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魔法使いの戦い方を知りました

 なぜ魔法使いなのに俺に向かって駆け出す?

  一瞬そう思ったけど、一対一の戦いで同じ場所に立って魔法をぶつけあうなんてナンセンスだ。

 それこそ魔法使いはバカだと言われてもおかしくない。

 俺はマルコの出方を伺いながら、その様子を注視する。


「炎の精霊よ、我が手に炎を集せ、対象を貫け、ファイヤーアロー!!」


 マルコは走りながら詠唱し、その手から火の矢を放ってくる。


『おっとライト君は魔法障壁を使っていない! どうやってこの魔法を防ぐのか!!』


 その様子にアナウンスにも力が入っている。

 さらにアナウンスによって、観客は俺が魔法障壁を使っていないのをピンチだと思ったのか、黄色い悲鳴があがる。


 俺の心配をしてくれるなんてありがたい事だ。

 でも、その中に『いいぞ! そんな奴やってしまえ!』って聞こえるのは男子生徒だろうな。

 やっぱり俺は男の敵認定を受けているのか……って、今はそれどころじゃない。


 俺はとりあえず闘気を発動させ、その射線から逃れるように動く。

 闘気も、今までの戦いである程度うまく使えるようになった。

 だから、タイムロスなしで発動させる事が出来る。


「っ!?」

「逃げても無駄だ!! それは追尾型だ!」


 くそ! そうか! 

 詠唱魔法を使っていて今の詠唱の中には『対象を貫け』という言葉が入っていた。

 だから、対象である俺を貫くまで俺を追尾するのか!

 この辺は魔導具の魔法と違ってやっかいだな。


『ライト君は闘気を使って逃げている模様! さすが魔法戦士ライト! でも、どうやってこの追尾型の魔法から逃れるのか!?』


 ……魔法戦士はやめてください。

 でも、どうする? 

 追尾型である以上、逃げてばっかりでは――。


「風の精霊よ、大気を揺らし風を起こしたまえ、ウインドカッター!!」


『おっとここでマルコ君がトドメと言わんばかりに、風魔法ウインドカッターを放った!』


 マルコの詠唱に続いてアナウンスが入る。

 そして、俺めがけて広範囲に渡って空気震え、景色が歪んでいる。

 これがウインドカッター……見えない風の刃と言ったところか。

 これははっきり見えないし、うまく避けれるか分からない。

 ならば……


「秘儀! たたみがえし!!」


 俺は本来、口にしなくていい言葉を口にし、地面から土の壁を出現させる。

 それによって、ファイヤーアローとウインドカッターは土の壁に当たり消失する。


「なっ!?」


 マルコは信じられないといった様子で、こちらを見ている。

 そりゃそうだろうな、俺の意味のない詠唱で土の壁が出現して、魔法が遮られたんだから。


『あれはストーンウォールか!? それにしてはライト君、普通ではない詠唱で魔法を発動させました! 恐るべし、秘儀たたみがえし!』


 いやいや、秘儀たたみがえしは詠唱ではありませんよ?

 いらない事言ったかな?

 って今はそれどころじゃない!

 俺は土の壁に囲まれて空いている上から、上空へと飛び出る。


『なんと!? なんと、ライト君空を飛んでいる!! さすが魔法戦士! ……いや、魔法戦士だからって関係あるか? ……とにかく凄い!!』


 アナウンサーをしている人も、俺が空を飛んでいるのにびっくりしているようだ。

 空を飛ぶのに戦士の要素は必要ないし、魔法戦士だからってのいうは厳密に言えば違うと思う。

 まぁそれはどうでもいいけど。


 他の観客からも『きゃぁぁあああ!! 凄い!!』といった黄色い声援から『なんだあれは……』といった落胆の声まで様々な声が聞こえてくる。

 どうやら、観客も盛り上がってきたようだ。


 よし、この世界に来て目指していたバラ色の学園生活に向けて、いっちょ弾けて反撃開始といきますか!!


 俺は上空から唖然としているマルコに向かって、無詠唱でお返しと言わんばかりに炎の矢を放つ。


「なっ!?」


 マルコは俺の無詠唱か、その火の矢の量かどちらに驚いたのか分からないけど、驚きの表情を浮かべる


 しかし、次の瞬間には我に返り、俺の放った魔法を回避しようと動く。

 でも、俺が放った魔法の量は闘技場を埋め尽くす程の量だ。無詠唱だから誘導タイプではないとは言え、この量を普通の身体能力で避けきるのは出来ないだろう。

 ……いや、闘気を使っても避けきれるかどうか……さて、マルコはどう出る?


「くっ!!」


 マルコは避けるのを諦め、手を前に出し何か力を入れていうような素振りを見せる。


 なんだ? 何しているんだ?

 もしかして魔法障壁に魔力を送って魔法障壁の強度を上げているのか?


 俺がそんな事を考えている間に、俺が放った炎の矢は一斉にマルコに降り注ぐ。

 そして、次の瞬間には魔法が着弾し轟音が鳴り響く。


『……あっ、すいません! あまりの光景にボーっとしていたました! さすが魔法戦士ライト君! 凄い魔法です! さて、マルコ君は無事か!?』


 どうやらアナウンサーは俺の魔法に驚いて、言葉を失っていたようだ。

 ちょっとやりすぎたかな?

 まだ全然力を抑えているけど……この魔法も抑えて使ったけど、マルコの放った魔法を火というなら炎ってくらいの違いがあるだろうし。


 それにしてもこの闘技場は結構丈夫なんだな。

 威力を抑えたとは言え、あれだけの量を放ったのに。

 そういえば結界が張ってあるとか言ってたから、この闘技場自体に何かされているのかもな。

 ってか、魔法戦士はやめてくれ。


 俺がそんな事を思っていると、魔法によって発生した煙幕が徐々に晴れてきた。


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