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評判最悪男、魔女になる  作者: 出雲大吉
第7章

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第136話 ユリコはゲス。ちょーゲス!


 25階層の探索を終え、協会に帰還した後、キララから怪しいヤツがいると、警告を受けた。


 俺はすぐに、その情報を≪ヴァルキリーズ≫のリーダーであるサエコに伝えることにした。

 サエコは情報に感謝していたが、女エクスプローラへの注意喚起くらいしかできないと言われた。


 怪しいという理由だけで、何かをすれば、悪いのは先に手を出した方になってしまうかららしい。


 俺はキララが可哀想だろと言ったのだが、怪しいだけで逮捕出来たら、お前はとっくに塀の中だと言われると、何も言い返せなかった。


 キララには悪いが、あいつが何かをされるのを待つ事にしようと思う。

 そうすれば、大義名分はこちらのものだ。


 大丈夫!

 お前の処女の仇は討ってやる(笑)


 と、キララにメッセを送ったのだが、既読がついたあと、何も返信はなかった。

 それから何度かメッセを送ったのだが、既読すらつかなかった。

 どうやらブロックされたらしい。


 冗談が通じないみたいだ。


 俺はまあいいかと思い、その日は休むことにした。


 そして、翌日の日曜日、今日はダンジョン探索はお休みである。

 俺は休みなら、シズルと出かけようかと思ったのだが、あいにく、シズルは用事がある。

 俺はしゃーないなーと思い、アヤとマヤを誘ったのだが、ダンジョンに行くと言われ、断られてしまった。


 俺は見事に振られたので、家でふて寝をしていたのだが、シロが出かけたいと言ってきた。


 このクソ寒いのに、外に出かけるのは嫌だったが、シロの言う通り、家にいてもつまらないので、映画を見に行くことにした。


 俺は部屋着から着替えると、映画館のあるショッピングモールへと向かった。


 俺は一人寂しく、映画館受付前で何を見ようか悩んでいると、チャラそうなナンパ野郎に何度も声をかけられている。


 あー、やっぱり誰かを誘えばよかった。

 一人だと、すげー声をかけられる。


「よう」


 ほら、また来た。


 俺は辟易しながら声が聞こえた方をを見ると、そいつは男じゃなかった。


「…………ユリコ」


 何で、こいつがここにおんねん!


「久しぶりだなー。お前、全然、私の電話に出ないな」

「お前、何故ここにいる」


 こんな都会で知り合いに会う確率はどれくらいだ?

 しかも、それがこいつ。


 俺はものすごく疑っている。

 こんな偶然があるわけない。


「正直に言え。どうして、俺がここにいることがわかった?」

「いや、本当に偶然。私もびっくりだ」


 絶対に嘘だ。

 どこぞの2流ラブコメじゃあるまいし。

 そもそも、こいつが一人で映画を見るとは思えない。


「どこからついてきた?」

「信じてないなー」

「当たり前だ」

「もしかしなくても、お前、俺の家を知ってんじゃないだろうな?」

「いや、知らんよ」


 …………知ってるな。

 こいつは俺の家からついてきたんだろう。

 そして、偶然を装って、近づいてきたのだ。


「あっそ。お前は何してんの?」

「当然、映画を見に来た」

「ふーん。何を見んの?」

「あれ」


 ユリコが指さしたのは俺が見ようか悩んでいたアクション映画だ。

 こいつが見るとは思えん。


「そっか。俺はあっちを見るから。じゃあなー」


 俺は興味もない恋愛映画を指さし、去っていく。

 しかし、ユリコはそんな俺の肩を掴んだ。


「こらこら。お前は恋愛映画には興味ないだろ。本当はあっちのアクション映画を見たいんだろ?」

「いや、俺はアクション映画は好きじゃないんだ。恋愛映画が好き」

「嘘つけ。ちゃんと調べたんだぞ」


 ほら。

 なんか調べてるし。


「ぼろ出るのがはえーよ」

「いいからアクション映画を見ような。お前に頼みたいことがあるんだよ」

「メッセで送れや」


 そもそも、映画を見ながら会話できんわ!


「いや、送ったから。お前、ブロックしてるだろ」


 そういえば、してるな。


「解除してやるから、消えろや」

「話くらい聞いてくれ。お前にしか頼めないんだよー」

「チッ! 何だよ?」


 俺は嫌々、話を聞くことにした。


「ここじゃあ、何だから、静かな所に行こう」

「殺すぞ」


 静かな所って、あそこだろ。


「あー、じゃあ、その辺の喫茶店でいいや」

「最悪な土日になったわー」


 昨日は虫地獄、今日はユリコ。

 俺、何かした?


 俺はユリコと共にショッピングモール内のコーヒー店にやってきた。


「頼みって、何だよ」


 お互い、コーヒーを頼み、注文したコーヒーがやってくると、俺は早速、本題に入る。


「実はなー。私って、この前、東京本部に復帰したんだけど、協会に着いて早々に変なのに絡まれたんだよ」


 あっ……(察し)

 

「若い男女2人組か?」

「それそれ。お前、知ってんの?」


 俺がそいつらをお前の所に行くように焚きつけた。

 まあ、高橋先輩の方は絶望してたけど。


「最近、こっちに来た2人組だわ。第2世代を目の敵にしてる。あきちゃんやクーフーリンに勝ったから次はお前なんじゃね?」


 しらばっくれよう。


「へー。あの2人に勝つなんてすごいな。私達の中でも武闘派の2人なのに」


 確かに武闘派だ。

 だけど、頭がね…………


「まあ、勝敗も微妙っぽいけどな。多分、お前と勝負がしたいんだよ」


 井上先輩だけね。


「なるほどねー。それで挑んできたのか……」

「もうやったん?」

「いや、タイムアタックとやらを提案されたんだけど、私って、野良だし、東京本部に戻って、日が浅いから頼めるパーティーがいないんだ」


 ソロで行けよ。

 お前なら大丈夫。

 そして、死ね。


「まさかと思うが、その臨時パーティーに俺を入れたいとか?」


 まさかね!

 あはは!


「お前しかいない。≪ヴァルキリーズ≫は頼めないし、他のエクスプローラはあんま知らない」


 多分、あきちゃんは嫌がるだろうし、クーフーリンも仲間の事を考えて、協力はしないだろう。


「嫌だ」

「頼むよー」


 ユリコがめっちゃ頭を下げてくる。


「何で、そこまで、あいつらとやりたいん? 無視しろよ」

「いや、このままでは、私達第2世代がバカにされてしまう」


 とっくの前にされてるよ。

 ってか、お前はそんなことを気にするような人間じゃないだろ。


「正直に言え。本音は?」

「勝ったらサヤカちゃんと食事に行く」


 あぁ……

 高橋先輩の絶望した顔が浮かぶぜ。


 多分、ユリコが勝負を受けるかわりに提案したんだろう。

 何も知らない井上先輩は軽く考え、受けたんだ。

 そして、高橋先輩の顔は真っ青……っと。


「食事で終わるん?」


 一応、聞いてみよう。


「は? メインディッシュはその後に決まっているだろ」


 うーん、可哀想な高橋先輩……

 ちょーウケる。


「勝負って、いつ?」

「今日の夕方」


 はえーよ!


「俺は明日、学校だから嫌」

「いいじゃん。お前にも抱かせてやるぞ」


 ………………ゲスだ。


 本当にゲスいヤツだ。

 ってか、俺、女だぞ……抱かせてやるって言われても……

 いや、ユリコも混ざるのか……


 俺のメリットねーじゃん。


「サエコもノイローゼになるわけだわ」

「サエコはむずいんだよなー」


 女の事しか頭にないな、こいつ。


「ハァ……俺の仲間に手を出さないという約束が出来るならいいぞ」

「えーー! Rainはー? あのダウナー系の美人ちゃんはー? 小悪魔ちゃんはー?」


 しっかり調べとる……


「ダメ。ついでに、クーフーリンの仲間の双子もダメ」

「えー! あのロリ双子を交互に『自主規制』する予定なのに!」


 殺そうかな?


「お前、学生はやめとけよ。協会や政府がガチギレするぞ」

「あんなヤツらが怖くて王子様はできんよ」


 マジで、ヤベーなー、こいつ。


「あ、お前の姉妹は?」

「表に出ろ! 殺す!!」


 俺は静かに立ち上がり、ユリコの髪を掴んだ。


「イタタ! わかったよ。手を出しません。これでいいだろ?」


 ユリコはまったく反省してない様子だが、一応、言質は取った。


「約束を破ったら、手足をもぐからな」

「おー、こわ。お前は本当にやりそう」

「本当にやるが?」


 当たり前じゃ! ボケ!


「リョナはやめとけよー」


 頭が痛くなってきた…………

 はよ、高橋先輩を生贄に捧げて帰ろ。


「ほら、じゃあ、協会に行くぞ」

「あれ? 映画は?」


 見る気、失せたわ!!





攻略のヒント

 初めてダンジョンに入ると、ジョブとスキルの選択が出来るようになる。

 この際、全員、何かしらのジョブやスキルを習得でき、これまで、ジョブやスキルが1つもなかった人間は確認されていない。


『ダンジョン白書 ジョブとスキルの選択』より

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― 新着の感想 ―
[良い点] ユリコにとって映画館な暗闇は絶好の餌場のひとつだろうなあ
[一言] ルミナが襲われる寸前にリングで男に戻って大惨事って流れないかなw
[良い点] なんだかんだいいコンビですよね…… ユリコ×ルミナ……アリだな。
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