へんな生き物に遭遇するの詩
わたしが夜空を見上げていても
犬は地面をくんくんしてる
古い雨が水溜り
乾いた月を映してる
星が見えて雨が止む町
よそ見の外に犬が消えた
逃げるリードが角に見えた
何かの尻尾がそれに見えた
長い風が路地を広げる
骨の歪んだ電燈の明かり
懐かしい町の運動場に
穴が空いたと人は言った
赤いランプが光る見る
冷たい頬が赤く染まる
四角い穴の静かな底で
魚人が並んで死んでいる
頭部に刺さったパイプから
小僧が中身を見学してる
くすぐったく なまあたたかい
ふーっ
ふーっ
息を通して
あーっ
あーっ
声を通して
悪戯な笑いが芽を吹いた
奇妙な風がそれらを撫でた
一人の小僧が
パイプをひっぱり
魚人を引き上げ
背びれに刺された
叫べ 叫べ
魚人が動いた
みんなの開く大きな口が
それぞれ違う声で叫ぶ
ピントの合わない波打つ世界を
おデブ男と女と走る
わたしは家に逃げ込んだのに
犬はどこかの地面を見てるの
音の止んだ町
音の止んだ町
魚人さんどうか逃げ続けて
魚人さんどうかここに来ないで
そしてそのまま永遠となれ