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南瓜の魔法使い  作者: 栗木下


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第39話「帰って来た南瓜-2」

「えーと、これが有って、それが残ってて、氷室は開けられた形跡があってもきちんと閉じられてて、木簡は……」

 俺は冒険者が入ってきたと言う家の中を調べ、物が無くなっていないかを調べる。

 で、物が無くなっていないどころかどちらかと言えば掃除されているのを確認した所で今までの研究成果を書き連ねていた木簡を手に持ち……


「よし燃やそう」

 何だがヤバそうな瘴気がインクどころか木簡からも漂い始めていたので即座に火を起こして木簡の中身に一度目を通してある程度内容を覚えてから木簡を焼き払う。


『くぇrちゅいおplkjhgfdさzx!!?』

 ハッハッハ、何だか燃えている木簡から変な叫び声の様な物が聞こえてくるが気にしない気にしない。ただ怨嗟の叫び声を上げているだけなら怖くも何ともないわ。

 ついでに言うならばその程度の魔力は無意識に弾けます。


「そんなわけで……悪霊退散!悪霊☆退散!!せいやあ!!」

『mんbvcxざsdfgghjkklp!?』

 という事で俺は木簡を燃やした炎から出て来た黒い魔力に向かって出来る限り白めにした魔力を叩き込む。

 すると俺の魔力が当たった黒い魔力は叫び声の様な物を挙げながら即座に霧散していき、それと同時に炎が消えて後には灰だけが残る。


「ふう。これで良しっと」

 俺は残った灰を見てそう呟く。

 いやー、それにしてもまさか動物の血で作ったインクで書いた木簡が放置したらこんなことになるとはなぁ……ハッハッハ。うん。あれ以上放置したら流石にヤバかったな。


「どう?何も問題は無かったでしょ?」

「そうだな。冒険者と思しき人間が関わった範囲でなら問題は無かった。むしろ家の中が掃除されて綺麗になってたぐらいだわ」

「あら、良かったじゃない」

 実際の所ここに来た冒険者たちは恐らくクヌキハッピィの冒険者だろう。ついでに言うなら推定コウゾー爺さん直属のAランク冒険者。

 なにせ相手が俺と言う正体不明の存在で、対応を一歩間違えればどうなるか分からない状況だったわけだから迂闊に動くような人間を寄越すのは下策中の下策だしな。

 まあ、コウゾー爺さんの判断には感謝すると同時に敬意を評そう。おかげで妙な軋轢が生まれずに済んだからな。


「それにしてもミズキがこっちに来るまで結構かかったな」

 と、ここでふと気になったのでミズキにどうして俺の拠点に来るまでこんなにかかったのかを聞いてみる。

 実際俺の飛行スピードとミズキの移動能力に差が有るのは分かるが、それにしても俺が木簡の焼却作業をやるまで時間がかかるのはかかり過ぎな気がする。


「そりゃあかかるわよ。だってこの拠点の周囲にはアキューム湖に繋がってる水場が無いんだもの。そして私は水精霊。水が無い場所は私の専門外よ」

「ああなるほど」

 思い返してみれば確かにミズキはそうだったな。

 それならしょうがない。


「てことはアレか?この先の事も考えるならアキューム湖から水を引いておいた方が良いのか?」

「そうね。そうしてもらえると私としてはありがたいわね」

 ふうむ。そうなると……

 俺は頭の中でアキューム湖と拠点、そして拠点に一番近い沢の位置を思い浮かべる。


「なら、修行も兼ねて掘るか」

「?」

 俺の言葉にミズキが疑問符を浮かべているので俺は説明をする。


「いやな、要するにミズキはアキューム湖から繋がった水場が近くにあればいいんだろ?」

「それは分かってるわよ」

「で、そういう水場を用意するには地面を掘るしかないわけだが、地面を掘るのって結構な重労働なわけだ」

「ふむふむ」

「そしてそれだけの重労働なら当然魔力を使った自己強化も結構なレベルでやる必要があるから魔力の効率的な運用に最大値の強化、周囲を警戒する能力の特訓その他諸々と良い修業になると言うわけだ」

「なるほどね……」

「分かってもらえたか」

 ミズキの理解をした顔に俺は満足げに頷く。

 実際、農作業や土木業って武器を扱う訓練に近いって言うけどこの世界だと魔力を操る訓練としても適当だよな。

 頭のいい領主様なら本当に暇な時なんかは一部の兵士たちに訓練を兼ねて土木事業をやらせてそうだわ。

 と、そんな事を考えていたら……


「とりあえずパンプキンが修行馬鹿だってことはよく分かったわ」

「オウフ」

 ミズキから身も蓋も無い事を言われた。

 いやまあ、俺が修行馬鹿なのは否定しないけどさぁ……この身体になってから修行をしていない時間の方が多分短いけどさぁ……


「でも、私の為に頑張ってくれるって言うんだから完成したらきちんとお礼はさせてもらうわよ」

「具体的には?」

「出来た水路に魔力が多く含まれている水を優先的に流してあげる」

「!?」

 なん……だと……。

 魔力が多い水という事はつまりそれだけ美味しい水という事ですよね。

 毎日頑張ってアキューム湖に行かなくてもあの美味しい水が飲めるようになるって事ですよね。

 イヤッタアアアァァァ!!


「!?」

「是非とも掘らせていただきます!掘らせていただきますとも!!」

「そ、そう。よろしくね」

 と言うわけで喜んで踊っていたらミズキに微妙に退かれたが、そんな事はどうだっていい。重要な事じゃない。

 今重要なのはとにかく水路を掘る事である!

 そんなわけで俺の明日からの予定には水路掘りも追加である!

 さあ、全力で掘ってやろうじゃないか!!イヤッフウウゥゥ!!

妙にテンションが高いパンプキン

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