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第7話「森の中の南瓜-6」

「ふんふふーん」

 さて、拠点に戻ってきたところで早速作業開始である。

 何をするのかって?各種訓練も兼ねて猪を解体するのさ!


「ふん!」

 と言うわけで早速全身強化。

 で、その状態で蔓を何本か使って猪の死体を吊し上げ、出来るだけ厚みが薄くて強化すれば鋭い刃になりそうな蔓を使って腹側から猪の身体を切り開く。


 ゴチュリゴツュリ


 うん。やっぱりと言うべきか全身強化をしながら細かく蔓を動かしたり、光を集めて維持する訓練には最適だな。

 幸いと言うべきかカラッカラに干乾びさせてあるから重量はそこまで無いし。


 ボキッ、ドサッ、グチュリ


 骨は……一応使えるか。内臓や肉は要らないから適当な場所に後で捨ててこよう。肥料代わりにそこら辺に埋めてもいいかもしれないが、何か変な物が発生しても困るし。あ、脳みそはグチュグチュになるまで潰せば吸えそうだしそうしとこ。で、残る皮は……なめし皮ってどう作るんだっけな?


「うーん……腐る原因になるから肉や脂肪を取り除くってのは分かるけどそれぐらいだなぁ……とりあえず肉を削いだら乾燥させてみるか」

 俺は吊るした猪の皮の表面を強化した蔓で何度も何度もなぞって肉と脂肪を取り除いていく。

 どうでもいいが結構グロい光景だと思うけど、吐き気とか不快感とかはしないな。これもこの身体になった影響なのかもしれないけど便利だし気にしないでおくか。

 ……。ああうん。吐き気に関してはそもそも吐く器官が無かったか。俺、カボチャだし。


「おー、何か白くなったな」

 で、しばらく肉を削ぎ続けているとなんか肉とくっついていた側の皮が白くなった。

 何となくだがこれでしばらくは大丈夫だと思う。

 その後、肉に内臓と言う普通なら可食部として扱われるような部位は拠点からある程度離れた場所で地面に穴を掘ってそこに埋めることにした。これで仮にこの肉を狙って動物が来ても、俺に被害が及ぶことは無いだろう。

 そして骨に関しては頭骨や大腿骨のような使い易そうな骨だけを残して他は埋め、頭骨は拠点の飾りに、大腿骨は適当に折ってから削り、ちょっとしたナイフっぽく加工する。

 強度は無いが急所を突けば十分実用に耐えるだろう。


「さて、それじゃあ研究と行きますか」

 俺はここで猪の皮を伸ばしたままの状態で放置しておくと、手に燐光集めて球体を維持する訓練をしつつ今日集めた燐光を放っていた物体を取ってくる。


「うーん。やっぱりこの辺は無くなってるな」

 が、やはり鉱物系の素材以外は燐光が無くなっている。

 とりあえずそのまま放置しておいたらやはり半日ほどで燐光は無くなると判断して良さそうだ。

 ふむ。どうにかして燐光を補給したりは出来ないもんかね?それが出来れば色々と面白い事になりそうなんだけど。


「試してみるか」

 と言うわけで俺は燐光を手の平に集めた状態のまま、そこら辺に生えていた草を手に取る。

 そして植物が水を吸い込むようなイメージで葉脈に燐光をゆっくりと流し込んでいく。

 すると燐光を流し込まれた葉は少しずつ燐光を葉全体から放ち始める。


「むー」

 が、そこまでだ。此処から先は流し込む量を多くしても効果は無く、少なくすると普通に燐光が無くなる。何と言うかこれだと葉っぱも体の延長線として扱ったに過ぎない気がする。


「うーん。もっと魔法っぽい魔法を使ってみたい」

 何と言うか折角の異世界なのだ。既に【ガストブロー】と言う魔法っぽいものは使えるが、出来る事ならばきちんとした魔法を使ってみたい。

 と言うかいい加減に燐光燐光呼んでいないで魔力とかそれっぽい名前で呼びたい。


「あー、どうせ素材は腐るほどあるんだし、もういっそのことぶっ壊すぐらいの意識で流し込むか」

 俺は全身の燐光を意識すると、その光をまず手の一点に限界まで集める。

 そして限界まで凝集された結果として強い光を発するようになったそれを解放せずに今日手に入れた猪の牙を破壊するつもりで……流し込む!


「えっ、わっ、とう!」

 すると突然猪の牙全体が光り始める。

 俺は慌てて何が起きているか観察しようとするが、その前に嫌な予感がして遠くに向かって猪の牙投げ飛ばす。


「なああぁぁ!?」

 そして投げ飛ばした次の瞬間。

 猪の牙は爆発を起こして辺り一帯に光と爆風を撒き散らす。


「マジでか……爆発を起こすつもりでとは思ったが本当に爆発が起きるとは……」

 爆発が治まったところで俺は爆心地の様子を見る。

 爆発の様子を見る限りでは、威力そのものは【ガストブロー】とどっこいどっこいだ。その癖光の消耗は【ガストブロー】よりはるかに大きい。

 これではとても使い物にはならないだろう。


「けれど、大量の燐光を流し込む事で爆発が起きたって事はそうさせる何かがあるって事だ」

 俺は思考を重ね、加速させていく。

 その結論として先程の爆発は大量の燐光を無理やり流し込んだことによって生じた過負荷によるものでは無いかと俺は推測する。

 仮にこの結論が正しい場合、爆発も当然使い物になるがそれ以上に正しく光を流し込めば本来の機能を得られるのではないかと言う推測も得られることになる。


「ふっふっふ……ちょっと楽しくなってきた……」

 さて、こうして推測を出せたなら後はそれが正しいかどうかを確かめるだけだ。

 どうなるだろうなー凄く気になる。

 よし、明日からも研究を頑張ろう。


 そして俺は今日の研究を終えて寝る事にした。

ちょっとずつ魔法使いっぽくなっていきます

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