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南瓜の魔法使い  作者: 栗木下


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第8話「秋の南瓜-1」

 時が過ぎるのはとても早い……

 気が付けば木々が青々とした葉を付けていた夏は過ぎ去り、赤や黄色に葉を染め上げる季節である秋が間近にまで迫って来ていた。


「ぶっちゃけもうこっちに来てから何日過ぎたのかも分かんなくなってきたなぁ」

 俺は毎朝の日課であるラジオ体操を終えると今日は何をするかを考える。

 この数週間、俺は拠点の改修を行ったり、燐光を操ったり、量を増やしたりする特訓を繰り返していた。

 まあ、他にも色々とやってたけど。


「とりあえず拠点は多少見れる姿になったよな」

 で、その結果として俺の肉体強化のレベルはこの森にある木ならだいたいの木を素手で加工できるようになり、それに伴って拠点は以前の風が吹けば倒れそうな物から丸太を組み合わせて作った箱の様なとりあえず見れる程度にはまともな形になっている。

 いやー、自分の手で掘ってみて初めて分かるけど日本の継ぎ手技術は凄いね。そう言うのがあるってのを知ってたおかげで多少の試行錯誤と練習でここまで作れたけど本当に大変だった。

 後、最初の拠点は2週間ほど前にあった大雨の日に倒壊した。何となく嫌な予感がして森の中に避難してたから何の問題も起きなかったけど。

 それで個人的にはこんなほったて小屋だけじゃなくて色々な設備を併設したい所なのだが、知識も技術も必要性すらも無いので拠点の拡張工事は一時停止中である。

 今、柵とか立てても邪魔なだけだしな。


「狩りは……狩るなら猪ぐらいだけどまだいくつかなめし作業が終わってないからなぁ」

 次に皮のなめし作業だが、こちらも試行錯誤を重ねることで最初の物と比べれば徐々にいい物に仕上がって来ている。

 まあ、一回でも水に濡れるとガッチガチに固まったりするからまだまだ試行錯誤を重ねないといけないけどとりあえず拠点の中に敷いたり、入り口にかけて暖簾代わりにするぐらいは出来てるからその辺は良いとしよう。

 問題はあの猪は遭遇したら倒すしかないせいでどんどん戦利品である皮と牙が貯まっていくことなんだよねぇ。数日につき一頭は狩っているのにまるで数は減らないし。

 ま、最低限肉と脂を削いで乾燥させとけば問題なさそうだから今日の所は放置でいいか。

 ちなみにこの森には猪以外にも勿論鹿や狸、狼などの動物がいるのだが、まあそれはさておいておく。今話してもしょうがない。


「となると今日も修行と研究だな」

 と言うわけで今日やる事を決定した所で全身に光を巡らせて素早く【ガストブロー】を繰り出したり、【オーバーバースト】……燐光を放っていた物体に大量の光を流し込んで爆発させる技の練習も兼ねつつどのぐらいの量の光を流し込んだらどうなるかを研究したりする。

 ちなみに現在の所【ガストブロー】は休憩無しでも日に20~30発は撃てるようになったし、威力も鳥やネズミぐらいならそれだけで倒せる程度には威力が上がっている。

 また、【オーバーバースト】についても不本意ながら爆発させるのに効率のいい流し方とか、小さい物体よりも大きな物体の方が許容量が大きく爆発させた際の威力が大きいことなどが分かっている。


「ただ、これ以上の魔法っぽい現象はまだ起せてないんだよなぁ……」

 俺はギリギリ爆発しない程度の光を猪の牙に流し込むが、猪が生きていた時の様に牙が鋭くなったりはしない。

 そして光を留めることを止めると緑色の燐光が勢いよく牙から出ていくだけでそれ以上は何も起きない。


「うーん。色の違いとかか?」

 俺は猪の牙からは俺が放っているような緑色の燐光ではなく、赤色の燐光が漏れ出ていたことを思い出す。

 仮に色の違いが原因で効果を発揮しないと言うのならば、動物系の素材を扱う場合には流し込む光の色を変える手段を考えないといけない。


「でもそうなると植物系の素材がまるで爆発しない理由にもなるか……ふん!」

 俺は近くに生えていた緑色の燐光を放っている適当な草を引き抜き、それにありったけの光を流し込む。

 が、動物系の素材なら確実に爆発する量の光を流し込んでもそしらぬ様子で草はただ流し込まれた燐光を放出すると元の状態に戻ってしまう。


「ぐぬぬ……これは俺の修行不足と見るべきなのか。根本から何かが間違っているのか……まあ、諦める気は無いが」

 俺は草を拠点の中の素材を集めている場所に置くと、どうにかして身体から放っている燐光の色を変えられないかと試行錯誤する。

 具体的には奇妙なポーズを取って光を集めたり、ちょっと歌いながら光を集めたり、普段は集めないような場所に光を集めたり、ひたすら「色よ変われー」と念じながら集めたりする。


「ふぅふぅ……よし!」

 で、その結果としていくつかの連続した動作を行いながら特定の色に変える事を念じる事で、極々僅かな量ではあるが、緑色の光を黄緑色にすることに成功する。


「それじゃあ早速……」

 そして改めて黄緑色混じりの光を草に流し込むが……


「駄目か」

 やっぱり駄目だった。まあ、絶対量が少なかったからしょうがないだろう。今回に関しては色が変えられることが分かっただけでも僥倖だ。

 とりあえず、今後は朝のラジオ体操ついでに色変えの特訓も追加だな。

 今はとにかく知識が欲しい。魔法っぽい何かを使えるようになるために!

02/03 誤字訂正

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