第二話 崩れた日常
(どうしよう。)
目の前で倒れてる少女を見て思った。
(ま、いいや。俺には関係無いしね。)
そんなことを考えながら通り過ぎようとした時、
ガシッ
「うわぁ!」
突然倒れていた少女に足をつかまれた。少女は気を失っていると思っていたアレンは声をあげて驚いた。
(あ〜びっくりした〜!)
「ちょっとアナタ。こんなに可憐でか弱い乙女が倒れているのに家に連れていって休ませてあげようとか思わないの!」
少女は一方的に喋っていたがアレンは全く聞いていなかった。そんなことよりもアレンには気になることがあった。
(どこかで会ったことあるような・・・)
アレンは少女を知っている気がした。
(気のせいかな?)
そう思うことにした。
「アナタ聞いてるの!」
「聞いてない。」
「なっ!もういいです!勝手にアナタの家までついて行きます!」
「・・・」
アレンは声も出なかった。
(か、勝手過ぎる!)
そして少女の眼を見て悟った。この少女には何を言っても無駄だと。
「ハァ、もういいや。勝手についてきな。」
そういってアレンは歩き始めた。
「ちょっと待ちなさい!」
「そういやキミの名前は?」
「人に名を尋ねる時は自分から名乗るものよ!」
(・・・チッ)
声に出すとまたうるさいので心のなかで舌うちをして答えた。
「俺はアレン。」
「!アナタが・・・。私はルナ。ルナ=ヴァーミストよ。」
「ふ〜ん。」
アレンはルナの反応が気になったがそのまま歩き続けた。
†††††
「ただいま〜。」
「お邪魔します。」
「おかえり。あら?お客様かしら?」
顔を出したのは20歳ぐらいの女性。
「ただいま姉さん。」
彼女はアレンの姉であるリリィ=リーヴェルトである。
「可愛いお客様ね。アレンの彼女?」
「違ぇよ!」
「歳はおいくつかしら?」
「知らねえよ!さっき会ったばっかりなんだから。」
「まあ!今日あったばかりなんて・・・。手が早いわねぇ。」
「だから違うって!!!」
アレンがイライラしているとルナは自己紹介をはじめた。
「初めましてお姉さま。私はルナ=ヴァーミスト、歳は16になります。」「あら、どうもご丁寧に。私はアレンの姉のリリィよ。ゆっくりして行ってね。」
「はい!」
「ハア。」
アレンは、すっかり仲良くなったルナと姉を見ながら深く溜め息をついた。
†††††
あれからアレンはルナが倒れていたこと、勝手についてきたことをリリィに説明し、二階の部屋で横になっていた。
「ふう、なんか疲れた。」
アレンは呟いた。
(アイツ一体どこから来たんだろう)
この村の人はみな黒眼黒髪である。しかしルナは明るい茶髪で蒼い眼をしている。ルナがこの村の人でないことは一目瞭然だった。
(まあいいや。俺には関係無い。)
‐関係無い‐
この時まではそう思っていた。
†††††
リリィはルナを大層気に入り、一晩泊めることになった。
翌朝、アレンは珍しく早く起きた。
(今何時かな・・・)
時刻は4:35。
(まだ寝れるな・・・)
そう思ってベッドに戻った時、
‐ドォォォォン‐
村の中心の方から爆音が轟いた。
「な、何だ!!!」
一階におりるとリリィも眼をさましていた。
「アレン!」
「姉さん!俺、村の様子を見てくるよ!」
「そんなことよりルナちゃんがいないのよ!」
「何だって!?」
「さっき眼をさましたらいなかったのよ!」
「じゃあついでにルナも探してくるよ!」
アレンはそういって玄関に駆けていった。アレンが靴を履いていると、
「待って!」
リリィが何かを持ってきた。
「もしものためにこれを持っていきなさい!」
手渡されたそれは一本の剣だった。
「なんで家にこんなものが・・・まあいいやありがとう。」
そういってアレンは村の中心部へと駆け出した。
†††††
村の中心部についたアレンは自分の眼を疑った。
「何だよこれ・・・」
「キャアァァ!」
「早くこの村から逃げるんだ!」
「なんでこんな村に!」
「兵士はまだか!」
「もうやられちまったよ!」
燃え盛る村から逃げる人々。炎の中に見える黒い影。
「あ、悪魔・・・。」
アレンは炎の中に悪魔の群れを見た。
第二話、読んでいただいてありがとうございます。ようやく悪魔出てきました。次はバトルになると思われます。良かったら読んでやってください。