悪魔はそうして眠りにつく
勢いで書き上げたので、拙いです。
ご了承ください。
「異端者どもが!」
初めはそうして住処を追われた。
普通に生きる彼らにとって、私達は得体の知れない何かでしかなかった。
私の家族は、そうなることは分かっていたのかすぐにそこから出て行くことになった。
私達が出て行くのを遠巻きに見る彼らの顔には困惑と恐怖の感情が見えた。
「化け物」
「気味が悪い」
「異常だ」
行く先々で浴びせられる拒絶。
あちこち転々として、人が近づかない暗い森でひっそりと暮らすようになった。
だから、気がつかなかった。
私達が知らないうちに、世間は異端者狩りをはじめていた。
轟音を立てながら私達の家は燃えていた。
私は、剣を手にした男達に拘束されながら、それを見ていることしかできなかった。
どうして?
考えないようにしていた疑問が湧き上がる。
地に伏せた父と母の体はピクリとも動かない。
どうして、私達がこんな扱いを受けなければならないのか!
私はただ呆然と立ち尽くし、涙を流していた。
こうして私は捕らえられ、王様への貢物とされた。
私は、何もしなかった。
考えることをやめた。
王様と呼ばれる人は、私の容姿を甚く気に入って、私を妾にした。
与えられる豪華な食事、服、アクセサリー、化粧など
私を着飾ることに、金に糸目をつけなかった。
私が異端者とされていたために、夜の相手はなかった。
私は、王様を讃えるために仕立てられた。
権力者としての威厳のために。
異端者をも従える王様。
美しい女を妾とする王様。
しかして王様は、王座を剥奪されることになる。
「どういうことだ!!朕に従わぬか!」
そうしてかつて部下だった者達に捕まった。
彼は、国の金を溶かしてしまった。
私を着飾る為に。
王としての資格なしと、民達が判断したのだ。
私は、久しぶりに笑った。
それを見た元王様は、驚いた顔をして、その後憎々しげに私を見て叫んだ。
「この悪魔が!!この悪魔のせいで!」
元王様の部下達も私を睨む。
私は、ただただ微笑んだ。
彼らにどう見えていたのかは分からない。
とても晴れやかな気分に頬が緩んでしまっていた。
彼らは、そんな私に手出しができないのかこの場は膠着状態となってしまった。
「確かに、噂通りの悪魔ね」
少女が一人、私を見てそう言った。
続けて
「彼女は強すぎる。祓うことは、難しい」
と、無感情に言い放った。
何を言っているのだろう。私は、悪魔と形容されるものではない。
翼もなければ尻尾もないというのに。
「何を言っている!!この国に悪魔を置いておけるか!」
「何のために貴様のような者を連れて来たと思っているんだ!!」
少女を連れてきたであろう騎士達は憤っていた。
彼等は私を悪魔だと思っているらしい。
「祓えないといっただけ。方法はある。」
少女は、私を見据えてそう言った。
少女は隣にいる執事らしき初老の男性に耳打ちし、執事がそれに頷く。
瞬間、私は意識を失った。
気がつくとそこは教会だった。
「目が覚めた?」
少女の声が聞こえたが、私は起き上がれなかった。
「そのまま聞いて」
少女の声だけを聞くことにした。
私のささやかな復讐は終わった。
あのまま、あそこにいても死が待っているだけ。
この少女の手にかかるのも同じこと。
「私はあなたを殺さない。
あなたは珍しい一族の生き残り。
殺すには惜しい。
ただ、あなたが生きるには世間は冷たすぎる
だから――」
少女の提案に目を見張る。
私は少し考えた後、その提案に乗ることにした。
微かな希望に穏やかな気持ちで
私は眠りについた。
亡国の歴史書に悪魔がいたとされる一説がある。
美貌の悪魔
悪魔と称される彼女は、傾国の美姫とも言われている。悪魔とされる所以は一重に彼女の主張のなさが原因と言われている。
その容姿だけで国一つを滅ぼした、そんな事は悪魔でもない限り不可能だと。
悪魔として封印されたという記録があり、
処刑されたという説と
軟禁されて老衰したという説など
研究者の間で物議を醸している。
真実は、誰にも分からないまま