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子供が子供なら親も親でした

 ドアの方を向くと、そこには黒髪のツンツン頭に黒い髭を生やし、筋肉隆々の男が立ち塞がっていた。

 なんとなく年は取ってそうだけど、その姿はおっさんには見えなくて、まだまだ若々しく見える。


 俺はリノアといい雰囲気のところを邪魔されて、残念に思うの半分、止めてくれて感謝するの半分の気持ちでその男を見る。

 俺の家……? まさかこいつ、バグデスファミリーのボスか?


 俺が無言でいると、男は俺とリノアの奥に倒れているドナルドに視線を移す。


「……俺の息子にまで手出すとは……許せん……」


 男は静かに言葉を発する。

 声は小さいけど、さっきの怒鳴っている時よりも圧力がある。


「それはおまえの息子が悪い事するからだろ?」

「悪い事? ここではバクデス家がやっている事に悪い事はない」


 ……こいつめちゃくちゃだな。子供が子供なら親も親だな。


「……リノア下がってろ」


 俺はリノアに下がるように言う。

 それと同時にドナルドが目を覚めしても大丈夫なように無詠唱で、ドナルドを囲うように岩を格子状にして出現させる。

 こいつにはどんな理由を言っても素直にここから出してはくれないだろう。


 リノアは心配そうに俺を見ていたけど、「大丈夫。俺が負ける訳ないだろ?」と言ってリノアに下がるように言った。

 リノアはそれでも心配そうにしていたけど、俺の言う通り下がってくれた。


「なるほど……おまえは魔法使いか。偉そうな口をきく訳だ。それはそうと今のは詠唱してなかったように思うが?」

「……」


 俺は男の問いに無言で返す。

 わざわざ敵だと思われる奴に手の内をあえて言うのは控えた方がいい。


「ふん、まぁいい。所詮軟弱な魔法使いだ。この俺……ボーガン=バグデスに勝てると思うなぁぁぁぁあああああ!!!!」


 ボーガンが叫ぶと同時に、ボーガンの周りにオーラのような物が発生する。

 これは……闘気。


 闘気って戦士学校でもベイル先輩しか使っているのを見た事がないし、少数の人しか使えないだろうに厄介な奴が……。

 闘気を使われたら魔法使いと言えど、優秀でない限り魔法障壁で防ぐのは難しい。

 と言う事は、魔法を詠唱する間もなくやられる可能性が高い。


 そうか……こいつが闘気を使えるから衛兵もなかなか手出しできなかったのか。


「ふははは!! 驚いたか! 俺は闘気を使える!! ここまでにいた軟弱な魔法使いと一緒にするな、よぉぉぉぉおおおおお!!」


 ボーガンはそう言うと同時に俺に詰め寄る。

 俺はすぐさま闘気を発動させボーガンを迎え撃つ。


「なに!?」


 ボーガンの繰り出した右ストレートを俺は左手に気功も併用し強化して受け止める。こいつ……口だけじゃない。


 俺が闘気と気功を併用しているにも関わらず、油断すると吹き飛ばされるくらいの力がある。

 この威力……もしかしたらベイル先輩と同等くらいかもしれない。


 俺が拳を受け止めた事に一瞬驚いたようだけど、すぐさま手を振り解き、後方へと飛び俺と距離を取る。

 こいつ……見かけによらず冷静だな。

 てっきり、「そんな訳ある訳がない!」とか言って頭に血を登らせて、動きが単調になるかと思ったけど、気候が止められるや否や、距離を取り冷静に俺の事を見ている。

 ……思ったり厄介な奴かもしれない。


「……魔法に気功……おまえが噂の魔法戦士か?」


 ボーガンは俺を見据えながら、確認するように呟く。

 魔法戦士の噂は街でも広がっているし、知っていてもおかしくない。

 まぁこの世界は写真とかないし、噂だけでは分からないだろうけど、この世界で闘気や気功と魔法を使えるのは俺しかしない。


「……だったらどうする?」


 世間で広まっている魔法戦士の噂は、とてつもない強さで魔法や気功を使い、天才魔法使いと呼ばれた男が率いる集団を壊滅させたって感じになっているはずだ。

 実際はレイン一人しか倒してなくて、あとは勝手に壊滅したんだけど。


 でも、俺が魔法戦士と分かってボーガンが引いてくれたらいいけど……どうだ?

 ボーガンも目の前で魔法と闘気を使ったから、俺が魔法戦士ってのを否定しようにも出来ないと思うけど……。

 

 俺はボーガンが引いてくれるのをわずかに期待しながらボーガンの様子を伺う。


「へへへ、そうかそうか! 久々に強い奴と戦えるなんて嬉しいぜ!」


 そう言って、ボーガンはさっきよりも闘気のオーラを大きくする。

 こいつ……ベイル先輩よりもオーラ大きくないか?

 俺は戦士学校で、ベイル先輩に負けた。

あの時ベイル先輩が本気だったかは分からないけど、あの時のベイル先輩のオーラより大きい気がする。

 俺もあれからいろいろ特訓して闘気をほぼものにしたし、有り余る魔力で威力を上げることが出来るとはいえ、、これは俺も油断してられない

 俺はボーガンを見据え相手の動きを注視する。


 無詠唱で魔法を放ってもいいけど、あの感じだと魔法と見た瞬間に動かれたら避けられてしまうだろう。

 雷魔法とかなら利くかもしれないけど……。

 でも、今の状態で下手に意識をそっちに持って行っている間に動かれたた致命的なダメージを負うかもしれない。

 ……魔法障壁が完璧に出来ない以上、ここは闘気と気功でいくほうがいい。


 俺はそう思い、ボーガンに対応すべく構えた。


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