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最後の最後はいつも通りでした

「ごちそうさまでした!」


 俺の隣でリノアが手を合わせて笑顔でこっちを見ている。

 どうやら、満足してもらえたようだ。


 あのボリュームたっぷりのパンケーキも二人で完食できた。

 最初は照れ臭いような恥ずかしいようなだったけど、途中から俺もリノアも慣れたというか、二人っきりの時間を楽しむように甘いものを食べながら甘い時間を過ごす甘々な感じで二人の世界に入った。

 今までは『リア充なんて死ね』と思ってたけど、いざ自分がそっち側の人間になったらそんな事言えない。

 リア充バンザイだ。


 そして、二人で楽しく食事を摂ることができた。

 リノアはその細い体のどこに入るの? ってくらい、デザートは別腹みたいな感じで食べていてびっくりしたけど、やっぱり女性にとっては甘いものは特別なんだろう。

 甘いものをいっぱい食べれて嬉しかったようでリノアはご機嫌だ。


 俺としても満足できたし、何よりリノアの笑顔が見られて良かった。

 付き合ってはいたけど、二人っきりで行動したこともなかったし今回はアレクとセリスには感謝だな。


「ん? 何? どうかした?」

「ライト君、ホッペにクリームついてるよ」


 何かリノアが俺の方を見ていると思ったらホッペにクリームつけてたのか。

 恥ずかしい……。

 俺は急いでクリームを取ろうととすると、それよりも先にリノアの指が俺のホッペに触れる。

 そしてリノアは指についたクリームを自分の口へと持って行き、チュッと吸って「へへっ」と笑った。


 ……可愛い……可愛すぎる!!

 あ~なんて素晴らしい人生なんだ!!

 リア充サイコ―!!



 その後、俺達はレジの方へて向かい、にお金を払い会計を済ませリノアとともに店の外へと出た。


「ごちそうさまでした!」


 リノアは店を出ると俺に礼儀正しくお辞儀をして礼を言った。


「いや、リノアにはいろいろ迷惑かけたからこれくらいはしないとね」

「ううん、ありがとう。それに私とライト君は付き合ってるんだから、迷惑かけても良いよ?」

「リノア……」

「でも、浮気だけはダメだからね?」

「……はい、それだけは絶対しません」

「冗談だよ。私信じてるから。行こう!」


 そう言ってリノアは俺の手を引いて歩き出す。


 二人で一緒に歩いて、一緒の景色を見て、一緒の時間を過ごす……好きな人と一緒なら何をしてても楽しいもんだな。

 そうして俺とリノアは二人の時間を楽しんだ。


―――


「あ~今日は楽しかったね! もう暗くなってきちゃった」

「そうだな。俺も楽しかったよ」


 時間もあっという間に経ち、太陽が夕日になりかけ陽が落ちようとしている。

 俺とリノアは街の北に位置する高台にやってきていて、ここからは全方向が見渡せる。

 景色が夕日に染まり、何とも言えない景色が広がっている。


「……リノア?」

「ん? どうしたの?」


 俺はリノアの名前を呼ぶ。

 リノアは俺の呼びかけにこちらを向く。

 そして、リノアの綺麗な髪が風になびく。


「これ……」


 俺は用意したものを、ポケットから出す。


「それは……」

「なんて言うかせっかくの機会だし、付き合ってる証になんかプレゼントしたいなって思って……」


 俺が用意したのは、食事の前にリノアと二人で見ていたアクセサリー店のハート型のネックレスだ。

 ここに来るまでにトイレいってくると言ってこっそりと買ったのだ。


「ライト君……ありが……とう」


 リノアは俺の差し出したネックレスを見て涙を流す。

 そんなに喜んでくれるとは……こっそり買って来た甲斐がある。


「いや、そんなに喜んでくれて嬉しいよ」

「そりゃ喜ぶよ。だって大好きな人からプレゼントされたんだから……ねぇライト君、つけてくれる? ライト君がつけてくれたらもう外さない」

「リノア……分かった」


 俺はリノアに近づき首に手を回し、ネックレスを止める。

 リノアの顔が、物凄く近く感じけど、恥ずかしさはない。

 なんだろう? 二人の世界に入っているからか?


「……ありがとう」

「うん……」


 ネックレスを着け終わり、俺とリノアは見つめ合う。

 この展開は……いや、今の俺とリノアの流れなら自然な流れだ。

 俺はリノアの肩に手を置く。

 すると、リノアは目をつむる。


 お互いに初めてだけど、不思議と緊張感はない。

 そして、俺とリノアの顔が近づいていき……。


「ちょっと押さないでよ」

「いや、俺が見えん」

「そうです! マルコ様は興味深々なのです!」

「そうです! マルコ様は相手がいないから余計です!」

「おい、おまえら……」

「おい、静かにしろ! 気づかれるだろ!」

「あっ……」

「アレク様気付かれたみたいです」


「おまえらぁぁあああ!!!!」


 俺は途中で何か気配を感じ、その方を向くと奴らがいた。

 そして、俺はすぐさま闘気を発動させ、回り込み、逃げようとするみんなの前に立ちふさがる。


「……おい、お前達、いつからいたんだ?」


「いや、ここに来る直前にたまたま見かけたんだよな……セリス?」

「え、えぇ、そうですよねアレックス様。たまたま幸せそうに歩いてるところなんて……ねぇ? リースちゃん?」

「え、あっ、はい! ねぇ? シリウス様?」

「あ、あぁそうだよな、マルコ?」

「お、おう、そうだな」

「ダメですマルコ様! 嘘はついてはいけないとバードラ家の掟が!」

「そうですマルコ様! マルコ様は将来ウェルホルム家を支えるお方、ここは正直に最初からと――」

「ウェルホルム王族として俺が許す! そいつらの口を塞げ!!」


「遅いわ!! アレク相手でも許さん!!」


 俺はアレク達の元へと詰め寄る。

 こいつら最初から見てやがったな!!


「おまえらなぁぁぁ!! いつもいつも!!」

「ヤバイ! 逃げろ!」


 リノアと楽しい時間を過ごせたのは良かったけどこれはこれ。


 そうして俺とみんなの本気の追いかけっこが始まったのだった。


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