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南瓜の魔法使い  作者: 栗木下


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第73話「南瓜とセンコ国-3」

「何を考えているのかは何となく分かるが、私たちとしても人と人が正面から戦った場合については心配していない」

「あっ、やっぱり」

 何て言うかね。こんな要求に乗る領主ってクズ野郎か止むに止まれぬ事情があって止むを得ず受け入れるしかなかったかの2パターンだと思うんだよね。

 真っ当な頭をしている領主や多少裏で何かをしているとしても損得勘定がしっかりしている領主ならどっちに恩を売った方が良いかなんて分かっているだろうし。


「加えて言うのならそれぞれの持つ兵士にしてもこちらは自分たちの生活を守るため、領主に恩を返すためと言った理由から徴収兵にしても騎士にしても士気が高いが、あちらの徴収兵は重税に喘いで士気が低く、騎士にしても自分の事しか考えない様な者ばかり。傭兵にしてもならず者紛いの者や金に目が眩んだ者はともかくそれ以外はこちら側だ。そして国軍についても大半は私たちについている」

「はっきり言って第四王子側詰んでなくね?」

「兵と兵の戦いに限ればそうだろうな」

 聞けば聞くほど第四王子が既に詰んでるようにしか思えない。

 まあ、善政を布いている王に対してクーデターを起こした日にはそうなるに決まっていると言えば決まっているか。

 しかし、そうなると何で俺は呼ばれたんだ?


「しかしだ。私の知る限りレイは愚かではあっても勝算の無い状態で挑む事をするような男ではなかったはずなのだ」

「ん?」

 と、俺の疑問を察したのか王子様は言葉を続ける。


「だから私はこう考えている。兵と兵の戦いでは勝てなくても我々をどうにか出来るもの。つまりは切り札があるのではないかとね」

 あー、なるほどな。確かに戦局を一変できるような切り札が何かあるのなら多少は強気に出ることも出来るか。

 それでもクーデターを起こす事については理解できないが。


「王子の言葉に加えて言わせていただくなら、彼らは王を筆頭として多くの者を人質に取っている。考えたくはないが人質を使った卑怯な戦術を取る可能性もあると私たちは思っている」

「ふうむ」

 王子様の言葉に重ねる様に隊長が言葉を続ける。

 卑怯とか汚いとかそう言うのを考えなければ確かに人質は有効な手段ではあるな。

 特に王の首なんかは非常に価値が高いだろう。


「となると結局俺にしたい依頼ってのは……」

「そうだな。いい加減に言っておくとしよう。君にして貰いたい事は二つ。一つは王、側室、異母兄弟たちの救出だな。もう一つは奴らの持っているであろう切り札について調べ、可能ならそれを使えなくすることだ。尤も側室や異母兄弟たちについては助けられるだけ助けてもらえればそれで構わない。悔しいが既に一週間経っているからな。何人か処刑されていてもおかしくはないだろう」

 あー、やっぱりそう言う話になるのな……。

 しかしまあ、この依頼を受けるかどうかはもう少し情報を集めてからだな。


「分かった。ならいくつかこっちの質問に答えてもらっていいか?」

「それは私の依頼を遂行する上で必要な事なのかな?」

「ああ、上手くいけば俺が首都に到達した時点で生きている人間は全員助けられるはずだ。ただ……」

「どうした?」

 俺は他のメンバーの顔を一度見回してから言いだしても大丈夫かを考え、大丈夫だと判断した所で質問を始める。


「そんな事を教えられるわけがないだろうが!」

「落ち着け隊長」

 で、当然の様に隊長さんから反発される。

 まあ、気持ちは分からんでもないけどな。こんな正体不明の南瓜頭に教えていいかと言われれば、教えたら駄目だと百人中九十九人は言うだろうし。

 ただそれでも教えてもらわないと困るんだよなぁ……でないと作戦の成功率が大きく変わる。


「分かっているとは思うが……」

「他言無用だろ。心配しなくても墓まで持っていくさ」

「分かっているなら構わない」

 そして俺は王子様から聞きたい事を聞き、これならば行けると判断して依頼を正式に受けることを決めた。


「ありがとう。心の底から感謝させていただくよ」

「そう言うのは成功してからにしてくれ」

 で、俺は王子様が思わず漏らした言葉に対してそう返すと王子様たちと一緒に部屋の外に出るのであった。

 さて、万事上手くいけば今回の件はそれで終わりなんだがねぇ……



----------------



 で、部屋の外に出て協会の表と裏の境目にまで来たところで、


「キャッ!?」

「おっと!」

「「「あっ……」」」

「王子!?」

 出会っちゃいけない二人が出会ってしまいました。


「すまない。大丈じょ……」

「あっ、はい。すみませ……」

 そして王子様がぶつかって転んだ女性……リオの手を取り、視線が合ったところで見つめ合う二人。

 二人とも見た目が良いから絵にはなる……が、


「甘ったるい空気の所悪いが、お前ら異母兄弟だぞ」

「「えっ!?」」

 俺の言葉に瞬時に固まる二人。

 ちなみにリオはつい先日リョーコさんから自分が王の庶子である事を教えられたそうだ。

 流石にそろそろ話しておくべきだと思ったらしい。


「じゃ、俺は王都に行くんで後よろしく。何かあったらデンレー経由で通信魔法を頼むわ」

「なっ、お主この空気の中でか!?」

「ヒュロロロォォ!!」

 そして俺は固まっている二人をコウゾー爺さんたちに託すと王都に向かって飛び立つのであった。

 ヒュロロロォォ!まあ、王族だし近親相姦ぐらい問題ない気もするけどな!

ちなみに異母兄弟だと知らずに付き合うとデスフラグが立ちます

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― 新着の感想 ―
[一言] この兄妹のどっちかもしくは両方に、血のつながった相手と恋に落ちたことが原因で死んだ前世がありそうですね。
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