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予想外の形で決闘が始まりました

『レディース&ジェントルメン!! 今日は入学早々の一年生同士の対決だ!! さぁ二人を紹介しよう! 一人はあのハードラ家の長男、マルコ=ハードラ! 対するは魔法戦士ライト=ハートラインだ!!』


「わぁぁあああああ!!!」


 ……なんだ? なんでこんな展開になってるんだ?


 俺はあの後、渋々決闘を受け入れアレクに説明を受けながら闘技場へ向かった。

 この学校には専用の闘技場が三カ所あって各学年に一つって感じで用意されているらしい。


 もちろん、学年が違う者同士戦う事もあるから完璧に専用って訳じゃないし学年の闘技場が使用されていて他の学年の闘技場が空いている時は使用できる。

 まあそんな感じで説明を受けてたけど……


「なんじゃこりゃぁぁぁああああ!!!」


 俺がアナウンスに続いて闘技場の舞台へ出ると周り一面、人で埋め尽くされている。

 その光景は、俺が前世で見ていたヨーロッパのサッカースタジアムのようなものだ。

 真ん中の天井は吹き抜けになっていて青空が見えるし観客席もある。

 確かにこの魔法学校にきてやたら敷地は広いなって思ってたけど、まさかこんなものがあるなんて……。


 って、いやそうじゃない! 俺はこんな事聞いてない!! そもそも俺はアナウンスがあることすら聞いてない!!

 

「マルコ様頑張ってください!」

「あんな奴、やっつけてください!」


 俺がこの状況に困惑していると反対側からマルコが取り巻き二人をセコンドのようにして連れて入場してきた。

 取り巻きの二人はマルコを鼓舞するように声をかけている。

 なんだろう……このいかにもやられキャラのような感じは……。


 でも、そういえば俺は自分で魔法の練習して無詠唱とかいろいろできるようになったけど、本当の魔法使いの攻撃魔法は見たことがない。

 そしてここは仮にも最高峰の魔法学校だ。その生徒相手に油断してたら足元救われるかもしてない。気を引き締めないと……。


「賑わってるな」

 

 不意に後ろからアレクの声がする。


「おいアレク! 俺はこんなの聞いてないぞ!?」

「いいじゃないか。ライトが何も知らなかったみたいだからちょっと驚かせようとしただけだ。それにせっかくの決闘なんだから盛り上がった方がいいだろ? 予めシリウスに宣伝とアナウンスの用意も頼んでおいたんだ」


 ちょっと驚くどころかめっちゃ驚いたわ!!

 それに勝手に宣伝すんな! アナウンスもいらん! ってかアレク、おまえは何者だ!!


「アレク……? おまえ全部確信犯だな?」

「ん? あぁそうだ!」


 そこ胸張って堂々と認めんなよ!


「はぁ~……怒る気もなくなったわ」

「そうかそうか。じゃあ決闘に集中してくれ」

「お前がその言葉を言うな!!」


 なんだろう? 俺この学校にきてキャラ変わってないか!?

 まぁ前の学校は年上ばっかだったし友達と言えど多少の遠慮はあったのかもしれない。でもここは周りが同じ年っていうのとヤンキー集団じゃないからか? やっぱり周りと環境に感化されてるのか!?


「でも、おまえにとっても良い事もあるぞ?」

「はぁ~? なんだよそれ?」

「リノア=アーネストにも声をかけておいてもらった」

「リノア=アーネスト……? ……えぇ~~~~!?」


まさかリノア!? 

おい! 勝手に何やってくれてんだよ!?

ってか、なんでリノアを誘ったって俺に言うんだ!? まさかこいつ本当に心を読むのか!?


「安心しろ。俺はこう見て人の行動を見てその人を見るのが得意でな。今日のお前を見ていたらすぐに分かったよ」


 人を見るのが得意? 家柄が良いから変な奴らに騙されないようにか?

 ってか、何が安心しろだ! 意味分からないし今日の俺を見てたっておまえは俺のストーカーか!!


「はぁ~……もういいよ。言いたいことはいっぱいあるけど、アレクに言っても無駄そうだ」

「そう言ってもらえると助かるな。じゃあ俺も上で見ているから頑張れ」


 はいはい。せっかくの嫌味もアレクには通じないのね。

 ……まぁ根が悪い奴ではなさそうだけど。


 さて、とりあえずリノアが見に来るって事は下手な試合は出来ないな。

 悪いけどマルコに恨みはないけど、絡んできたのはそっちだからこの際、踏み台になってもらおう。


―――――


「では、ただいまよりマルコ=バードラとライト=ハートラインの試合を始めます!! 両者立ち位置について……始めっ!!」


 俺とマルコは二十メートル程離れたところで向かい合いついに試合が始まった。

 今思えば俺は魔法の戦闘って経験がない。いや、せいかくには事件の時にあいつと戦ったからあるけどこういった戦いは始めてだ。どうしたら良いのか……?

 

 俺はとりあえずマルコの出方を伺う事にした。

 俺は無詠唱で魔法を使えるから、相手が先に動いても対応できるだろう。

 それより、どうして戦うものなのか気になる。


「魔法障壁!」


 俺がマルコの様子を見ていると「魔法障壁」と言った瞬間にマルコの周りに淡い光の膜が出来る。

 なんだあれは……? あいつが使ってたやつか?


『マルコ君見事な魔法障壁です! さすがハードラ家! 入学前からしっかりとした魔法障壁を構築できるようにしてきたみたいです!!』


 魔法障壁か。そうか、これを構築して魔法を防ぎながら魔法を放ち合うという訳か。

 さすがに詠唱中は無防備になるもんな。

 詠唱中に無防備だったらあっと言う間に倒されるし、それこそ魔法使いがいくら人気があるとはいえ、戦士たちが不人気にはならないだろう。


 あいつが使っていたのもこれか。道理で手こずった訳だ。天才と呼ばれる魔法使いの使っていた魔法障壁だもんな。きっとこれは魔力に応じて強度が増したりするんだろう。


「ふふふ、俺の魔法障壁は先生のお墨付きだ! さぁライト! おまえも早く魔法障壁を張れ!」


 いや、張れって言われても……やった事ないしな。

 それにこれはおそらく闘気と同じように魔力をコントロールしないとうまくいかないタイプだろう。一応、詠唱魔法に入るみたいだけど、このあたりは詠唱して言葉にして魔力の流れを掴んでいかないとダメなんだろうな。

 だから、今俺がしてもたぶん出来ないだろう。


 それこそ詠唱さえすれば魔法がすべてうまくできるなら学校なんて必要ないしな。

 詠唱はあくまでイメージの固定化と魔力の流れを覚えてそれを詠唱する事で言葉から身体が自然に魔力を流す事を出来るようにする為だろう。


「ごめん。俺、魔法障壁使えないわ」

「なっ!!」


 マルコは驚愕の表情をして動きを止める。

 ごめん、使えないものは使えないんだから仕方ないじゃないか。

 でも――……。


「それでも戦うことくらい問題ないさ。さあ来いよ?」


 そうだ、俺は魔法障壁を使わず天才魔法使いと呼ばれたあいつを倒したんだからな。

 それに俺は魔法障壁が使えなくても、闘気や気功も使えるし無詠唱もある!


「貴様――っ!! 馬鹿にしやがって!! どうなっても知らないからな!!」


 マルコはそう言って顔を赤くにして激昂すると俺に敵意をむき出しにする。

 そして、マルコは俺に向かって駆け出した。


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