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幸せすぎて逆に少し不安です

「ここのピザ美味しかったね!」

「本当、美味しかったな!」


 俺とリノアはピザの感想を口にしながら微笑む。

 ここのピザは本当に美味しく、ウエイトレスさんの乱入(?)によって多少気まずくなったリノアとの空気を温めるのには十分だった。


 二人で一緒に最初の一口を口にした時、どちからともなく「美味しい!」と言葉が出て、その瞬間、二人して顔を見合わせ笑いあった。

 そこからは気まずい空気もなくなり、美味しいピザに舌鼓を打ちながら学校での話とかで二人して盛り上がった。

 

「この分だとここのデラックスパンケーキってのも期待できそうだな!」

「うん、楽しみ!!」


 リノアはそう言って満面の笑みを浮かべる。


 本当、可愛いな……。

 ……でも、今日の俺はノロケ過ぎだな。

 まぁいいか、今日は二人っきりだし。


「お待たせいたしました! こちらが当店限定スイーツ、デラックスパンケーキです!」

「わぁ~!! 凄い美味しそう!!」

「す、すごいボリュームだな」


 今度はちょうどいいタイミングでウエイトレスさんが注文してたデラックスパンケーキを持ってくる。

 ふわりとした見た目のパンケーキが四枚に、生クリームがたっぷり乗っていて、その周りにイチゴやラズベリー、その他たくさんのフルーツがこれでもかというくらいいっぱい乗っている。


「そして、こちらがサービスのジュースになります!!」


 こ、これは!?


 俺とリノアがデラックスパンケーキに驚いていると、さらに店員さんがサービスと言って一つグラスにピンク色の果実のジュースらしきものにハート型のストローが入っていて、飲み口が二か所あるやつを出して俺とリノアの間に置いた。

 これって所謂カップルが顔を近づけて一緒に飲むあれじゃないのか!?


 俺とリノアが置かれたジュースに顔を赤くしながら見ていると、「では、ごゆっくりなさってください」と言ってウエイトレスは帰って行った。


 いやいや!!

 俺達こんなん頼んでませんから! 

 これなんでサービスなの!?


 ……でも、このまま気まずそうにしてたら、さっきまでの空気に逆戻りになってしまう!!


「あははは、ここの店サービスいいね!」

「そ、そうだね!」


 俺とリノアはぎこちなく言葉を交わし見つめ合う。


「と、とりあえず食べようか!」

「う、うん!」


 そうして、俺とリノアはとりあえずパンケーキの方から食べる事にした。

 そして、俺とリノアはお互い自分でパンケーキとフォークで切って口へと運ぶ。


「……うん、おいしい!」

「うん! 美味しいね!」


 俺と声を揃えて言葉を発する。

 パンケーキはふわふわで、生クリームもめっちゃ甘いわけでもなく程よい甘さで、さらにフルーツの程よい酸味がアクセントになっていて、口の中にいろんな食感と味が広がり文句なしに美味しかった。


 俺とリノアは二人で、「美味しいね」と言いながら食べ進める。

 しかし、パンケーキは口の中の水分を奪うので食べ進めているうちに喉が渇いてきた。

 なろほど……だから、ジュースがサービスになっているのか。

 この店は美味しさだけじゃなくていろいろお客さんに気遣い出来る店なんだな。


『この店は良いな』なんて思いながら喉が渇いてきた俺はジュースのストローに口を近づけてジュースを飲む。


「「っ!?」」


 俺がジュースを飲むのと同時に、リノアもジュースを飲んだみたいで、俺とリノアの顔が近づく。

 そして、俺とリノアが同時にストローでジュースを吸った事で、ピンク色のジュースがストローを伝わり、二人の真ん中にピンク色のハートを咲かせる。


 俺は咄嗟の事に驚いたのと、恥ずかしいのやかなんやらで吹きそうになったけど、ここでそんな事をしたらリノアに吹いたのがかかるし、雰囲気も何もなくなってしまうから必死に耐えた。

 リノアも俺と同じ事を思っているのか、顔を赤くしながらも必死に平然を装いジュースを飲んでいる。

 

 二人で顔を寄せながらジュースを飲み、真ん中にピンクのハートを咲かせる光景……。

 甘い……甘すぎる!!

 まさかこんな事を自分が体験する日がくるとは……。


 普通は、異世界に転生してチートになるほうが珍しいんだろうけど、俺にとったら異世界転生はネット小説のテンプレ。

 ある訳ないけど、想像の世界……そして死後の世界だから、生きている間に確認しようもないから、地獄や天国と一緒である訳ないだろうと思いながらも、誰も知っている世界ではないので肯定も否定もできない。

 

 それに比べて、女の子……しかもこんなメッチャ可愛い女の子とこんな甘い時間を過ごすなんてのは、俺が生きている時には現実ながらも考えられなかった。

 むしろ、彼女が出来るのか……? というレベルだったので、本当に感激だ。

 こんな幸せな時間を過ごせるとは……俺、異世界で頑張ります!!


 俺は少し恥ずかしいながらも、前世で生きてる時には出来なかったであろう時間を満喫する事にした。

 

 ……でも、フランに見られたりってオチはないよな?

 あっ、フリでもなくてフラグでもない! 


 そんな事を思いながら。


新連載『魔王だって普通の生活したい!』を始めました!

良かったら読んでください!

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