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神様、これだけは運命の再会にしてください

「あ、あの~……」


 俺がアレックスが何者か考えていると、後ろから女の子の声で呼ばれた。

 ん? この声聞いた事あるような……誰だ?

 俺は聞いた事あるような声に振り返る。


「――っ!?」


 そこには女神がいた。


「久しぶり! その様子だとやっぱりリノアの言う通り間違いないみたいだね。まさかあの時の男の子が今を時めく魔法戦士様だとはね! それにしてもリノア凄いじゃん! よく顔しっかり覚えてたね? あっ、一目惚れしてたもんね!?」


「ちょ、ちょっとセリス!! 何言ってるの!?」


 振り返った先にいたのは、黄緑色の髪で、若干垂れ目で大きな瞳の小さな顔、そして、すっとした鼻筋で小さい鼻にリップを塗ったかのようなツヤのある唇で、可愛らしい女の子と金髪で少しつり目気味の茶色い瞳で、こちらも小さめの顔、そして、キレイ&セクシーといった感じの女の子。


 そう!

 かつて俺が街でヤンキーに絡まれいるところ助け、いい感じになったところで俺の前の学校の友達であるジャグナル君とライア君が現れ、主にリーゼントといった強面のジャグナル君を見て逃げ出したであろう、俺にとって悲しい結末で終わった時に出会った俺の女神であるリノアちゃん!

 そして、その時に一緒にいたセリスちゃんだ。


 忘れもしない、あの黄緑色の髪の女神に再び出会える事を夢見ていた日々……。


 まさかこんなところで再開するなんて……これは運命? テンプレ?

 どっちでもいい!!

 俺にとって初めて物事が良い方向へ動いている!


「もしかして前に街で会ったリノアちゃんとセリスちゃん?」


 俺は心の中のテンションとは裏腹に、努めて冷静に言葉を口にする。 

 さすがに、いきなりこころの中のテンションと同じハイテンションで話しかけたら引かれるだろうし、なんせ俺とリノアちゃんたちとは一度しか会っていない。

 しかもかなり短い時間だったし『自分、めっちゃ覚えてます!』みたいな感じだったらちょっときもいだろう。


 だから、ここは『少し覚えてますよ。忘れていませんよ』的な接し方がいいと思う。

 だから焦るな、俺!!


「あっ、うん……覚えててくれたんだ」


 セリスちゃんに抗議していたリノアちゃんは、その動きを止めて俺の方へゆっくり向き直って、ちょっと恥ずかしそうに言葉を口にする。

 あぁ……なんて可愛いんだ……。


 よく見ると、その後ろでセリスちゃんはニヤニヤしながら俺とリノアちゃんを見ている。

 前も思ったけど、セリスちゃんってこういったキャラか……これは気をつけないとからかわれるパターンだな。


「うん……あの後、大丈夫だった?」


 俺は無難な言葉を選択していく。

 今は攻める時じゃない。様子を伺う時だ。

 なんせまだ学園生活は始まったばかりなんだから。

 それに同じクラス……チャンスはたくさんあるはず!


「うん……おかげ様で大丈夫でした。まさか、こんなすごい人に助けてもらってたなんて本当びっくりで……」


 すごい人? 

 ……あぁ、俺が事件と解決して魔法戦士とか呼ばれているからか。

 魔法戦士ライトなんて言われた日には俺は日本でなら生き恥を晒すところだ。


 でも、これはまずいな。

 敬語とか使われいているし……あまり距離感を感じられるのは良くない……ってなんかで読んだ気がする。


「いやいや、そんな凄くないってたまたまだって! だからそんな敬語使わなくていいよ! それに同じクラスメイトなんだし」


 とりあえず敬語は避けてもらわないと。

 ……あっ! リノアちゃんの事ばっか考えてまた『凄くないってたまたま』とか聞く人が聞いたら嫌味な事言ってしまった!!

 『たまたまで魔法も気功も闘気も使えるか!』って怒られそうだ。


 案の定、近くで聞いていた男子生徒は嫌そうな顔をしている。

 ごめん、悪気はなかったんだ。

 今はリノアちゃんで必死で……君とも必ず友好な関係を築けるように努力するから!!


 俺はそう心の中でその男子生徒に謝ってリノアちゃんと会話を続ける事にした。


「でも……」

「ほらリノア! ライト君がいいって言ってるんだから! それにいつまでも敬語だと仲良くできないよ! ねっ!」


 セリスちゃんはそう言って俺にウインクで合図しながら俺に同意を求めてくる。

 うん、これは有無を言わさないパターンってやつだろう。

 ここは素直にセリスちゃんに乗るしかないな。


「そうだよ。俺達同じ学年だしクラスメイトなんだから。それにさっきアレクが言った通り学校は身分もなにもかも関係ないだろ?」


 ん? どうしたんだ? 

 なんかリノアちゃんもさっきとは違う意味でなんか驚いてるぞ? それにセリスちゃんもなんか顔引きつってる?

 ……俺なんか変な事言ったか?


「そ、そうよリノア! アレックス様もいってるんだからそうしないと!」

「う、うん……分かった」

「よし! じゃあライト君! これからは私たちの事は遠慮なく呼び捨てにしないさい!! いいわね?」

「お、おいそんな急に――」


 俺がいきなりそんなのは難しいって断ろうとしたところで教室のドアが開いた。


「席につけーー!! 今からオリエンテーションするぞ!」


 先生が入ってきて教室を一瞥して言葉を放つ。

 あれが俺達の担任か? 

 見た目、黒髪短髪のまだ若そうなスポーツ系の男の先生で、俺が予想していた歳のいった理論派のおじさん先生とは正反対だった。


「じゃあこれからよろしくね、ライト君」

「こ、これからよろしくです。……ライト君」


 セリスちゃんとリノアちゃんはそう言うと、自分の席へと戻って行った。

 ……なんだろう?

 こんなトントン拍子でいいのか?

 この反動どっかでない?


 今まで散々、予想外の展開に悩まされ続けてきた俺は、この調子の良い展開に疑心暗鬼になっていた。


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