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シリウスと戦います

『レディース&ジェントルメン!! ついに準決勝! そして今日からついに無詠唱同士の戦いの始まりだ!!』


 いつものように場内アナウンスが入ると、観客のボルテージは上がり歓声が上がる。


『さっそく次の試合の対戦カードを紹介しよう! ウェウホルム王族を長年支え続けてきたブラック家の嫡男であり、アレックス王子の付人を担っている無詠唱の使い手、シリウス=ブラック!!』


「きゃぁぁぁあああ!!」

「シリウス様!!」


 シリウスの紹介に会場から黄色い声援が上がる。

 シリウスの奴、やっぱり結構モテるんだな。

 それに意外と男からの声援も多い。


 それにしても、準決勝からこのアナウンスがあるとは……。


『対するは誰もが知っている魔法戦士、その他にも神の使いや神の子、はたまたギャングキラー、マフィアキラーなどの称号を欲しいままにしているライト=ラインハート!!』


 ……いやいや。

 魔法戦士は分かる。

 神の使いや神の子ってのも本意ではないけど、一部でそう呼ばれてるってアレクから聞いてるし知ってる。

 でもなんだ!? それに続くものは!?

 ギャングキラー!? マフィアキラー!?

 なんだそれ!?


「きゃぁぁあああ!!」

「くそっ! シリウス頑張れ!!」


 シリウスの時とは違い、黄色い声援と純粋な応援ではなく、黄色い声援とヤジのようなもの飛び交っている。

 くそっ! 俺がいったい何したってんだ!?


 …………いや、心あたりはたくさんあるけども。

 まぁギャングキラー、マフィアキラーはきっとレインを倒した事とかバグデスファミリーを壊滅させた事が原因だろうし、男たちからのヤジは学園で人気のリノアと付き合っているのに、まだ黄色い声援が上がっているからだろう。

 理由は分かるけど……納得できない。


「では、ただいまよりランキング個人戦、準決勝第一試合、シリウス=ブラックとライト=ハートラインの試合を始めます!! 両者立ち位置について……始めっ!!」


「ふっ、こうしてライトと戦う日がくるとはな」

「あぁ俺もだよ」 


 闘技場の舞台で俺とシリウスは向かい合って言葉を交わす。

 なんだか、味方だった仲間が敵となって向かい合ってるシーンのようだけどなんて事はない。

 学校の行事の一部なんだけどな。


 それでも今まで俺とシリウスは戦った事はない。

 というより、マルコやリーゼルとは変な縁で戦ったけど、それ以外ではこの行事が初めてだ。

 それにシリウス達は無詠唱を教えたりしてて、まぁ仲間だからこうやって本気で戦うってのはこういう機会じゃないとないかもしれない。


「以前におまえと一緒に戦った時はおまえの能力に圧倒され、自分が無力に感じた。……でも、今俺も力を得た。全力で行かせてもらうぞ」


「あぁ全力でこいよ。おまえが俺の前に立ちはだかるなら、俺はおまえを倒す!」


 シリウスとのやりとりで少し厨二病を発症した俺は台詞に酔ったような感じで言葉を返す。

 そして、俺の言葉が引き金となって俺とシリウスは同時に魔法障壁を展開する。


「いくぞライト!!」

「来い! シリウス!!」


 言葉を交わすと同時にシリウスと俺は魔法を放つ。

 そして、それは俺とシリウスの中央でぶつかり爆発を起こす。


『おっと!! さすが無詠唱同士の戦い!! 何の前触れもなく、魔法が放たれた!! これは水魔法と火魔法の衝突か!? 蒸気が発生してるぞ!!』


 アナウンサーが言う通り、俺が放ったは火魔法、シリウスが放ったのは水魔法だ。

 シリウスは水魔法が得意だから、きっと水魔法でくるだろうと思い俺は対極の火魔法を使ったのだ。


「さすがライト。 火は水に弱いっていうのに、俺の水魔法を打ち消すとはな」

「いや、結構威力を強くしたのに消されるとはな! やるな!」

「当たり前だ! 俺はおまえに勝つ気でいる!!」


 俺はこのランキング個人戦は闘気を使わず、魔法の戦い方をもっと知る為にも純粋に魔法で勝負しようと思っている。

 さらに、この準決勝からはシリウスやアレクと言った無詠唱と戦う事になるし、経験が積める事から俺はあえて使ってくる魔法の反対属性で対抗し、よりもっと不利な条件の中で経験を積もうとしている。

 相手には悪いけど、これは俺なりにいろいろ考えた結果だ。


 なぜ、こんな事をしようかと思ったかというと、俺はバクデスと戦った時に思った以上の苦戦をした。

 それだけじゃない。


 リーゼルとの戦いだって思わぬ魔法によって、被害が出るところだったし、魔法学校に来るまで魔法障壁の存在も知らなかった。

 レインと戦った時はなんとか能力のごり押しでいけたけども、いつもそれが通じるとは限らない。

 この世界に来て無詠唱や無現像の魔力を得てチートな能力を持ったけど、技術と経験、工夫によってはチート能力も負けてしまう可能性がある。

 能力だけで勝てるほど世の中甘くない。


 だから俺は能力だけに頼らず経験を積まないといけない。

 何があってもリノアを……みんなを守れるように。


「これはどうだ!!」


 しばらくの間、シリウスと俺の魔法の応酬が膠着状態に入っていると、シリウスが叫び、シリウスの元に水のドラゴンが構築された。


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