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ますます彼氏選びが難しくなりました

 見る見る間に、フランの身体を黄色の電気が覆い、バチバチと音を立てる。

 下からも「なんだあれ!?」「フランちゃん凄い!!」「フランちゃん頑張れ!!」と言った声が聞こえる。

 フランの奴、何をどうしたんだ?

 あれは……まさにスー○―サ○ヤ人のようじゃないか!?

 てか、あれは痛くないのか!?


「いくよ、お兄ちゃん!!」


 そう言ってフランは俺に向けて突っ込んでくる。

 ヤバイ、そんな事考えてる場合じゃない!


 俺は向かって来るフランに対応しようと思ったけど、よくよく考えたらあれは十中八九電気だと思うし、防ごうと思って触れたら感電するんじゃ……?


「はぁぁぁぁああああああ!!!!」


 そんな事を考えているうちに、フランが俺へと肉薄し、右ストレートを放ってくる。

 やばいやばい! 避けないと!!


「おわっ!?」


 俺はフランが繰り出してきた右の拳を避けるけど、フランの腕に纏っていたた電気が俺に触れ痛みをもたらす。

 なんだこれ!? 厄介だぞ!?


「まだまだ!!」


 その後のフランは右、左と拳を繰り出し、時々蹴りを混ぜなら俺に攻撃してくる。

 俺はさっきの反省を生かし、フランの攻撃を余裕を持って躱している。

 フランの魔法を纏うと感じのようなものも、動き自体のスピードは変わってないので、俺の闘気を使ったスピードには敵わない。

 だから、俺は避ける事が出来るけど、ただ身体強化を使った状態の時と違って、一撃でも食らえば感電、しかも魔法と違って単発単発じゃなくて身体に纏わせているだけあって、いろんなバリエーションで襲ってくるから厄介だ。

 俺が魔法障壁を使えていたら問題ないのかもしれないけど、残念ながら俺はまだ魔法障壁を完璧には使いこなしていない。


「さすがお兄ちゃん! でも私だって!!」


 そう言ってフランの攻撃は激しさを増す。

 そして、その攻撃をなんとか避け続ける俺。

 

 くそ、一撃でも食らう訳にはいかないってのは神経を使う。

 このままではジリ損だ。

 一気に勝負をつけるしかない!


 俺は一旦、フランから距離を取る。


「いくぞ、フラン!!」


 俺はそう言って右手から炎の矢、左手から氷の槍を発動させフランに放つ。


「甘いわ!!」


 フランは俺の魔法を防ごうと魔法で対抗しようとする。


「――えっ!?」


 俺がフランに向けて放った二つの魔法はフランに向かう途中でお互いがぶつかるように進路を変え、フランの前方で爆発を起こし、水蒸気を発生させる。


「終わりだ、フラン」


 突然の事に驚くフランの隙と、水蒸気によってできた靄をカモフラージュに俺はフランに肉薄し目の前で拳を止める。


 マルコやリーゼル先輩との戦いで、詠唱すれば魔法を誘導できると知った俺は、無詠唱でもイメージさえできたら誘導できるのではないかという考えに至り、密かに練習していたのだ。

 そして、無詠唱は動く標的でも魔法を放ってからずっと魔力を感じながら対象を追いかけるイメージをすれば追跡出来る事が分かった。

 でも、この方法は動きながらやるにしてはなかなか難しいものがあった。

 しかも、闘気や気功みたいに体内の魔力を操作しながらするのは難しい。

 そこで思いついたのが、予め魔法の動きをイメージして放つ事だった。

 

 これは最初にイメージさえできれば、放った後にイメージが途切れても、最初にイメージした動きは魔法に込められているからだ。

 詠唱魔法は詠唱することで、予め言葉にイメージを詰め込むことで無意識でもイメージが途切れないようになっている。

 だから、無詠唱でも予め動きをイメージして放てば、その後魔法から意識を話してもそのイメージは魔法を放った際にできているはずだ。

 そう考えた俺は試してみるとその通りになったのだ。

 誘導は難しくても動きはインプットできる。

 俺はそれを利用してこの方法を思いついたのだ。


「せっかくお兄ちゃんに勝てると思ったのに」


 そう言ってフランは全身に纏わせていた雷を解除する……。

 あれだけ電気を帯びていたのに、静電気で髪の毛が爆発しないとは……いやいや、使用している本人は感電しなかったから、自分には影響はないのかもしれない。


 というか、フラン凄すぎだろ。

 自分に魔法を纏うとか……。

 あんなん下手したら自分がダメージ受けるし、やってみようなんて考えない。


「フラン、さっきのは自分で考えたのか?」


 俺は模擬戦が終わって地上に降り立つと同時にフランに聞く。


「えっ? うん、そうだよ。お兄ちゃんに勝とうと思って編み出したの」


 俺に勝とうと思ってなんて……。

 それ以上強くならないでくれ。

 彼氏候補がますます減る。


「そ、そうなのか? それにしてもよく自分に魔法を纏うなんて考えたな? 怖くなかったのか?」

「うーん、どうだろう? 何かお兄ちゃんに対抗する方法を考えてて、身体強化して攻撃しながら魔法使えないかと思ったけど、なかなかイメージしながら動くの難しかったから、それなら纏っちゃえと思ったら大丈夫だった」


 ニコリとしながらさらっと言うフラン。

 纏っちゃえって……。


「お、おぅ」


 俺は何とも言えない怖さを覚えた。


 それにしてもさっきのは魔法をそのまま纏っていたように見えたけど、もしかしたら闘気のように魔力に属性を足したようなものなのかもしれないな。

 闘気は魔力を纏い、身体を活性化させて身体能力を上げているけど、さっきのはどちらかというと、魔力を纏い属性を加える事がメインで纏った魔力を魔法に変えているようなイメージなのかもしれない。


 そう考えるともしかすると、同時に発動なんて事も……。


「次こそお兄ちゃんに勝つから!」


 笑顔で俺に告げるフランに、これ以上強くならないでくれと心から思った。


次回更新は7/26(火)の予定です。

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