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南瓜の魔法使い  作者: 栗木下


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第76話「南瓜とセンコ国-6」

「次はここか」

 俺は側室たちを事前に第一王子から聞いておいたとある部屋に運ぶと、先程のゴミ虫どもから聞いた他の人質たちが居ると言う部屋の前に辿り着く。


「んー、これは先を越されたか?」

 部屋の前には兵士が二人、首から血を流した状態で倒れている。

 まあ当然だが【共鳴合奏魔法・秋の快眠セット】の効果で眠り、倒れているのではなく、首からの失血で事切れている。

 傷口を見る限り凶器は鋭い刃物かそれに類する効果を持つ魔法だな。

 しかも、他に死体が無い事や死体の顔が驚きの表情しか浮かべていない事を考えるとほぼ一瞬の早業と見た。こりゃあ相当の手練れだな。


「まあ、中に大量の魔力がある事から考えて完全に先を越されたわけでもなさそうだけどな」

 俺は扉を開けて中に入る。

 すると部屋の中には覆面を付けたエルフの男性にバードマンの女性、それから煌びやかな衣装を身に着けた若いヒューマンの女性が数人折り重なるように眠っている。

 恐らくはエルフの男性とバードマンの女性が俺の同業者で、他の女性たちが王子様の異母兄弟たちだろう。

 しかし流石にこの仕事を任せられるだけあってしっかりしてんなぁ。倒れるにしても自分たちが下になって姫様たちが怪我しないようにしてるわ。

 まあ、元々【共鳴合奏魔法・秋の快眠セット】は昏睡時の怪我対策として高さ数十mから落ちても大丈夫なようにしてある魔法なんだけどな。


「とりあえず起こすか」

 ただまあ、状況から見て味方なのはほぼ間違いないと思うので、姫様たちの下から二人を引きずり出して叩き起こす。


「……っつ!?」

「……っぐ!?」

「おう、起きたか」

 で、起こした直後に俺の姿を見て即座に戦闘態勢を取る二人。

 ただすぐに攻撃を仕掛けてこないのはすぐ近くに姫様たちが居るからだろう。俺が殺気を出していないと言うのも有るだろうが。


「何者だ……?」

「サク第一王子の手の者さ。そっちは?」

「……。ゴウキ第三王子に依頼をされた冒険者だ」

「てことはやっぱりお味方でいいのね」

「貴様の言っていることが本当ならな……」

 二人は姫様たちの位置を確認すると姫様たちをいつでも庇えるように自分の位置をずらしながら俺への警戒を欠かさない。

 と言うかやっぱり信頼はゼロなのね。当然だけど。


「心配しなくても味方だっての。敵ならアンタらが寝ている内に始末してる」

「それは確かにそうだが……」

「ま、それでも心配ならとりあえず情報交換をして信頼できるかどうかを考えてくれ」

「……」

 と言うわけで俺は魔法を使ってセンコノトに居る全ての生物を眠らせた事と側室たちを救出して第一王子曰く城外に通じる隠し通路がある部屋に運んだことを伝え、二人組(主に喋ったのはエルフの男性の方だが)からは部屋の前に居た兵士をどうやって始末したのかや、潜入方法、それからどうしてここには姫様たちしか居ないのかを聞く。

 で、お互いにとりあえず敵ではない事を理解した所で眠っている姫様たちを側室たちが眠っている部屋に運びつつ話を進める。


「やっぱり処刑済みか」

「ああ、民衆と姫様たちの目の前で行われたそうだ。目的は恐らくだが反乱を防ぐためだろうな」

「加えて姫様たちなら残しておけば今後の外交だの褒賞だのに使えると。胸糞が悪くなるな」

 そして会話の中で分かったことだが、王子の異母兄弟たちの中で捕まった男子は既に悉く拷問紛いの方法で処刑されたそうだ。

 この調子だと間違いなく第四王子は恐怖政治をやる気満々だな。

 ただ、王に関してはまだ処刑されていないらしい。こちらについてはまだ捕まっていない王子に対する切り札の一枚として使うつもりなのだろう。

 ちなみに、この会話をしている間にこっそり【共鳴魔法・真偽鏡(センス・ライ)】と言う魔法を使って彼らが一連の情報で嘘を吐いているかどうか確かめたのだが、どうやら嘘は吐いていないようである。

 なお、この【共鳴魔法・真偽鏡】だが、触媒が銅鏡と言う加工費も兼ねてそれなりの高級品であるため、他の共鳴魔法に比べて高くて懐が痛みやすいから出来れば使いたくない魔法である。後で王子様にでも費用請求でもしようかな……しても許されるよね……きっと。


「よっと」

「ふう。これで残りは王だけか?」

「それと奴らの切り札も出来れば潰したいけどな。こっちは有るかどうかも分からないが」

 で、そうしている内に俺が側室たちを集めていた部屋に到着したので中に入り、隠し通路を開けた状態で側室と姫様たちを起こす。

 なお、側室たちの服に関しては二人とも見て何があったのかをすぐに察してくれたので、腹立たしそうな表情はしつつも特に何も言わないでくれた。

 まあ、お互いのためにもそれが良いだろう。


「そう……でしたか……」

「はい。残念ながら……」

 で、バードマンの女性が側室と姫様たちに事情説明をする。こういう時は男や俺みたいな正体不明の輩よりは同性の方が良いだろう。

 説明がされる中で中には泣き叫ぶ方や失神する方も居るが、こちらについてもしょうがないだろう。色々と話が重いしな。防音魔法は張っておくから落ち着くまで泣き続けてくれ。

 ただの防音なら俺の魔力を広げて作った境界線であらゆる空気の振動を止めれば十分だしな。


「それでこれからどうするのですか?」

 側室たちの中で一番立場が上らしき女性が代表として俺たちにそう問いかける。


「そうですね……彼のおかげで敵は全て眠っていますし出来れば王を助けた後に城外へと脱出したい所なのですが……」

「ああいや。王様も来たっぽいな」

「えっ?」

 そしてその質問にバードマンの女性が話しかけようとしたところで俺は部屋の外を眺めてこちらに向かってくる大きな魔力の塊を二つ視界に捉え、やがて、二つの魔力塊は扉の前で立ち止まる。


「アキト陛下でよろしいのかな?」

「「……!?」」

 防音魔法を解いて問いかける俺の声に扉の先から息を呑む気配がする。

 ああ、てかこういうことするから警戒されるのか。失敗失敗。まあ、時間が無いから無視して話を進めるけど。不敬罪とかは状況が状況なんで見逃してください。


「私はサク第一王子の手の者ですのでご安心を」

 と言うわけで俺は自分の身元を明かしつつ部屋の扉をゆっくりと開ける。


「へ?」

 そして視界に入ってきたのは奥の人物を庇うように立つリザードマンの男性に頭から狐耳を生やした金髪のオジサマだった。


 ……。


 オジサマの狐耳とか凄く微妙だわぁ……。


 とりあえず内心でそう思った。

陛下は狐耳


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