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落ち着いていられません

「リノアがいない!?」


 俺がリースちゃんをなんとかなだめて、収拾をついて部屋に戻ると、なぜかセリスが来ていて、アレクとシリウスと真剣な顔で話していた。

 それで、何事かと思って聞いたらリノアがいなくなったっていう事だった。

 リノアが、なかなか戻ってこないからセリスはこの部屋へ来てないか聞きにきたらしい。


「リノア何か急に走って行ったから、私てっきりライト君のところかなと思って、私も暇だったしちょっとアレックス様やシリウス君と話そうとしたら、ライト君は手紙で呼び出されていないって言うし、でもリノアは手紙なんて書いてなかったから……」


「もちろんこちらにもリノアは来ていない。それでどこに行ったんだろうと思っていたところに、お前が戻ってきたんだ。どっかで二人が会って一緒にいるかとも思ったが……やっぱり一緒じゃなかったんだな」


 いや、あの場面で一緒にいたらヤバかったでしょ……。

 でも、リノア……どうしたんだろう?


「リノア……私がライト君との事からかったからかな……」


 セリスは今にも泣きそうな感じだ。

 セリスはリノアと仲が良いし、今はリノアが俺と付き合っているのと、無詠唱の練習をする事になった事で、他の女子からはよく思われていないのか、あまり一緒に行動したりとかはないし、リノアとケンカになったら心寂しいだろう。

 なんか俺のせいもあるし、その辺は申し訳ない気もする。


「いや、それはないだろう。それが原因なら付き合い始めた時の方がひどかったしな」


 いやアレク、サクッとひどい事言うな!?

 それにおまえもたいがい俺をからかい過ぎだけどな。

 っとそれより、リノアの事だ。


「それはそうとセリス、リノアが部屋を出て行ってから一度も出会ってないのか?」

「ううん、一度出て行った後に廊下を走ってくるリノアに出会ったの。それ以降は……」


 ん? 廊下……?


「セリス、廊下ってどこの廊下からリノアは来た?」

「え? 宿屋の裏側の廊下だけど?」


 っ!? 宿屋の裏側の廊下……まさか!?


「お、おいライトどこに行くんだ!?」


 俺はアレクの声をスルーして部屋を出る。

 宿屋の裏……まさかリノアは俺とリースちゃんを見たんじゃないだろうか?

 くそ! まさかリノアに見られるなんて……。

 いや、誤解を招くような事をしてた俺も俺だ!


 俺は宿屋の中を全力で探したけど見当たらない。

 

 もしかして宿屋を出たのか? 

 確か先生は治安の悪いところがあるから気をつけろって言っていたのに……。

 とにかく早くリノアを見つけないと危ない! 


俺は宿屋を飛び出した。



―――


「すいません! 制服を着た黄緑色の髪の女の子見ませんでしたか!?」

「うーん……見てないね~」

「そうですか……ありがとうございます!」


俺は道行く人に片っ端から声をかけていく。

リノアがどこに行ったかなんか見当もつかないし、それしか方法がない。

俺の軽率な行動でリノアを傷つける事になってしまって、こんな事になるなんて……。


「ちょっと君!」


俺が走って違う場所へ行こうとすると、露店のおっちゃんに声をかけられる。


「えっ? 俺ですか?」

「そうだ! 君はあの子の彼氏か何かかい?」

「えっ? まぁそうです」

「そうか……君の探して子、たぶん俺が見た子だと思う」

「えっ!?」


ここは観光地だから露店も多い。

露店の人は移動せずに、ずっと立っているから、もしかしたらリノアが向かった方向を知っているかもしれない。

くそ、なんで俺は最初に気づかなかったんだ。

……だめだな、明らかに動揺している。


「リノアは……その子はどこに行ったんですか!?」

「お、落ち着いてくれ!」

「あっ、すいません」

 

 俺は早くリノアに誤解を解きたいがために、身を乗り出し過ぎてしまった。

 

「あぁ。でも急いだ方がいいかもしれない」

「えっ……?」

「あの、急いだ方がいいってどういう事ですか?」


 俺は今度は落ち着いて問いかける。

 俺の胸に一抹の不安がよぎるけど、それを振り払う。


「……落ち着いて聞いてくれ。実はその子だと思う制服を着た子がこの通りにいたんだが、連れ去られたんだ」


 ……えっ? 連れ去られた……? リノアが……?

 えっ? どういう事? 何かの間違いじゃ……でも、このおっちゃんは制服を着た子って言ってたし……なぜリノアが連れ去られるんだ!?


「連れ去られたって……? ……どういう事ですか!? なんでリノアが……っ!? 誰に!? どうして誰も助けなかったんですか!?」


 俺は落ち着いてなんていられず、露店のおっちゃんに食って掛かる。

 なんでリノアが!? どうして!?

 連れ去られるとかあるのか!? この観光地で!?

 そりゃ治安が悪いって先生も言ってたけど、俺達学校の生徒だぞ!?

 

「お、落ち着いてくれ!! 落ち着いてくれなきゃ話せない!」


 俺はおっちゃんの言葉を聞いても、落ち着けないけど、話を聞けないとまずいので、とりあえず深呼吸をして、おっちゃんに向き直る。


「……誰がリノアを連れて行ったんですか?」


 リノアが連れ去られていると思われる以上、なぜ助けなかったのかとかはどうでもいい。

 一刻も早くリノアを助けないと。


「その子を連れ去った人物は、ドナルド=バグデス。この辺りに顔を利かせている連中だよ」


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