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勢いで言っちゃいました

「おいライト、無詠唱のコツってなんだ?」

「だから、何回も言ってるだろ。イメージだ、イメージ!!」

「そのイメージってのが難しいって言ってるんだ!」

「……想像?」

「言い方の問題ではない!」

「そうだそうだ! マルコ様をバカにするな!」

「そうだそうだ! マルコ様は昔はバカだったけど今は違うんだぞ!」

「おい! 何を言っている!!」

 

 そうか、マルコも努力したんだな。

 でも、なんかマルコと話してるとドーラ君と話しいてるみたいでちょっと懐かしくなってからかってみたくなるな。

 そう言えばみんな元気にしてるだろうか?


 今は学校大変みたいだけど、みんななら大丈夫か。

 それにしても、意外とみんなイメージがうまく出来ないもんなんだな。

 フランに教えた時は、そうでもなかったけど……やっぱり大きくなると頭が固くなるんだろうか?


「それにしても無詠唱は生半可では出来ないな。それに加えてライトは気功や闘気も扱えるとは……」

「そうですね、アレックス様。私もライトに思う事はありますがその実力は認めています。無詠唱だけでなく、あの圧倒的な魔法……魔力量も相当多いのでしょう。それだけではなく気功や闘気まで……ライト、おまえはなんでそんな事が出来るんだ?」

「はは……ナンデダロウネ?」


 まさか、異世界から来て向こうの世界の人が妄想で書かいた話が、この世界で通用しましたなんて言えるはずもなく、俺は誤魔化すようにサラッっと流す。


「やめてください!」


 突如、俺の耳に聞き覚えのある声が入ってくる。

 この声は……リノア!?


「おいライト!?」


 俺はマルコの言葉に返答する間もなく、駆け出していた。

 いったい何が!?


 廊下の角を曲がるとリノアの姿が見えた。

 そして、その横にはセリスもいる。

 あれは……。

 二人の前に、茶髪の男二人と真ん中に金髪の男がいる。


「ほら、リノアもやめてって言ってるでしょ!!」


 どうやら、セリスの言葉から察するに、リノアがあの男たちのどれかに絡まれているんだろう。

 くそ、あいつら……。


「おい、止めろ!!」


 俺は闘気を発動させ、一気に移動し、リノアとセリスと男たちの間に割って入る。


「なんだおまえ?」


 金髪の男は俺を一瞥して、言葉を口にする。


「こいつ……噂になってる魔法戦士じゃねぇか?」

「魔法戦士……?」

「あぁ、去年のあいつに続いて特待生で入ってきた一年生だよ」


 なんだこいつら? あいつの事も知ってるのか?

 まぁ特待生ってのは稀らしいから、知っててもおかしくはないか。


「俺がなんだって関係ないだろ! 何があったか知らないけどリノアが嫌だって言ってるんだからやめろよ!」

「一年のくせに失礼な奴だな。俺はただ単にちょっと付き合ってほしいって言っただけだ」

 

 この金髪がリノアを口説こうとしたのか。

 言葉から考えるに年上か?

 あいつの事知ってるって事は俺の一個上……二年生かもしれないな。

 前の学校といい、どうやら俺は二年生と相性が良くないみたいだ。

 リノアは確かに可愛いし口説きたくなる気持ちは分かるけど……許せん!!


「でも、リノアは嫌がってるだろ? だから大人しく引けよ」

「ふん、だいたいおまえはその子のなんだ? 彼氏か?」


 金髪の男と取り巻きの二人はニヤニヤしながら聞いてくる。

 くそ、こいつら……。

 どうする? なんて答える?


「そうだ、俺とリノアは付き合っている」


 ヤバイ!! どうしよう!? 話の流れで言っちゃった!? 

 でもこれ、こう答える以外なかったよな?


 もしリノアの反応が悪かったらこれが片付いた後で『そんな嫌がらなくても大丈夫! さっきのは冗談だから! ははは』とか言ってごまかすしかないな。

 とりあえず、こんな場面でこいつに付け込まれる隙を作る訳にはいかない。


「ははは!! そんな嘘を――」

「本当ですよ、先輩? だから絡むのをやめてあげてくださいよ」

「アレクッ!!」


 そう言って姿を現したのはアレクだった。

 その後ろにはシリウスとマルコたちもいる。

 この状況で助け舟が出るのは嬉しいけどアレクの奴、顔を真剣だけど、口角が少し上がっているから俺の言葉に悪乗りして楽しんでいるな!?


「アレックス様……」


 どうやら、金髪の男もアレクの登場の驚きを隠せないみたいだ。

 恐るべし、王家パワー。


「そうよ! リノアとライト君は付き合ってるんだから!!」


 おっと!

 ここでセリスまで話に乗ってキター!!

 やばい……どんどん話が大きなってきた……。


 リノアは『えっ? えっ!?』って感じでキョロキョロと戸惑っているし……ごめん、後でちゃんと謝るから。


「ふん、見え透いた嘘を……。それにアレックス様、この私、リーゼル=ウィンダムは、ただ単にお話していただけですよ?」


 こいつリーゼルっていうのか、今やっと名前を知った。

 まぁ名前まで憶えたくないやつだけど。


「リーゼル=ウィンダム……名前は知っていますよ。確か成績優秀な二年生……もっともよくない噂も聞きますけど」


 成績優秀なのかこいつ。

 ってか、やっぱり二年生か。

 俺はどうも二年生と相性悪いよな。

 それに、よくない噂って……まぁ今の行動見てたら分かるけど。


「アレックス様に名前を憶えて頂けているとは喜ばしい。……でも、後半部分は聞き捨てなりませんね」

「ならどうする?」

「いえいえ! 思う事はありますが、王族であるアレックス様にとやかくは言いませんによ。代わりに少し黙っててもらえますか?」


 リーゼルって奴、言葉と裏腹に言ってる事はかなり失礼だな。

 アレクは王族だから穏便にしているようだけど、こいつ本当に性格悪そうだ。

 今もアレクに対して、口は笑っているけど目は笑ってないし。


「っ!? アレックス様に向かって失礼な!!」


 一連の言動を聞いていたシリウスが、ーゼルに向かって飛びかかろうとするけど、アレクはそれを手で制する。


「落ち着け、シリウス」

「しかし――」


 そうしている間に、リーゼルは俺の元へとやってきて俺を見据える。

 なんだ……? 何か仕掛けてくるのか?

 俺は警戒しながら、いつでも対応できるように神経を研ぎ澄ませる。


「……決闘だ」


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