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評判最悪男、魔女になる  作者: 出雲大吉
第8章

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第152話 お祝い


 正義の使者である魔女っ娘ルミナちゃんは極悪卑劣な変態野郎たちを駆逐した。


 そして、あれから1ヶ月近くが経つ。

 その間に、学校からも警察からも、特に連絡やお咎めはなかった。

 おそらくだが、あのクズ達は警察に通報はしなかったと思われる。

 まあ、女の子を襲おうとして、返り討ちにあい、金とパスポートを奪われましたとは言えないのだろう。


 だから、悪いヤツは好きなのだ。

 俺が何をしようと、訴えることは出来ないし、たとえ、訴え出ても罪になりにくい。

 俺は金を奪ったり、ストレス解消ができて嬉しい。

 世間は極悪な犯罪者がいなくなって嬉しい。

 実にwin-winで平和な世界である。


 また、学校生活も平和である。

 3学期は中間試験はなく、試験は3月にある期末試験のみだ。

 あと、1ヶ月は平和にすごせる。


 シズルと席が離れてしまったが、もちろん、関係は良好だ。

 俺は去年の年末くらいからシズルとヤることしか頭になかった。

 しかし、クリスマスで俺の心に余裕が出来た気がする。

 エッチな意味で大人にはなれなかったが、本当の意味では、大人になれたのだろう。


 ダンジョン攻略も順調だ。

 といっても、別に到達階層が進んでいるわけではない。

 今の期間はレベル上げと決めており、主に28階層や29階層でゴーレム達を倒している。


 俺はレベルが一つ上がったし、他の仲間達も順調に上がっている。

 正直、このペースは異常だ。


 学生が卒業時にレベル20を超えていることはないというのに、瀬能とちーちゃんはすでにレベル20を超えた。

 おそらく、シズルもそのうちに超えるだろう。


 そして、もっとヤバいのがアカネちゃんとカナタだ。

 こいつらはまだ中学生なのに、レベル15を超えた。


 これははっきり言って、類を見ないことだ。

 もちろん、俺を除いて。

 俺はレベル20を超えていた。

 まあ、エクスプローラ歴が違うので当然だが。


 このことはちょっと協会で問題になった。

 今年から全エクスプローラのレベル及びジョブ、スキルを開示することが義務付けられたからだ。


 もちろん、他のエクスプローラには開示されない。

 しかし、協会の職員は知っている。


 俺がマジカルテレポートで近道していることを知っているのはマイちんと本部長だが、マジカルテレポートを知らない他の職員は怪しむだろう。

 俺のスキルの≪メルヘンマジック≫に秘密があるのだと、感づき、怪しむだけならまだいい。

 だが、もし、ありもしないPK疑惑をかけられると厄介だ。


 俺はこのことを本部長に相談した。

 協会には、エクスプローラの秘密を守る守秘義務がある。

 だが、これだけ不祥事を起こしてきた協会の職員を信用できない。


 俺はそう、本部長に訴えた。


 本部長は悩んだ末、≪魔女の森≫のステータスの秘匿を決めた。

 簡単に言えば、俺達のステータスを確認できるのは本部長と専属であるマイちんのみにしたのである。


 多分、他の職員は違う意味で怪しむだろう。

 だが、特殊任務があるとか、そういうので誤魔化したらしい。

 そして、それを言えば、他の職員はこれ以上、首を突っ込んでこなくなるそうだ。


 俺は本部長からそれを聞いて、協会はマジで真っ黒なんだと、改めて、認識した。


 とはいえ、これにより、俺達がこの先、ダンジョンを突っ走ろうが、レベルがとんでもないことになろうが、問題はなくなった。

 もちろん、このことは仲間にも伝えた。

 皆、自分達のペースが早すぎることを気にしてたらしく、ホッとした表情だった。

 ちーちゃんは協会の職員にならなくて良かったの方だが……


 ひとまず、これで俺達は憂いなく、レベル上げとダンジョン攻略に精を出すことができ、俺が男に戻れる日がグッと近づいている気がする。



 そして、今日。

 俺は仲間達といるが、ダンジョンには行っていない。

 今日はダンジョン学園生の御用達であるファミレスにて、お祝いである。

 別に誰かの誕生日ではない。


 瀬能とちーちゃんの合格発表があったのだ。

 当然、合格した。


 これにより、両者ともに、プロのDランクエクスプローラになった。


「しかし、いきなりDランクとはね…………お前ら、マジで俺を追い抜くなよ。具体的には3年以内にBランクにはなるな」


 俺はアカネちゃんにドリンクバーで入れてもらった謎の飲み物を飲みながら言った。


 不味い……

 コーラとオレンジジュースを混ぜたな……


「具体的すぎない? まだ、何か隠していることがあるの?」


 ちーちゃんがコーヒーを飲みながら聞いてくる。


「別に。俺は優秀だけど、ランクを上げるのはむずいんだってさ。未成年は厳しいらしい」

「ふーん」

「いや、そもそもボク達も未成年だし、3年でBランクは厳しいだろ」


 そういえば、そうだ。


「でも、すごいですよねー。私達の学年でも話題でしたよ」


 シズルは自分のことのように喜んでいる。


「まあ、確かになったな。しかし、瀬能って有名なんだな。瀬能先輩なら当然かーって感じだったし」


 中等部からのエスカレーター組はそう言っていた。


「言ってたねー」


 シズルもその場にいたので聞いていた。

 俺とシズルは編入組だし、瀬能が身近過ぎてわからないのだ。


「前に言ったじゃん。こいつと≪フロンティア≫の佐々木が2年のツートップなの」


 佐々木?

 知らね。


「よくそんな人を勧誘できましたね、センパイ」


 アカネちゃんが感心したように言う。


「俺の人徳だな」

「それはない」


 瀬能は食い気味に否定した。


 否定、はや!


「私もそれはないと思いますけど、瀬能先輩が来てくれて嬉しいですー」


 俺は知ってる。

 その嬉しさの8割はテストの過去問であることを。


「ありがとう。君らも受けたら? 案外、受かるかもよ? 少なくとも、面接は有利だぞ」

「だねー。私もルミナちゃんに感謝してる」


 どういうこと?

 俺が優秀だから、こいつらの評価が良いのかな?


「何でですか?」


 アカネちゃんは可愛らしく、首を傾げる。


「面接でこれまでに苦労した点とか聞かれるんだけど、リーダーがわがままって言ったら、めっちゃ頷かれた」

「あたしもエクスプローラの重要なことで、時にはリーダーの間違いを正すことが重要って言ったら、めっちゃ頷かれた」

「だよな。最後に頑張れって言われた」

「あ、あたしも最後に悪さをしないように見張ってねって言われた」

「やっぱり、チサトさんも言われたかー」

「言われた、言われた。先生達、面接なのに、めっちゃ優しかったし」

「絶対に面接の点数に色付いてるよな」


 てめーら、盛り上がんなや!


「やっぱり、センパイって、そんな認識なんですね」


 アカネちゃんの顔がすげームカつく。


「シズルも受けたら? あんただったら絶対に受かるよ」


 どういう意味かな?


「えー、ど、どうですかねー。筆記試験もありますし」

「余裕、余裕。あんたは絶対に面接で100点だよ。あんたは絶対に先生からの評価が高い」


 シズルは容姿が良いからだよな?

 真面目だからだよな?

 俺のせいじゃないよな?


「シズル先輩なら大丈夫ですよー。カナタ君も受かりそうだし、受けたらー?」


 アカネちゃんが嬉しそうに言う。

 こいつは俺がバカにされてると、すぐに上機嫌になるのだ。


「どうだろう? そもそも中等部で試験を受けられるのかな……」

「受けられないけど、そもそも、あんたらはあと少しで高等部じゃん。ってか、アカネは受けないの?」

「チサト先輩はバカだなー。私が受かるわけないじゃないですかー」


 バカはお前だ。


「…………そうだね。卒業して取りな………………ちゃんと卒業しなよ?」


 ちーちゃんはものすごく不安そうだ。

 一方でアカネちゃんはカラカラと笑っている。


 こいつ、大丈夫か?

 たまに、いや、よく頭のネジが取れるからな。


「まあ、お前らはスタンピードとかの評価もあったんだろうよ…………そう、きっとそう。俺のおかげじゃない。じゃないと、おかしい」


『相棒、心の声が漏れてるぞ』


 おーっと。


「まあ、それもあったとは思うな」

「だね。だからこそのDランクなんだろうね」


 普通はEランクからだ。

 いきなりDランクはそうあることじゃない。

 ましてや、学生がDは聞いたことがない。


「良いことはするもんだなー」

「あんたは良いことをしなくていいから、悪いことをしないでよ」


 人がせっかく話を締めようと思ってたのに……


「してねーよ」


 ぷんぷん!


「そういえば、アメリカのエクスプローラは見た?」


 瀬能が話を逸らしてくれた。


 瀬能、いいヤツ。

 ちーちゃん、サイドテール。


「見てねーな。いるんだろ?」


 先月からアメリカのエクスプローラが東京本部に来ているらしいのだが、まったく見たことがなかった。


「みたいなんだけどね。ボクのクラスでも見たって人が大半なんだけど、ボク達がダンジョンに行く時に見ないだろう? 変だなーって思ってさ」

「そういえば、見てないね」

「伊藤先生がうるせーから別にそれでいいけどな。会いたくもねーし」


 あの日から毎日、毎日、うるせーんだよなー。

 マザー〇ァッカーがマズかったかな?


「まあ、それもそうだな。転移魔法を気を付ければいいだろ」

「あたしはそれが怖いよ。外国は何するかわかんないし」

「そんなもん、ハロー言いながら殴ればいいんだよ。それで、グッバイだ」


 そして、金を奪ってサンキュー。


「センパイの頭がグッバイですよー」


 お前の頭もな!





攻略のヒント


宛先  マリリンの生まれ変わり

差出人 お肉魔人

件名  クソガキについて


対象者に接触するために、協会や学園にそこはかとなく、スタンピードを止めたエクスプローラに会いたいと言っているのだが、苦笑いされ、上手くかわされる。

これ以上は感づかれる可能性が高いため、作戦を中止する。


対象者に接触を試みようとも思ったが、紳士代表やハンバーガー大佐の前例を見ると、対象者は索敵系のスキルを持っていると思われる。

それに問答無用で攻撃してきているし、あの2人が瞬殺されたところを見ると、戦闘能力はかなりのものだろう。

 

本音を言えば、パスポートやDカードを奪われたくない。

紳士代表とハンバーガー大佐、降格処分だってさ。

あいつらみたいにはなりたくない。


なお、対象者の調査も並行して進めているが、一言で言って、クズだ。

 

それと金を貸してくれ。

紳士代表とパチンコでスった。





宛先  お肉魔人

差出人 マリリンの生まれ変わり

件名  Re:クソガキについて


こちらも調査しているけど、評判は最悪ね。

協会や学園は恥部を晒したくないのでしょう。


対象者は女だけど、精神は男なんでしょ?

ならば、私が動くわ。

ガキ一人を手玉に取るくらい楽勝よ。


それにしても、日本は治安が良いっていうのは嘘なの?

対象者の母校で調査をしてるんだけど、今日だけで何回絡まれたことか……


嫌。

あなたも十分にクズよ。

ダンジョンに行って、稼いできなさい。

それを馬につぎ込んで破産しろ。


『とあるメール』より

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― 新着の感想 ―
[一言] 外人もマトモなやつ居なくて笑う
[一言] 外人のお姉さがルミナを誘惑するとシズルがどうなるかな ヤンデレになる?
[一言] 女相手ならクレイジーサイコレズの出番かなw
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