33.ファンタジーな小物ってなぜこうも中二病心をくすぐるのか。
***前回のあらすじ***
翌日イング達も誘って皆で祭りへと行く事にした。俺の世界の祭りの話をすると、皆は怪訝そうにしていた。この世界の祭りはパレードがあったりダンスをしたり、カーニバルみたいだった。
このやろう、と思ったけど、アシュリーが爆笑してる。ラルフも笑っていた。イング達も笑ってる。俺も釣られて笑ってしまった。全然知らないやつが気さくに中々上手かったぞとか、俺が最後に手を取ったおばちゃんがありがとねって肩をぽんぽんしてくれたり、全然知らない人が凄く親し気に気さくに声を掛けて来る。
何か、良いな。こういうの。何となく、日本だと皆我関せずみたいなところがあるけど、此処は皆、フレンドリーっていうか、距離が近い気がする。
日本では、結構怖い事件なんかも毎日みたいに放送されてて、何となく知らない人が声を掛けてきたら不審者扱いされる感じで、俺も知らない人に声を掛ける事なんて無くて、それが普通だったけど、此処に居るとそういうの少し寂しい事だなって思った。誰でも彼でも警戒しないといけないなんて、ちょっと寂しいよな。
俺の見た目がやっぱこっちの人と顔立ちが違うからか、結構声を掛けられる。俺がデュォ フォルツェンだって言うと、ようこそって言われて少し気恥しかった。イング達の時も思ったけど、そう珍しくも無いのかな。へぇ、って感じで流される。
感覚的には外国人みたいなレベルなのか?それなりに珍しくはあるけど驚く程でも無い感じか。
少し休憩をして、俺達は色とりどりのテントを回る。幾つかの店を見て回っていた時だった。テントに並んだ、革製の手袋っぽいのに目が行く。
明るい茶色のそれは、人差し指と中指と薬指の部分だけ指を覆う格好で、肘近くまで長さがあって紐で調整できるタイプ。弓を握る左手用は親指と人差し指の付け根の所にだけ厚めの皮が張ってあって指無しになっていた。左右で形が違うのが面白い。アーチャー用のグローブかな。すっげぇファンタジーっぽい。こういうの大好きなんだよな。
その手袋の手首で止めるベルトの所に、綺麗な水色の石が付いていて、それがアシュリーの髪と瞳によく似た色だった。
良いな。これ。
アクセサリーとかは付けなさそうだけど、こういうのってどうだろう。
丁度指無しで色違いの同じデザインのグローブもある。これ二人で使えたら凄い相棒っぽい気がする。本音で言うと、好きな子に何かを買ってあげたいって思っただけなんだけど。ちょっと嬉し恥ずかしのささやかなペアルック。この程度なら変に思われ無さそうだし。
俺はポケットの中のコインをチェックした。うん。買える。ちらっと皆の様子を伺うと、向かい側の店を見ているみたいだった。よしゲット。俺は店員に金を払い、手袋を2つ購入した。1つはそのまま手にはめてみる。うん、いい感じ。紐が上手く結べなくてモタ付いてたら店員さんが手袋の紐をぎゅっと締めて結んでくれた。
おー。超格好いい! 俺は店員に礼を言って皆の所へ駆け戻る。
「何買ってたんだ?」
「へっへー。良いの見つけた。どーよこれ」
俺が買ったばかりのグローブを見せると、アシュリーが目を輝かせた。
「あ、いいじゃん。俺もそろそろ新しいグローブ欲しいんだよな。どこに売ってた?」
「ほれ」
俺は買ってきたグローブをアシュリーに差し出した。アシュリーはそのまま受け取ってからきょとんと俺を見上げて来る。
「え?」
「お揃い。相棒っぽいだろ? やるよ」
「マジで!? うわすげぇ嬉しい!着けて良い?!」
「あ、留めるの手伝うわ」
っしゃ! 大成功だ。俺はアシュリーの手首の紐を絞って結んでやる。アシュリーは嬉しそうに何度もぐーぱーしてみたり、弓を引く真似をしたりして凄い喜んでくれている。アシュリーがあんまり喜ぶから、俺の方が嬉しくなる。
俺達の様子に気づいたらしいラルフが慌てて突っ込んできた。
「アシュリー、俺も! なぁ、これなんてどうだ?!」
「…だから良いって…。大体こんなもんどこで使えっつーんだよ。気持ちだけ貰っとくわ、ありがとな」
学習しないヤツだな。ラルフが持ってきたのは蝶の透かし彫りの装飾が施された可愛らしい髪留めだった。
うん。可愛いと思うよ。アシュリーの髪に似合いそうだ。……でもな? アシュリーは俺がずっと男だと思い込む程度には男っぽいんだぞ? こういうの好きじゃないのは散々プレゼント贈り返されてるんだからいい加減諦めろよ。アシュリーめっちゃドン引きしてんじゃねーか。
「馬鹿なの?」
「うるせぇ!」
ラルフが涙目だったから俺はそれ以上突っ込むのは止めておいた。
いつもご閲覧有難うございます! 次回の更新は明日になります。
イラスト付きのキャラクター紹介ページ作りました。
ちょっとずつコンテンツを増やす予定です。
何かこんなの見たい!ってのがありましたら教えて頂ければコンテンツ追加させて頂きます!
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