表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
南瓜の魔法使い  作者: 栗木下


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/163

第81話「南瓜とセンコ国-11」

「で、そこの栗鼠野郎は他の二人に任せて出てこないと」

「キュッキュッキュ、挑発しても無駄でやんすよ。そう言ってあっしを一網打尽にするつもりでやんすね」

 ふん。やっぱり他の二人と違って見え見えの罠に引っかかったりはしないか。

 ま、そうだと分かっているならそれに合わせて策を練るだけの話だが。

 正直な話、今後の事も考えるとそろそろ触媒の量に不安が出始めるのだが、出し渋ってる余裕も無いから節約することは素直に諦めておく。


「さてどうだろうな?」

「…………」

 俺はトリリスからは見えない位置で触媒を用意して魔法の準備を始める。

 そしてトリリスの分身たちが俺の背後に一定数集まったところで俺の準備が整う。これで後はタイミング次第だ。


「俺様の事を無視してんじゃねえよ!」

「俺の事もだチート野郎!」

「おっと」

 と、ここで俺に無視されているのが気に食わなかったのかモノキオとカラムジが俺に向かって突っ込んでくるが、俺はそれを難なく避けると共に二人をイラつかせるために二人の後頭部をまるでいつでも殺せると言わんばかりに軽く小突いて挑発しつつトリリスの様子を窺う。


「トリリィィス!テメエ何時までぼさっと見てるつもりだ!」

「ああそうだ!とっとと俺の為に働きやがれ!」

「ちっ、面倒でやんすね……」

「「何が面倒だ!ああん!?」」

「ふうん」

 ふむ。これは好都合。

 当初の予定としては二人を適当にあしらいつつトリリスを戦いの場に引きずり出すつもりだったが、二人とも自己中だったお陰で勝手に動いてくれたな。

 こうなればトリリスとしては二人を都合よく動かすためにも俺に攻撃を仕掛けるしかない。


「おらぁ!」

「ふん!」

「ヒュロロロォォ!当たらねえなぁ!」

「キュア……ッ!?」

「いいタイミングだ」

 そしてモノキオとカラムジが攻撃を仕掛け、俺がそれを回避している中で蠢く無数の影が二人の攻撃に隠れる様に大きく口を開いた状態で突進してくるのが見えて俺は思わず笑う。


「【共鳴魔法・鋼線蔓】」

「これは!?」

「ちっ!面倒臭え!」

「「「キュアアアァァァ!?」」」

「「トリリス!?」」

 俺はトリリスが突っ込んできたタイミングで【共鳴魔法・鋼線蔓】を発動し、その迎撃能力によってモノキオとカラムジの動きを僅かな時間ではあるが止めると同時に、分裂していた為に一匹当たりの戦闘能力が大きく下がっていたトリリスを射程圏内に入った個体から順に細切れにして始末する。


「これでまずは一人。さて、次はどっちが逝くよ?」

「ぐっ……」

「このチート野郎が……」

 細切れになったトリリスを念のために【ガストブロー】で叩き潰しつつ俺は二人に向かって手を伸ばして挑発する。

 それにしても自覚は無いようだがこいつらも恐らくは転生者だな。言葉使いや行動にどう見ても影響が出て来てるし、あのレベルの魔法は俺の様に特殊な事情が無い限りは早々身につけられるものじゃあ無い。

 ただ、エントドラゴンの時に使えたとは思えないから、そうなるとこいつらがこの力を身につけたのは恐らくこの姿になった際だろう。となれば第四王子の切り札の正体は……


「なるほどそう言う事か。【オーバーバースト】」

「舐めてんじゃね……があっ!?」

「モノキオ!」

 と、切り札の正体に気づいたところで俺は突撃してきたモノキオに対してカウンターの形でナイフを突き刺すと、ナイフに対して大量の魔力を注ぎ込んで【オーバーバースト】を発動。


「俺の腕があああぁぁぁ!!?」

 モノキオの右腕を内側からの爆発によって吹き飛ばす。


「こうなりゃあまとめて……」

「カラムジ!?テメエ!!?」

「させるかよ。【トルネイドブラスト】」

「しまっ……ガアアァァ!?」

 と、ここで形勢が不利な事を今更悟ったのかモノキオごと俺を吹き飛ばすつもりでカラムジがドーム中に赤い粉をバラ撒いて火を付けようとするが、その前に俺の放った【トルネイドブラスト】によって赤い粉はカラムジの周囲に集められ、そのタイミングで火をつけてしまった為にカラムジは自らの放った炎によって焼かれる。

 流石に死にはしなかったようだが全身に火傷を負った以上今までのように動くことは出来ないだろう。


「前世の経験と姿を与えても中身が三馬鹿じゃ、何の意味も無いな」

「「!?」」

 そして俺は第四王子の切り札の正体を看破したことを告げて二人に動揺を与えると共に次の共鳴魔法の準備を始める。


「ふざけるなぁ!ぶっ潰してやる!!」

「死に晒せや!このチートやろおおおぉぉ!!」

「やっぱり三馬鹿だな」

 二人が最後の意地だと……いや、本人たちとしては生き残る気なのだろうが、とにかく後先考えずに突進を仕掛けてくる。

 だが、もう何もかもが遅い。既に俺の準備は整っている。


「【共鳴魔法・胡瓜刀】」

「「……!?」」

 俺はその魔法の名を告げると同時に腕を横に振り、それと同時にドームに横一文字の線が走る。そして、その線に合わせる様にゆっくりとモノキオとカラムジの身体が水平に両断されて崩れ落ちる。


「まっ、旬じゃねえなら威力はこんなものか」

 そして壁に刻まれた横一文字の線を見て俺はそう呟きつつドームの出口であり、更に地下へと続く階段に向かって移動を始めた。

 精々来世ではもっとマトモな生き方をするこったな。三馬鹿共。

三馬鹿の正体と言うか前世についてのネタ晴らし


モノキオ=『統べる剛力の鬼王』

カラムジ=『紅を撒く辛王』

トリリス=『争い煽る八百栗鼠』


ちなみにこいつらは並行世界でもつるんでいることが多々あります。おかげで狼にも襲われましたが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ