮を手伝わずに地元に援軍に行った。

 そして、無事に指定の階層に到達したらしい。


「≪教授≫が頑張ったらしいぞ。あんな真面目な≪教授≫を見たことない、だってさ」


 ふーん、まあ、あいつもランク詐欺の問題児だけど、研究がどうのこうの言ってたし、真面目にやったのかねー。


「お前、詳しいな」

「各地に馴染みの情報屋がいるからな。逐一情報は仕入れている」


 主に女の情報だろ。

 こいつ、俺やシズルだけじゃなくて、ちーちゃんやアカネちゃんも知ってたしなー。

 ホント、それのみで生きてんのな。


「大阪に行けよ。あの人がいるし。えーっと、名前を忘れた。ウチの先輩」


 誰だっけ?

 ユリコや男共に襲われまくった不運の人。


「サヤカちゃん」

「それそれ」


 高橋先輩だったかな……?


「うーん、あの子もいいんだけどなー…………サエコ」


 ユリコは悩んでいる。


「お前、本当にサエコの事が好きだなー。俺にはあいつのどこがいいかわからん」


 すぐに殴ってくるんだもん。

 暴力女は嫌。

 ショウコの方がいいわ。


「ガキのお前にはわからん」


 ユリコはドヤ顔で俺を見てきた。


「だったらこんな所で油売ってないで、サエコのところに行けよ」


 はよ帰れ。

 もうすぐアヤとマヤが来るからお前と会わせたくないんだよ。


「サエコというか、≪ヴァルキリーズ≫は忙しいみたいなんだよ。この前の後始末があるみたい」

「ふーん。大手クランは大変だねー」


 ≪ヴァルキリーズ≫が忙しいってことは≪正義の剣≫もかねー。

 まあ、頑張ってくれ。

 俺は補習を頑張るから。


「まあ、もう一度アタックしてから大阪に行くかなー」


 そうしろ、そうしろ!

 そして、二度と帰ってくんな!


「いいと思う」

「…………なあ、お前、いつまで触ってんだ?」

「いや、なんとなく…………」


 そこにおっぱいがあるから…………


「………………」

「………………」


 俺とユリコが無言になり、見つめ合う。

 すると、ユリコの目つきが変わった。


 俺はユリコの目が光ったような気がし、猛烈に嫌な予感がしてくる。


 マズい!


 俺はとっさにベッドから逃げようと思い、ベッドから転げ落ち、テーブルに置いてきた携帯を取ろうとする。

 しかし、携帯まで、あと少しというところで、前に進まなくなった。

 ユリコが俺の足を掴んでいるのだ。


「離せ!」

「まあまあ」


 俺は空いている足でユリコの顔面を蹴ろうと思った。

 だが、ユリコはそれを察知したようでもう片方の足も掴まれてしまった。


「離せー!」

「いいからこっちに来い」


 ユリコはものすごい力で俺の両足を引っ張り、ベッドに引きずり込んでいく。

 そして、ユリコは慣れた手つきで俺の両手と足を抑えた。


「離せー! 殺すぞ!」

「散々、おっぱいを触らせてやっただろ。ちょっとお釣りをもらうだけ」


 お釣りの方が高いわ!


「クソが! 舐めんな!」


 俺は全力を出し、ユリコの拘束を解こうとする。

 しかし、びくともしなかった。


「ぐぐぐ! 動かない!」

「お前は力が自慢だろうが、私も怪力のスキルはあるからな。そこにバフをかければ、後衛職のお前になら勝てるよ」


 いやいや!

 お前も後衛職のサポーターだろうが!


「ぐぬぬ! よし! わかった! お前にはロリ姉妹をやろう。それで見逃してくれ」


 残念だが、こうなった以上は我が身が一番だ。

 ロリ姉妹にはあとでジュースをおごってやろうじゃないか。


「うんうん。それも貰うわ」

「ひえー」


 助けてー。

 やだよー。


「大丈夫! 天井にシミを数えていれば終わる!」

「俺の家にシミなんかねーよ!」


 嫌じゃー!


 俺が必死に抵抗をしていると、部屋の扉が急に開いた。


「お姉様、やっほー!」

「今日は遅刻しなかったよ!」

「いや、チャイムも鳴らさずに勝手に入っていいのか?」


 俺が無断でやってきた来客を見ると、そこにはアヤとマヤと何故かいるハヤト君の姿があった。


 その3人は元気よくやってきたのだが、ベッドにいる俺とユリコを見て、すぐに固まった。

 ユリコと俺も動きが止まった。


「あわわ」

「ひえー」


 アヤとマヤはすぐに立ち直ると、ハヤト君の影に隠れてしまった。


「え? 安達さんと神条は何をしてんだ…………」


 俺が呆けていると、ユリコが動いた。

 ユリコは俺が無抵抗になった隙に手を俺の下半身に伸ばし、スカートをめくりあげ、手を突っ込んだ。

 そして、パンツの中まで侵入してきたのだ。


「おーい! どこ触ってんだよ!」

「ん? お前、生えてないのか?」

「剃ってんだよ! って、そんなことはどうでもいいわ! ハヤト君、助けてー! 犯されるー!!」

「お前だって、散々、おっぱいを触っただろうが!」

「うるせーわ、バカ!」


 こうなったら魔法でとっちめてやるわ!


 俺は髪の毛を操作し、ユリコの拘束にかかる。


「ふん! その魔法はマリリンに聞いてるわ!」


 ユリコは動き出した俺の髪の毛を掴むと、俺の首に巻き付け、絞める。


「ぐえー……苦しい……」

「ふはは。髪を操作すると、もっと苦しくなるぞ!」


 いや、それ以前に死にそうなんだけど…………


「あわわ、お姉様がー」

「ひええ、お姉様がー」


 双子は慌てふためている。


 どうでもいいから助けんかい!

 あ、ヤバい、マジで意識が飛びそう…………


「あ、安達さん! 神条の顔が青いんですけど!! ヤバいです!!」

「え? あ……悪い」


 ユリコはさすがにマズいと思ったのか手を放した。

 その瞬間、目の前がブラックアウトした。




 ◆◇◆




 俺が目を覚ますと、同じ顔をしたロリがのぞき込んでいた。


「あ、目を覚ました」

「あ、生き返った」


 勝手に殺すな。


 俺は上半身を起こすと、双子が俺を見上げてくる。


「ユリコは?」


 俺は首を触りながら状況を聞く。


「本部長に連行された」

「現行犯逮捕」


 本部長?

 なんで?


「俺っちが通報した。念力で携帯を操作したんだよ」


 シロがニョロニョロとやってくる。


 そうか……

 シロが全然、助けに来ねーなと思ったら通報してたのか…………


「あー、犯されるかと思った……」

「ほぼヤラれてたけどね」

「恐ろしい人」


 ホントだわ…………

 しかし、悪は去ったのだ。

 いやー、マジで危なかったな。

 あいつの何がそこまで本気にさせたんだろう。


『相棒がずっと胸を触ってたからスイッチが入ったんだろ。完全に肉食獣の目だった』


 クソ!

 罠だったのか!

 ハニトラに引っかかってしまった!


『いや、違くね?』


 うっせーわ!

 シズルには言うなよ!


『言えねーわ……』


 しかし、今、考えたらトランスバングルを使って、男に戻ればよかったんだ……





攻略のヒント


本部長「…………お前は何をしてるんだ?」

ユリコ「あいつが誘ってきたんだよ」

本部長「そうとは思えんが…………」

ユリコ「10分以上、ひたすら胸を触ってきたぞ」

本部長「……ただただ理解できん。一度、お前らの頭の中を覗いてみたいわ…………」


『とある会話』より

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― 新着の感想 ―
今まで人類の半分で収まってた?のにこれから人類全てが獲物になるのか…
[良い点] 一気読みしてしまいました とても面白く楽しい時間を過ごせました。 ありがとうございます [一言] クレイジーサイコレズとヤる機会を逃すとはなんと惜しい… 最初から最後まで面白い主人公でした…
[一言] >本部長「……ただただ理解できん。一度、お前らの頭の中を覗いてみたいわ…………」  覗いた瞬間にSAN値が直葬される未来しか見えないんですが。
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