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最強戦車 マリータンク  作者: 真壁真菜
第三章 起源
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戦車対海賊 4

 マリーが大空に舞い上がった瞬間! アラートが鳴り響く。


「低高度で高速飛行物体が接近中! 機種はおそらく戦闘機!」


 マリーの報告に、ヴィットが叫んだ。


「新手だなっ! 先に大佐達を救助するのか?!」


「目的はワタシ! 今、大佐達に近付いたら流れ弾が心配!」


 確かに救助途中を襲われれば、大佐達に被害が及ぶ可能性があった。先に障害を取り除いて、大佐達の安全を確保するのが先決だとヴィットも直ぐに同意する。


「了解! サッサと片付けよう!」


「最短で行くよっ!」


「さっ、最短ですかぁ~?!」


 四隅のホイールロケットから最大噴射! 一気に最高加速で敵戦闘機に向かうマリー! 多少耐性は出来ていたとしても、いきなりの超加速で当然ヴィットは涙とヨダレを撒き散らして即、気絶する。


 本当はヴィットの身体が心配なマリーだったが、今は大佐達が危なかった。それに、心配されて大佐達に万一の事があれば、ヴィットは自分自身を責めるだろう……マリーは誰も傷つけたくなかった……ただ、それだけだった。


_______________________



「何なんだ……」


 ルティーは唖然と呟くことしか出来なかった。あまりの驚きで、足先がカタカタと音を立てて震える。


「まるで火の玉だ……あれなら、戦車はおろか戦艦でも戦闘機でも一撃だ……」


 思わず傍の手下が呟く。ルティーの脳裏に、マリーに乗った無敵の自分が思い浮かんだ。


「あれを解析して量産すれば……世界は俺のモノになる……」


「確かに1ダースもあれば、世界征服出来ますね」


 呟くルティーの横に身を乗り出した手下にも、手に入れた先の未来が確かに見えた。


「黒ひげの奴には勿体ない……当然、吹っかけてくるだろうが、金に糸目はつけん……あれが手に入るなら、俺は悪魔とでも契約する」


 自分自身に向けて言い聞かせる様に呟くルティーの視線の先では、マリーが接近するだけで、コントロールを失い退避する戦闘機が霞んで見えた。


_________________________



「あんな飛び方ってあるのか?……」


 艦橋から見上げる黒ひげは、開いた口が塞がらなかった。


「お頭……あれは……あれは……」


「言うなっ!!」


 手下が震えながら何か言おうとするが、黒ひげは大声で制す。その勢いに驚いた手下は、そのまま口を噤んだ。


「お頭、赤い奴の仲間です」


 そこにリーデルとガーデマンが、後ろ手に縛られて連れて来られた。


「ようこそ、我が船に。貴殿らは、あの赤い奴を捕獲する人質になってもらう」


「捕獲してどうする?」


 威厳のある黒ひげの言葉だったが、リーデルは全く臆する事無く聞いた。


「知れた事……売り払うもよし、我が手駒にするもよし。まあ、お前達には関係ないがな」


「そう簡単にいくかなぁ~」


 不敵な笑みを浮かべる黒ひげだったが、ガーデマンは苦笑いで言った。


「どう言う意味だ?」


 黒ひげが凄い形相で睨むが、ガーデマンは溜息交じりに言った。


「知らないよ……マリーを怒らせたら」


「マリー?……まあ、いい。無線を貸せ!」


 意味が分からない黒ひげだったが、無線を引っ掴むとマリーに向けて言い放った。


「お前達の仲間は預かった。無事に返して欲しければ、おとなしく降参しろ」


 直ぐに返答があるが、その声に黒ひげは頷いた。


『大佐達は無事でしょうね?!』


「ああ、今の所はな……後はお前達次第だ。さっさと戦闘機を片付けて降りて来い」


 マリーの声は怒ってる様だが可愛く、きっと操縦者の一人だと黒ひげは口元を緩めた。


『分かった。着艦する』


 マリーは残りの戦闘機を”あっ!”と言う間に退散させて、黒ひげの艦の後部に物凄い勢いで着艦? した。その勢いで艦は後部が沈み込み、反動でひっくり返りそうになる。


 当然、黒ひげ達は空中に放り出され、お尻から甲板に落下した。


「なんて無茶苦茶な……」


 お尻を摩りながら黒ひげは呟くが、すかさずガーデマンが突っ込む……同じ様にお尻を摩りながら。


「マリー相当怒ってるなぁ……こりゃ大変だ」


 そのままリーデルを見るが、リーデルは唇を噛み締めて黒ひげを睨んでいた。


「あいたたた……マリー、もう少し静かに……」


 ハッチを開けてヴィットが顔を出すが、直ぐに四方から銃や剣を突き付けられる。そのまま引き摺る様に降ろされ、手下がハッチを覗き込んだ。


「お頭、他には誰もいません!」


「そんな事はない! 確かに女の声だった!」


「この坊主じゃないですか? 声変わりもまだの様だし」


「何だと?!」


 縄でグルグル巻きにされたヴィットが掴み掛かろうとするが、手下に簡単に取り押さえられる。


「まあ、いい。これでコイツは俺のモノだ……だが、近くで見ると何だこの塗装? センスの欠片もない……それに、まんまる砲塔に、お子様みたいなドクロマーク……全く、ブ細工にも程がある」


「……まんまる……センス無し……ブ、ブ細工……」


「言っちゃった……」


 黒ひげの容赦無い悪口に、マリーは輝度を増してワナワナと震えた。冷や汗を流しながらヴィットは、縛られたまま後ろ向きに退避した……当然、ガーデマンもリーデルを肩で押して後ろに下がった。


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