決闘は終わったけど次の問題が起きました
「くそ! 俺が……この俺が……っ!!」
リーゼルは悔しそうに地面を殴っている。
悔しくなる気持ちも分からなくもない。
学校では優秀だと言われていたのに、一年にケンカをふっかけた挙句、逆にコテンパンにやられたんだから。
それにプライドも高く、身分も気にしていたから、一年年下で平民出身の俺に負けたのはショックだっただろう。
でも、それが現実だ。
勝負がついたのを見た生徒が、一斉に歓声を上げる。
すると、リーゼルの取り巻きの二人がリーゼルの元へとやってきて、二人がかりで肩に担いでこの場を去って行った。
これであいつもちょっとは改心するといいけど。
「あの凄まじい魔法を抑えるはな」
「アレク……」
あんな凄まじい魔法を抑えるとはなって……止めなかったらえらい事になっていただろうし、俺も必死だったってのに!
それに、そもそもアレクが観客呼んでくるから、余計に危なかったんだろ!
「ライト、さっきの魔法は何なんだ?」
俺が心の中で、愚痴って文句の一つでも言おうかと思ったら、アレクが俺の使った魔法について聞いてきて俺は少しタイミングを逃した。
でも、アレクはきっと内心で観客を呼んできた事を『しまった』と思っているだろうし、後で少しからかってやろう。
「ん? あぁ、あれか? あれは魔法障壁の応用だ、魔法障壁を俺じゃなくて魔法にかけて、その魔法障壁の強度を利用して魔法を抑えたって訳」
「魔法障壁の強度を利用して魔法を抑えたって訳って……そんな常識外れの事をやっといて、そんなあっさり言うとはな……さすが、魔法戦士様だ」
こいつ……。
「だから魔法戦士って言うな!! ……でも、その魔法戦士がいなかったヤバかっただろ? どうするつもりだったんだこの観客?」
よし! 途中で言い返すタイミング見つけて良かったぜ! アレク周りを見渡しながら「くっ……確かにその通りだ、すまない」と悔しそうに俺に言った。
へん! 初めて言い返してやったぜ! ザマーみろ!
そう心の中で勝ちどきを上げていると、後ろから視線を感じ、恐る恐る後ろを見たら、シリウスが俺を睨んでいた。
さすがシリウス……。
また小言を言われるかと思ったけど、俺が言ってることは間違いないし、俺のおかげで被害が出なかったから何も言ってこない。
マルコはマルコで取り巻き二人に「さすがマルコ様!」「これでマルコ様の知名度もアップ間違いないです!」と言われ「恥ずかしいから止めろ!」と言って二人を止めていた。
取り巻きがいるのも大変だな。
「それでこれはどうするんだ?」
俺はそう言って辺りを見回す。
リーゼル達の戦いは闘技場のような結界のあるような場所ではなくて、ただの空き地でやったから、辺りは魔法の衝撃で荒れている。
いくら空き地とはいえ、学校の敷地だ、黙ったままってのは無理だろうし、どうするんだ?
「ん? それは俺知らないぞ?」
「えっ?」
「だってこの場所に連れてきたのはリーゼルで、リーゼルが戦いたいって言ったのは主にライト、おまえだろ? だから、リーゼルとおまえで、なんとかしないといけないんじゃないのか?」
「なっ!?」
いや、確かに俺とリーゼルの問題だったけど、こいつも乗り気じゃなかったか!?
「おい、アレク! 親友なら助けてくれよ!」
俺はアレクの言葉を逆手にとって、助けを求める。
「親友だからこそ、親友の過ちには厳しくだ」
こいつ……さっきの仕返しか?
「ライトくーん!!」
アレクが「まぁこれだけ観客がいると証言者もいるし、リーゼルが一番怒られるだろう。まぁライトも怒られるだろうけどな」って言っているとリノアの声が聞こえてきた。
「おっ、ほら、おまえが一番待ち望んでいた者が来たぞ?」
「うるさいわ!」
こいつ、絶対楽しんでやがるな……。
「ライト君、大丈夫だった!?」
俺が心の中でアレクを恨んでいると、リノアがすぐ近くまでやって来ていて、俺は咄嗟に表情を作り変えて出迎えた。
「あぁ、大丈夫だよ! ほらこの通り!!」
俺は、何でもなかったというように微笑みながら全身大丈夫とアピールする。
「良かった……あっ」
すると、リノアはおもむろに俺の腕を掴んだ。
「血が出てる……」
リノアの言葉を聞いて腕を見ると、俺の腕にはあの炎の竜巻に衝撃によってできた傷だろうか?
ほんの少しだけ切れて血が出ていた。
そして、リノアはその傷を見て目を閉じた。
「母なる大地の神よ、我に力を、傷を癒したまえ、ヒール!」
リノアがそう言うと俺の腕にあった傷は消えた。
リノアって治癒魔法使えるんだ。
「ライト君、ごめんね? 私のせいで……」
「いやいや、全然大丈夫。俺こそ無理言って戦わせてもらってごめん」
リノアはそう言って、申し訳なさそうに謝ってくるけど、俺がリノアをつれて行かれるのをほっとけなかったから、リノアに頼み込んでリーゼルと決闘させてもらったんだ。
リノアは悪くない。
「そんな事ないよ。ありがとう……」
そう言ってリノアは俺の胸に飛び込んでくる。
俺は咄嗟に受け止めたけど、えっ? 何この展開? いいの?
「さすが、恋人同士だな、ライト」
俺とリノアの様子を見ていたアレクはニヤニヤしながら言ってくる。
あいつ……仕返し多すぎだろ。
その言葉で我に戻ったリノアはハッとして俺の胸から飛びのいた。
アレクの奴、余計な事を……。
「いや、何言ってんだよアレク!」
「ん? だっておまえはリーゼルの前で言っただろ? 『俺とリノアは付き合っている』って」
「言ったけどあれは……」
「私も聞いたわ! ライト君がそう言ってたのを!!」
セリス!?
そんな大きな声で言うなって!!
……いや、あれはわざとだな!
口元が笑ってやがる!!
「い、いや、だから――」
「付き合ってるなら一度くらいちゃんと告白したらどうだ? 男として。流れのままってのはいけないだろう、ケジメをつけないと」
いや、ケジメって……。
「そうよ! リノアも言ってほしいって思ってるわよ!!」
いや、だからそんな大きな声で!!
気づくと周りにいた生徒も盛り上がっている。
……えっ? この展開どうしろと?
ストック切れました。
現在、明日の分を執筆していますが、間に合うかどうか……間に合わなかったらすいませんm(__)m
読んで頂いている方にとっては、気になるところだと思うので、キリの良い次話まではなんとか更新したいと思っていますが……m(__)m
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