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明日から夏休みです

「明日から夏休みだが、羽目を外しすぎないように!!」


 教室内にダグラス先生の声が響く。

 そしてダグラス先生の視線はバッチリ俺と合っている。

 今や俺は完全に問題児扱いだ。

 俺だって問題起こしたくないし、夏休みはゆっくり過ごしたい。

 ……でも、フラン問題もある。

 どうしよう……。


 そう、ダグラス先生の言うとおり俺たちは明日から夏休みなのだ。

 あの修学旅行から帰ってからは、問題も起きずに毎日があっという間に過ぎて行った。


 無詠唱の練習もアレクやシリウス、そしてマルコとその取り巻き二人も簡単な魔法なら無詠唱で発動できるようになった。

 その中でも一番筋がいいのがアレクだ。ちょっと気に入らないけど、簡単な魔法に加えて、一度に二個発動といった事も出来るようになっていた。


 その光景を見て、マルコの取り巻き二人が、「アレックス様できるようになりました! さぁもう遠慮はいりません!」「そうですマルコ様! もう接待は大丈夫です!」とか言ってマルコに怒られていた。

 マルコは怒った後に「やりたくてもできないんだ……」と呟いていたのは少し哀愁が漂っていた。


 その時にはもう少しマルコについて教えてあげようかと思った。


 ちなみに、リノアとセリス、リースちゃんの三人は魔法としての発動まではうまくいかないが、火や水といった感じで発生できるようになっているので、あとは魔法としのイメージだけだろう。

 リースちゃんは性格から大丈夫だろうかと思っていたけど、魔法の方は優秀なようで、無詠唱もリノアとセリスに追いついた。

 それにリノアとセリスは自分の事のように喜んで、もはや本当の姉妹のようだ。


 俺からすれば、好意を持たれていた子と彼女が仲良いってのは微妙な気持ちになるけど……まぁ仲の良い事は良い事だ。

 俺がちゃんと対応して間違いを起こさなかったらいいだけなんだから。

 うん。


 ちなみに、成績に関しては実技も座学の方も優秀な成績だったけど、コメントとして、「学生として考えて行動するように」と言われた。

 なんかいろいろな意味が含まれていそうだ。


「ライト君?」

「ん?」


 俺が先生の言葉を聞いて、いろいろ考えているとリノアが声をかけてきた。


「あの……この夏休みに家に帰ったらライト君の事、両親に話してもいいですか? 私、親にもし誰かとお付き合いする事になったら、ちゃんと言いなさいって言われていて……あの、今回これだけ大事になったし、もしかしたらもう耳にも入ってるかもしれないから、ちゃんと自分から言った方がいいかなと思って……」 

 

 ……両親に報告……マジか!? いきなりハードル高くないか!?

 ……でも、そりゃそうか、リノアは貴族の子供だもんな。

 てか、俺平民だけど認めてもらえるんだろうか……?

 ……でも、断る事なんてできないよな。


「お、おう! もちろん! ……でも、大丈夫? 俺、平民だけど認めてもらえるかな?」

「大丈夫です! そこは何があっても私が説得します!」

 

 リノアはそう言って両手を握りしめて気合いを入れている。

 うーん……可愛い!!


「そっか、分かった! 何かあったらまた言って! 何だったら俺もちゃんと挨拶と認めてもらえるように言いに行くから」

「はい! じゃぁちょっとの間お別れですけど、ライト君元気でいてくださいね?」


 リノアはそう言うと、笑顔でセリスとリースちゃんのところに戻って行こうとし、途中で振り返り、「浮気しちゃダメですよ?」と言ってきて、俺はそれに「もちろんだよ」と返した。

 なんだろう? 俺、信用されていないのか? ……いや、違うな、きっとそれだけ好かれているって事だろう。

 それに、リノアがそう言う時の顔はものすごく可愛らしいからな。


「最後の最後までいちゃつくとはな」

「アレク!?」


 こいつ気配なかったぞ!?


「まぁ仕方ないか、しばらく会えないんだからな。でも、長い休みで、会えないからといって浮気するなよ? 前みたいな騒動はごめんだぞ?」

「しないっての!!」


 俺はリノア一筋って最初から決めてるんだから!

 この前のは……ちょっと対応が悪かっただけだ。

 それに、長い休みで時間があるっていっても、俺にはフランの問題っていう大きな問題が……。


「どうしたライト? 顔が暗いぞ? そんなに彼女に会えないのが悲しいか?」

「い、いや、そんな事……ないって訳じゃないけどな、家庭の事情だ」


 リノアに会えないのが悲しいかと言われたら悲しい。

 でも、それよりも今気がかりなのは、フランのリノアの事をどう話するかって事だ。


「家庭の事情……?」

「あ~いや、気にしないでくれ。たいした事ないから」


 いや、実際たいした事あるんだけど。


「ふむ、まぁ気になるところだが、さすがの俺も家庭の事情まで突っ込む訳にいかないしな。やめておこう。とりあえず問題起こすなよ?」


 アレクにも自重って事ができるのか。

 てか、人の家の事情に突っ込むとか考える事すらやめろよ。


「分かってるよ。俺だってもう怒られるのはこりごりだ」


 こうして俺達は一学期を終え、夏休みへと入るのだった。

 ……フランが怒って暴走したらどうしよう……。


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