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事件は解決したけど尾を引きそうです

「それでなんでお前は修学旅行に来て、我が国の問題になっていた一団と揉めて、壊滅させているんだ?」

「あははは……」

 

 俺はアレクの問いに愛想笑いで誤魔化す。


 俺は今長い一日が終わり、宿屋の部屋に戻っている。

 そして、戻ってきて少し落ち着くなり、アレクに今日の出来事の嫌味を言われている。


 あの後、バグデスファミリーのところから、街に戻ってくると今回の修学旅行の引率先生たちが総出で、俺達を街の中、外を探し回っていた。

 後で聞いた話によると、アレクとセリスがなかなか戻らないから心配して先生に相談したらしい。

 そして、先生たちが俺とリノアを探しに出たようだ。


 すると、俺が街の中で空を飛ぶといった派手な事をしたせいで、街中で噂になり、また俺がリノアの話を聞いたおっちゃんが、バグデスファミリーのところへ向かったと騒ぎ、その話が探し回っていあ先生の耳に入ったらしい。


 その話を聞いた先生は、顔を青くして衛兵のところに駆け込むと同時に、地元の貴族、さらにはアレクにまで事情を話してウェルホルム王国の応援の要請をするとともに、街の中と外を捜索しながら、魔法学園に応援を呼ぶ手はずをし、応援が来ると同時にバグデスファミリーの家に乗り込むつもりだったようだ。


 今まであまり手出し出来なかったのになんで? って思ったけど、俺達が通っているのは最高峰の王立魔法学園だ。


 そこには当然、国中の有名貴族が英才教育で子供を育て入学させて来るし、その子供達を預かっている以上、学校の授業の一環で生徒に何かあったとすれば学校の……ウェルホルム王国の面子にかかわるという事、そして、リノアの家は伯爵という事もあって物凄い騒ぎになったみたいだ。

 でも、リノアの家が伯爵とは……俺、リノアの両親に交際許してもらえるんだろうか?


「おい? ちゃんと人の話聞いてるか?」


 あっ、やばいやばい。


「き、聞いてるって」

「はぁ~……まぁいい。バグデスファミリーの件は、我がウェルホルム王国の悩みの一つであったからな。父もきっと喜んでいるだろう。でも、まさかあのボーガン=バグデスを倒すとはな……」


 俺とリノアが街に戻って事情を話すと、今こそチャンスとばかりに衛兵と地元貴族の協力を得て、バグデスファミリーのところに乗り込んだ。

 聞いたところによると、バグデスファミリーになかなか手出し出来ない要因として、やはりボーガンの存在が大きかったらしい。

 でも、そのボーガンが俺にやられ、弱っている今がチャンスだと思い、突入に踏み切ったようだ。 


 バグデスファミリーにはまだ戦える者もいたけど、ボーガン=バグデスを含む主力は俺が倒していたようで、魔導具もおおかた俺が破壊していたから、地元貴族の魔法使いと衛兵、そして迷惑をかけたという事でダグラス先生や何人かの先生も協力したという事で問題なく対応できたみたいだ。

 

 衛兵たちがバグデスファミリーに駆け付けた時は、まだボーガンもドナルドも意識を失っていたようで、二人はそのまま今回の件と今までの事件の重要参考人として、連行されたようだ。

 そして、これを機にバグデス一家の屋敷に捜査が入るらしい。


「それでも、ダグラス先生たちはおかんむりだけどな」

「うっ」


 アレクはニヤリと意地の悪い顔で俺に言う。


 俺とリノアは衛兵に一通り事情を聞かれた。

 そして、長い事情聴取が終わったと思ったら、次はバグデスファミリーの捕縛の手伝いから戻ったダグラス先生たちからの長い説教が待っていた。

 ……俺だけ。


 衛兵の事情聴取の後、リノアは精神的な負担もあったからという事で、セリスと女性の先生に付き添われて静養の為、部屋に戻った。

 それで俺も部屋に戻ろうとしたら、先生たちに捕まって、「無茶するんじゃない!」「何かあったらどうするんだ!」「彼女がいるなら誤解されるような事をするな!」と言われた。

 俺にとったら最後のが一番心に響いた。


 なんで、先生たちがこんな事まで知っているかというと、リノアが宿屋を勝手に出て行ったという事になっててリノアが怒られそうになった時に、俺が言ったのだ。

 そして、言ってから後悔した。


 まぁでも、そのおかげもあってこんこんと怒られた後に、先生に頼んでリースちゃんにちゃんと話をする機会を作ってもらえてしっかりと言えたことは幸いだった。

 リースちゃんは、「こんな事になってすいませんでした……」と目に涙を浮かべていたけど、俺はもう下手に慰めずに「気持ちに答えられなくてごめん」とだけ言って、後にした。

 

 なんとなく、罪悪感はあるけど、そこははっきりとしないといけないし、その気持ちに断れないなら多少の罪悪感は背負わないといけない。

 ……なんだかちょっと大人になったな。


「なぁアレク、ウェルホルム王国にとっては良かったんだろ? だったらアレクかアレクの父さんから学校に俺に対して、少し優しくしてもらえるように言ってもらえないか?」


 アレクの後ろでシリウスが、「父さんだと!? 国王様の事を……」と言っているけど、俺はそれよりも自分の事で必死だ。

 それに国王はアレクの父さんだから間違ってない。


「くくく、我が国の国王を俺の父さん呼ばわりか。おもしろい。 でも、ライトそれは出来ない。俺は初め言っただろ? 学校では身分も何も関係ないと。だから、学校の中と国とはまた別だ。ちゃんと怒られろ!!」


「そんなぁ~~!!!!」


 俺にはバグデスの顔よりも、アレクの顔のほうがよほど手ごわい感じがするって思った。


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