ランキング個人戦に向けて! のはずが違う展開になりました。
「よし、みんな順調だな!」
二学期が始まって早一ヶ月。
俺達は学年の個人ランキング戦に向けて、無詠唱の特訓に力を入れていた。
学年の代表は男女各三人、そして補欠に各三名だ。
今この無詠唱の特訓に参加しているのが男は俺を入れて六名、女性が三名と補欠を頑張ればみんなで対抗戦に行けるのだ。
男は補欠を入れてだけど。
俺達は二年生になったらみんなで行く為に、無詠唱をより完璧にするた為に特訓してきた。
みんな無詠唱の発動が出来るようになったから、そこからのスピードは早かった。
今では、アレクが夏休み明けに見せた炎のドラゴンみたい事も出来るようになっている。
もちろんあのマルコもだ。
マルコが炎のドラゴンを作り出せるようになった時は、「ふははは! どうだ見たか!!」「凄いですマルコ様!!」「さすがマルコ様!! 一番最後に出来るようになりましたが!」と取り巻き二人と喜んでいた。
でも、取り巻きの奴も最後の一言は余計だと思ったけど……。
あいつら実はマルコをけなしてるのか?
……いや、そんな事ないか。
けなしているのならもっと言っているだろう。
たぶん、接待に向いていないタイプなんだ。
マルコは意外と真面目で頭が固い為、なかなか進むのが遅かった。
でも、真面目な性格もあり、一度取得するとひたすら練習してスムーズに放てるようになっている。
マルコは意外と努力家なのだ。
その努力家の性格もあってか、魔力量が多いのか、進むスピードは遅いけど、魔力量自体はこのメンバーの中でも多い方だ。
俺を除いて一番魔力量が多そうなのはアレクだ。
アレクは進むスピードも一番速く、なんだか絵にかいたような、完璧な王子でむかつくけど。
でも、ここに来て同じように無詠唱の練習をしてきても個性が出てきたようだ。
男の中では俺の次に続いてアレクが全項目とも水準が高く、マルコはアレクに続いて魔力量が多そうで魔法の威力も高いけど、真面目な性格もあって応用が利かないのと、新たな魔法を覚えるのが遅い。
そして魔法の同時使用が出来ない。
そう、マルコは不器用なのだ。
マルコはちょっと頭が固いんだよな。
まじめすぎるのが逆に仇になっている。
……まぁ見た目は真面目そうには見えないんだけど。
そして、マルコの次に魔力量が多いのはシリウスで、シリウスは魔力量と威力はマルコに及ばないけど、魔法の同時発動や覚えるのが早かったり、いろいろ器用だ。
あとの取り巻き二人は、魔力量と威力では劣るけど、魔法を使ってトリッキーな事をしたりと、なんとも不思議な奴らだ。
この前は風魔法を使って、魔法の軌道変えたりしてたからな。
魔法をイメージじゃなくて魔法で軌道を変えるとか発想が凄い。
女性陣の方は、三人ともほぼ一緒の魔法量と威力だけど、セリスがやや高いと言った感じだ。
リノアはどちらかというと器用な感じで、魔法の威力も細かく調節出来たりと繊細に扱える。
そして、リースはなぜか時々、おそろしい威力の魔法を放つときがある。
魔力量からしたら考えられないと思うけど……謎だ。
リースは本当に不思議っ子だと思う。
「ライト程とはいかないまでもみんなずいぶんと出来るようになったな」
「そうですね。まさか自分がここまで出来るようになとは驚きです。でも、ここまで出来るようになると逆に恐ろしいですね。これが全魔法使いができるようになったとしたら……怖いですね」
「そうだな。その辺りは父上に報告してちゃんと対応していかないといけないな」
「そうですね」
確かにアレクとシリウスの言う通り、これを全魔法使いが使えるようになったら怖いものがあるよな。
その辺は、ネット小説を呼んでいる時でも感想欄で指摘する声もあった。
小説だしいいじゃんって思ってたけど、実際自分が住んでる世界でと考えと怖いよな。
俺の知識のせいで……。
もしかしたら、原爆を作った人とかもこんな気持ちだったんだろうか?
「それはそうとライト、今度の休みは特訓中止にして、みんなで街に行かないか?」
「ん? どうしたんだいきなり?」
「いや、あまり街とかに行ったことがないからな。一度行ってみたいと思ってな」
「アレックス様!? それは――」
「シリウスいいではないか。今は学生だから身分も関係ない。それに服さえ一般庶民と同じような服を着ていたらばれないだろう。それにみんなでいけば普通の子供だと思うはずだ」
「そ、それはそうですが……しかし――」
「いいわね! リノア、リース行きましょう!」
「ちょ、ちょっとセリス!」
「私は……」
「よし、決まりだな!」
……俺ほとんど話していないうちに決まってしまったけど。
まぁ確かにアレクの言う通り、平民が王子を見るって言っても遠目だろうし、写真もないから顔ばれはしてないだろう。
だから、服さえ気をつけたらある程度は大丈夫だろうけど……。
てか、マルコ達は聞かなくていいのか!?
そうこうしているうちに、アレクとセリスでどんどん話が進んでいくのだった。
そして、俺は何もしていないのにシリウスに睨まれているのだった。
なんで……?




