表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/32

第3話「これは……ラブレター……!?」

 委員長たちと一緒に教室に戻ると、何やら挙動不審な早乙女さんが俺の机を気にしたようにチラチラと見ていた。

 しかし、俺たちに気が付くとバッと本で自分の顔を隠してしまう。


「うん、やっぱり無理かもしれない」

「諦めるの早いよ……!」


 早乙女さんの様子を見て難しさを察した俺に対し、委員長が優しく背中を叩いてくる。

 まぁ諦めるつもりはなかったので問題はないのだけど、委員長は期待しているようなのでそちらの期待のほうが重たい。

 下手に話しかけると困らせるし、様子を見ながらという感じになるだろうな。


「とりあえず昼休みが終わるから席に戻ろうか」

「そうだね、僕たちがいると早乙女さんにプレッシャーを与えるかもしれないし」

「あぁ、わかったよ」


 俺の言葉を聞くと、湊と翔太は頷いて自分たちの席に戻って行く。

 しかし、委員長だけは俺の傍に残っていた。


「まだ何か話があったか?」

「えっと、やりすぎには注意してね?」


 やりすぎ?

 いったいどういうことだろう?


 俺は委員長の言葉の真意がわからずに首を傾げる。

 すると委員長は何かに気が付いたようにハッと目を見開き、ブンブンと首を横に振った。


「な、なんでもないの……! じゃ、がんばってね……!」


 それだけ言うと慌てたように委員長は自分の席に戻って行く。

 彼女は時々情緒不安定になるから心配だ。

 委員長としてクラスメイトたちのことに気を配っているし、負担が大きいのかもしれない。

 何かあればフォローできるくらいには気を配っておこう。


 まぁそれはさておき、問題はこっちをどうするかなんだよな……。


 俺は解決しないといけない問題の原因となる早乙女さんへと視線を向ける。

 すると、本の上から覗き見るようにしている彼女と目が合ったような気がした。

 合ったような気がするというのは、彼女の目が前髪で隠れているので確信を持てないということだ。

 だけど俺と目が合ったであろうタイミングですぐに本を盾に隠れてしまったので、きっと目が合っていたのだろう。


 というか先程から凄く避けられているようなんだけど本当に大丈夫なのか?

 やっぱり人選ミスな気がしてきた。


 俺は早乙女さんの様子にショックを受けながら自分の席に着く。

 すると、違和感を覚えた。

 言葉にはできないなのだけど、何かが席を離れるまでと違う気がしたのだ。

 よくわからず、俺は自分の席の周りを見てみた。

 そして、何かが机の中からはみ出していることに気が付く。


 いったいなんだろうと思い机の中からそれを取ってみると、猫のかわいらしいイラストが描かれた封筒だった。

 こんな物を入れた記憶はない。

 そもそも持っていないのだから当たり前だ。


 誰がこれを入れたのだろう?


 そんな疑問を抱きながら俺は封筒の表と裏を見てみる。

 しかし、生憎と差し出し人の名前は書かれていなかった。


 ただ、宛名として俺の名前が書かれていることから間違って入っていたわけではないだろう。

 字はバランスがよくとても綺麗なもので、丸っこくてかわいらしい印象を受ける。

 見た感じ女の子の字みたいなのだが、男がいたずらで女の子のふりをして書いている可能性も低くない。


 とりあえず仕方がないので、一旦封筒を開けて中身を見てみることにした。


 だけどやはり名前は書かれてはいない。

 それどころか、書かれているのは一文だけだった。


『放課後、屋上に来てほしいです』


「これは……ラブレター……!?」


 ガタンッ――!


 俺が小さく驚いた声を出すと、凄く大きな音が聞こえてきた。

 音がしたほうを見てみると、早乙女さんが痛そうに膝を押さえている。


 いったいどうしたのだろうか?


「えっと、大丈夫か……?」

「――っ!? …………!」


 心配して声をかけると、早乙女さんはコクコクと一生懸命に頷いた。

 大丈夫だと主張しているようだけど、やっぱり足は痛そうだ。

 見た感じ椅子に膝を当てたようなのだけど、どうしてそうなったのか不思議でしかない。

 しかしツッコミを入れると彼女は恥ずかしい思いをするだろうし、ここは見なかったことにするのが優しさだろう。


 それにしても、手紙で呼び出しか……。

 SNSが普及した今の時代にこれはかなり珍しいと思う。

 正直漫画やアニメの世界だけのものだと思っていた。


 とはいえ、今の一文だけでラブレターと判断したのはいくらなんでも自分に都合よく捉えすぎだ。

 何か他の人には言えない相談があるのかもしれないし、これが果たし状という可能性もある。


 ……いや、果たし状こそいつの時代だ、という話なのだが。


 一つ問題なのは、これを誰が入れていったのかということだ。

 早乙女さんはいつも自分の席でお弁当を食べているようだし、彼女に聞けば一発でわかるのだが……さすがに今の今で聞くわけにはいかないよな。

 仕方がない、相手が誰であれ屋上に行ってみたほうがいいだろう。


 俺は正体不明の持ち主から送られた手紙に従うことにした。

 敬語で書かれていることから一応礼儀はなっている相手だと思うし、さほど心配をする必要はないだろう。


 一つ気になるのは、未だチラチラと早乙女さんがこちらの様子を気にするように見てきていることなのだが、何か気になる部分でもあるのだろうか?

 さすがにこうも見られてしまうと俺も気になってしまう。


 だけどそう思って視線を向けてみると、やっぱりすぐに逸らされてしまった。

 本当に今日の早乙女さんはなんなのだろうか?

 凄く様子が変なのだけど、そのことに関して俺には全く思い当たる節がない。

 このままだと彼女が不登校にならないよう気にかけるどころか、俺が原因で不登校になってしまいかねない感じだ。


 さて、本当にどうしたものか……。


 結局俺は放課後まで答えを出すことができず、その後は一旦早乙女さんのことは後回しにして屋上に向かうことにした。


読んでいただきありがとうございます!ヾ(≧▽≦)ノ

話が面白い、キャラがかわいいと思って頂けましたら、創作活動の励みになりますので評価や感想、ブックマーク登録を頂けますと幸いです(#^^#)

特に感想を頂けると嬉しいです(´▽`)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『新作です……!』
↓のタイトル名をクリックしてください

数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました

『数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました』5月23日1巻発売!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
数々1巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』8巻発売決定です!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊び6巻表紙絵
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』コミック2巻発売中!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊びコミック2巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ