第九話 不気味な屋敷
アレンは時計を見た。
-PM9:03-
(そろそろか・・・)
アレンは準備を始めた。
「なに?どこか行くの?」
アレンの様子を見ていたルナは聞いた。
「仕事だよ!し・ご・と!」
アレンはわざと嫌味に聞こえるように言った。二人の間に険悪なムードが流れる。
「そ、そう。」
ルナはアレンの態度に少しイラッとしたがここは押さえた。
「私・・・散歩に行ってくるから。」
「そうか。じゃあ気を付けろよ。」
「なんによ?」
何の考えも無しに気を付けろと言ったアレンはとりあえず言った。
「あ、悪魔とか?」
適当に言ったのでなぜか疑問形になっていた。
(あ〜また適当な事言うなとか言われんだろーな・・・)
アレンの考えとは裏腹に、ルナはピクリと反応した。
「そ、そうね。気を付けるわ。」
そういうとルナは部屋から出て言った。
「?まあいいか!」
ルナの反応が気になったがそろそろ時間が来るのでアレンも部屋を出た。
†††††
時刻はPM10:16。アレンは依頼主に詳しい説明を受けていた。
「・・・というわけなんですが、依頼を受けてくれますか?」
「任せて下さい。」
ルナが請け負った。
「・・・」
地図の場所に行くと、依頼主となぜかルナがいた。それから一緒に説明を受け、今に至る。
「そちらの方は・・・」
「あ、はい。任せて下さい。」
「よかった。それじゃ私はこれで・・・」
依頼主は説明すると帰ってしまった。
「・・・」
「・・・」
お互いに沈黙。二人の間に重い空気が流れる。しばらくしてルナが口を開いた。
「なんでアレンがここにいるのよ!」
「いて悪いか!仕事って言っただろ?掲示板でこの依頼を見つけたから・・・ルナこそなんでここにいるんだ?」
「そ、それは・・・たまたまホテルでこの依頼の貼り紙を見掛けたから・・・悪魔が出て困ってるって書いてあったからほっとけなくて・・・そ、それに・・・」
ルナは言葉を濁した。
「それに?」
アレンは気になった。
「・・・荷物を盗られたのはアレンだけのせいじゃないのに、私、言い過ぎちゃったし・・・だからお金稼ぐの、ちょっと手伝ってあげようかなって・・・」
「・・・」
アレンは感激していた。
(なんだよ、なんだかんだ言っておきながら、優しいトコあるじゃん・・・)
「な、なによ!なんか言いなさいよ!」
「ありがとう。」
アレンは素直にお礼を言った。
「えっ?」
「だから、ありがとうって・・・」
「もういいわよ!」
ルナは顔を赤くしながら言った。お礼を言われる事には慣れていないようだ。
「ちゃっちゃと片付けるわよ!」
「はいはい。」
いつのまにか二人の間の険悪なムードは無くなっていた。
†††††
「悪魔が住み着いた、ってここか?ι」
二人は町ずれの屋敷の前に立っていた。とんでもなく広いが、かなり古く、見た目はボロボロのいかにも出そうな屋敷だ。
「そうみたいね。」
ルナが依頼主からもらった地図を見ながら言った。
「悪魔って屋敷に住み着くんだ・・・ι」
(なんでこんなとこに住み着くんだよι俺こういうのダメなのに・・・)
「もしかして、怖いの?」
アレンの表情を見ながらルナがからかうように聞いた。
「そ、そんなわけないだろ!」
「じゃあさっさと入りなさい!」
「うわぁ!」
後ろから突き飛ばされたアレンは転ぶように屋敷に入った。
「いった〜!後ろから突き飛ばすか、普通!?」
「あんたがさっさと入らないからでしょ。」
ルナはさらりと言うと、スタスタと奥に歩いていく。
「・・・」
なんとなく、情けない気がしたアレンは黙ってルナに着いていった。
†††††
屋敷の中は見た目どうりに荒れていた。無駄に長い廊下をルナはスタスタ歩き、アレンは後ろからビクビクと着いていった。
「ほら、しゃんとしなさい!」
「だ、だって・・・ι」
(アレンってホラー系はダメなんだ)
ルナは心の中で笑いながら歩いた。
「ルナ!」
突然アレンが真面目な顔で言った。
「なに?どうし・・・きゃっ!」
アレンがルナに飛び付いた。二人が倒れこんだ瞬間二人の横の壁を何かが粉ごなに吹き飛ばた。その何かは紅い眼で二人を見ている。
「あ、悪魔!」
「走れ!」
二人は庭に出た。庭も屋敷同様かなり広かった。
「なんで悪魔が来るってわかったの!?」
ルナはアレンに聞いた。
「いや、なんか変な感じがして悪魔だって思って・・・」
「悪魔が近付くとわかるの!?」
「た、多分・・・」
ルナは驚いていた。そんな話は聞いた事がない。
(これも剣聖の力かしら?)
「!来るぞ!今度は二体だ!」
ルナが不思議がっているところに、アレンが叫んだ。
「!了解、一人一体ずつ潰すわよ!」
「おう!」
アレンは剣を引き抜いた。
「来たぞ!」
屋敷からオーガ型の悪魔が二体飛び出して来た。アレンは向かって来る悪魔を見ながら剣を二本静かに構えた。
「行くぞ!」
アレンは飛び出した。ルナも剣を抜いた。
(やっぱり実戦で試さないと。とりあえず火でいっか)
ルナは火の魔力を剣に込めた。
「!凄い・・・」
火の魔力を込められた剣は刀身が炎になっていた。
「はぁっ!」
迫ってくる悪魔に炎の剣を振った。炎が爆発的に大きくなり、悪魔を呑み込んだ。
「ガオオォオォォォ!」
悪魔は悲鳴をあげながら燃え尽きた。
「この剣凄いわ・・・」
ルナがアレンの方を向くと、アレンも悪魔を倒したようで剣を鞘に納めていた。金と銀の刃が月の光で煌めいて、見とれる程に綺麗だった。
「二刀の扱い方もわかるみたいだ。」
「!」
ぼーっとしていたルナにアレンは言った。
「け、剣聖は二刀流だったのかしら?」
「?さぁ・・・」
「確か悪魔は三体だったはずよね?」「うん、そのはずだけど・・・!来る!」
「よくわかるわね。」
「なに落ち着いてんだよ!」
「だってあと一体ぐらい・・・」
どおって事ない。ルナはそう言おうとしたが現れた悪魔を見て声を失った。
「なっ!?」
アレンも驚いた。
「で、デカ過ぎだろ・・・」
オーガ型の悪魔というのはかなり大型である。先程の二体もアレン達の二倍ぐらいの大きさがある。しかし、窮屈そうに屋敷のドアをくぐってきたソイツはは、さっきの三倍程大きかった。
ようやく来た戦闘シーン!・・・なんかあっけなさ過ぎ感がしますね。こんなんでいいのかな?まあ、相手がまだまだ雑魚なんで(笑)次はでっかいヤツと戦うのかな?それではまた次回!