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最強戦車 マリータンク  作者: 真壁真菜
第三章 起源
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「艦長、敵艦より何かが海に投入されました」


 潜水艦の司令塔で、ソナー員が報告した。


「爆雷にしては遠いな?」


「推進音、小型です」


「魚雷か?」


「いいえ、魚雷にしては速度が遅すぎます……音文データもありません」


「……新型の小型潜水艇……か……位置を補足しろ、監視を続行。二番艦にもデータを送れ」


「了解」


_________________________



「大佐、マリーが飛び込んだ様ですね」


「飛び込んだ?」


 後席のガーデマンは嬉しそうに言い、リーデルは思わず聞き返した。


「水中戦闘も出来るんでしょうか?」


「知らんよ……まあ、デアクローゼのソナーじゃ、正確な位置は把握出来ん。我々は敵潜が魚雷発射の為に潜望鏡深度まで浮上するのを待つしかないからな……お手並み拝見といこう」


「……ですが先に、こちらが見付けたらどうします?」


「まあ、少し待て……」


 ガーデマンの問いに、リーデルは即答した。


「了解」


 笑顔のガーデマンは、元気よく返事した。


__________________________



「マリーの奴、ワイヤーなんかどうするつもりだ?」


「知るかよ」


 不思議そうに聞くハンスに、大汗のイワンが苦笑いで答えた。


「しかし、本当に対潜戦闘出来るんだな」


「陸海空、全てがマリーの戦場だ……全く、大したもんだ」


 ヨハンも頷きながら感心し、腕組みのゲルンハルトも苦笑いした。


「でもさ、マリーは虫に弱いんだぜ」


「そう、そう、クモやゴキブリ」


 イワンの言葉にハンスも笑った。


「スーパータンクも台無しだな」


「でもさ、そこがいいんだよな」


 更に苦笑いするゲルンハルトだったが、ヨハンの言葉に全員が笑顔になった。


_____________________



「敵潜補足、二隻だよ」


「さて、どうしますか?」


 笑顔のヴィットが聞いた。海の中では前何て見えない、正面のモニターは暗い海の中を映しているだけで、操縦と言ってもヴィットにはピンと来なかった。


「デアクローゼとの距離はまだあるから、先制攻撃ね」


「了解。で、作戦は?」


「敵潜の目的はタチアナだから、撃沈は狙わないと思うの。多分、信管を抜いた魚雷でデアクローゼの脚を止めようとする……効果を狙うなら同時に多くの魚雷を放つ事……その為には二隻が接近して全門発射しようとします……そこで、攻撃の為に接近した所をワイヤーで二隻を繋げば動きが取れなくなります。外すには浮上するしかないから、そこを狙って威嚇砲撃により武装解除させます。あっ、先に音響魚雷で潜水艦の耳を塞いでからね」


 マリーはゆっくりと説明した。


「そんな面倒な事しなくても、耳を塞いだ後にスクリューにワイヤーを絡めたら?」


 ワイヤーを持って来た時点で、ヴィットは色々と考えていた。艦船にとって、スクリューは履帯やタイヤと同じで”行動”の基盤だったから。


「そんな事したら、何か月も漂流だよ。丈夫なワイヤーだから、喰い込んだらドックに入れないと修理出来ないよ。この辺りは陸からどれ位あると思うの?」


「……全く、マリーは優しいね」


 マリーの優しさが、穏やかにヴィットを包み込んだ。


_____________________



「速度を上げました。潜水艇の速度ではありません……この音は……推進音確認、ウォータージェットです」


「そうか、例の奴だ」


 音響員に報告を受けた艦長は深刻な表情になった。


「例の奴?」


 横の副長は首を傾げた。


「ああ、噂に聞く赤い戦車だ。あの強襲揚陸艦に乗ってると報告があった」


 艦長の表情は更に険しくなるが、副長は怪訝な顔をした。


「戦車……ですか?」


「ああ、戦闘機は勿論、巡洋艦も大破させたそうだ」


 情報を得た時は艦長自身も、半信半疑だった。しかし、興味本位で更なる情報を収集すればする程に、赤い戦車の実態は興味から畏怖へと変わっていった。


「確かな情報ですか?」


「ああ、クライアントからのな」


「ですが、今回の仕事は対象の拉致で……」


「もしかしたら、我々はデータ収集の題材なのかもしれんな」


 少し溜息を付いた艦長だっが、副長は襟を正し背筋を伸ばした。


「それでは、偉大な題材の力を存分に見せ付けてやりましょう」


「そうだな。全艦、戦闘配置。両舷全速、ソナー位置を知らせ」


 艦長も背筋を伸ばすと、命令を発した。



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