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二学期が始まりました

「おはようライト君」


「おはようリノア、久しぶりだね。髪伸びた?」


「そ、そう? ライト君は短い方が好き? 切った方がいいかな?」


「俺はどっちでもリノアなら似合うと思うけど、髪綺麗だからそれくらい長い方がいいんじゃない?」


「そ、そうかな?」


「うん。それにリノアと初めて出会った時も今の髪型だったから、今の髪型が思い入れあるし好きかな?」


「そ、そっか。じゃあこのままにしようかな? ライト君は日焼けしたね」


「あぁ、毎日妹と魔法の特訓とかしてたからな。真っ黒だよ」


「そっか。でも、か、かっこいいよ?」


「えっ? う、うん、ありがとう」


「た、確か妹って確かフランちゃんって言うんだっけ? 確か無詠唱も出来るんだよね? 凄いなぁ~会ってみたいなぁ~」


「そ、そうだないずれ……あっ! そう言えばリノアの両親は俺の事大丈夫だった?」


「えっ? あっ、うん。大丈夫」


「ライトいつになったら俺に気付くんだ?」


「リノアもよ!! 教室の中で二人の世界に入らないでよ!! うらやましいじゃない!!」


 俺とリノアが久しぶりの再会で話に花を咲かせていると、横からアレクとセリスが入ってくる。

 そして、その後ろではなんか戸惑っているリースちゃんと、特に何も言ってこないシリウスが腕を組んで見ている。


 そう、今日から新学期。

 久しぶりの登校でみんなの顔を見るのも久しぶりだ。

 日本にいた時は、友達が少ないながらもなんて事ないやりとりでメールとかラ○ンとかあったし、新学期に顔を合せても新鮮さが薄かったけど、異世界は違う。


 ケータイ、スマホはもちろん、電話すらないから話す事も出来ない。

 連絡を取ろうにも、手紙とかで何日もかかるしお金もかかるから、平民の子である俺にそうそう出来るものではない。

 貴族ならできるだろうけど。

 

 ……えっ、貴族……?

 えっ! リノア貴族じゃん!

 手紙来なかったけど……。


 ……いや、よくよく考えたら俺ちゃんと家教えてないもんな。

 でも、この世界に番地ってないから『スーラ村、ライト=ラインハート』宛で届くんじゃ……。

 いや、リノアの事だ。

 きっと手紙出したら俺が返さないといけないと思って負担になるからってやめたに違いない。

 それか、手紙の中身を両親に確認されるとかで恥ずかしくて書けなかっただけだ!!


「ご、ごめんなさい!!」

「もう、リノアったら幸せオーラ全開なんだから! ねっ、リースちゃん」

「う、うん。うらやましいです」

「それで、ライトはいつになったら反応するんだ?」


 ……あっ、しまった!

 いろいろ考えてたら反応が遅れてしまった!


「あははは……」

「笑ってごまかすな」


 いやいや、この状況で笑ってごまかす以外どんな方法があるっていうんだよ。

 下手な事言ったらどうせアレクやセリスに突っ込まれるだけだし。


 こうして俺達は久しぶりに再会した。


―――――


「じゃぁみんなの特訓の成果見せてもおうかな!」


 始業式も終わり、今日は午後からは授業がないので、夏休みに入る前に、みんなが休みの間に無詠唱の練習をしてくると言っていたから、その成果を見せてもらう為に闘技場を借りて来ている。


「じゃあ俺からやらせてもらおう」


 そう言って前に出たのはマルコだった。

 マルコか……さてどうだろうな。


 すると、マルコが右手を前に出して集中しだす。


「……はっ!!」

「おぉ!!」


 マルコが声を出すと同時に、炎の矢が放たれる。

 あれは確か俺との決闘で使っていたファイヤーアローっていう魔法だ。

 無詠唱だから追尾型にはなってないとはいえ、ちゃんと魔法としての形で発動できている。


「……どうだライト?」

「凄いじゃないか! ちゃんと魔法になっているし!」


 俺はどや顔で聞いてくるマルコにちゃんと褒めてあげる。

 マルコもいろいろ辛い思いしてたからな。

 頑張って練習してんだろう、努力が報われて良かったな。


「さすがマルコ様!」

「ついにマルコ様の時代が!!」


 すかさず、マルコの取り巻き二人がご機嫌取りに伺う。

 あいつら本当にこういう行動は早いな。


「いや、まだまだだけどな。ほらお前達もやってみろ」


 そういうマルコもまんざらではないようだ。

 まだまだと言ってるけど、口元は緩みっぱなしだ。

 まぁマルコの努力が報われたんだしな、今日は突っ込まないでおこう。


「「はい!」」


 取り巻き二人はマルコの言葉に返事して二人同時に前に出て、右手を前に出す。


「「……はっ!!」」

「……えっ?」


 取り巻き二人は前に出たかと思うと、さっきのマルコと同様に無詠唱でファイヤーアローを放つ。

 そして、二人はマルコ元へとの駆け寄り、「見てください! 出来ました」「マルコ様に恥をかかせないように頑張ったんです!」と言っている。

 マルコはそんな二人に、「お、おう。よくやった」と声をかけているけど、表情は引きずっている。


 ……あの二人、機嫌取るのはいいけど、接待は出来ないな。

 まぁ別に接待はしなくていいんだけど。

 でも、マルコ可愛そうだな。

 上げたと思ったら急降下だもんな。

 いや、でもマルコ、ちょっとだけだけどマルコの魔法の方が威力あったと思うぞ!

 だから元気出せ!!


 俺と同じような事を思っているのか、アレクやシリウス、そしてセリスとリノアも哀れみを含んだ視線をマルコに送っている。

 あれ? リースちゃんは?


「次、私が行きます!」


 マルコが傷心モードに入っているのよそに、リースちゃんが前に出て行く。


 ……この子も空気読めないのかも。


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