SPIELEWELT(ゲームの世界)
ラウルはついに[11 Gates]のアルカディウスに到着したが、彼の任務はまだ始まったばかりだ。テロ事件以前、ラウル、マヤ、ティナはアルカディウスの住民として登録することに決めており、彼女たちがベルグラードにいることに疑いの余地はなかった。というのも、彼女たちはかつて、現実世界でもゲームの世界でも決して離れないと約束していたからだ。
しかし、主な問題は別のところにあった。
まず、ラウルは彼女たちの外見と背景を知らないため、闇雲な捜索となる。ラウルは自分の名前のタグをつけて彼女たちを捜索したいが、元の世界での記憶がないという情報が足かせとなる。
次に、どの大都市からスタートするかを選択できるとはいえ、必ずしもその都市の住民であるわけではない。ラウルがベルグラードをスタート地点に選んだことで、ラウルは幸運にもベルグラードの住民になったのだが、[運命システム]がプレイヤーの背景を作り出してくれるのだ。プレイヤーは開始都市をベルグラードに選ぶこともできるが、それは必ずしもベルグラードの市民権を持つことを意味するわけではない。ラウルが何らかの用事でベルグラードに来ただけで、市民権は別の場所にあるという可能性もある。
3つ目は、今彼に起こりうる最も恐ろしい可能性だった。マヤとティナは現実世界での記憶を失っており、この王国の市民であるはずがない。もしかしたらこの大陸でさえも…あるいはもっと悪いことに、収束している他の10の世界のいずれかにいる可能性もあるのだ。
「マヤ…ティナ…今どこにいるんだ…」絶望の中で、二人の名前を口にした彼は涙をこぼしそうになった。この広大な世界で、ラウルがどうやって二人を見つけられるのか、手がかりはどこにもなかった。
「ラウル!」そんな絶望に苛まれていた時、声が聞こえた。
「誰か、この世界で俺のこと知ってる?」…衝撃に彼は現実、少なくとも今のゲームの世界、現実に引き戻された。
「ああ…!」ラウルは高まる感情を抑えきれず叫び声を上げた。そしてすぐに声の主へと視線を向けたが、どうやらマヤでもティナでもなかった。そもそも声の主は男性だった。プレイヤーはキャラクターの性別を選択できるものの、声を隠すことはできない。もちろん、女性的な声を持つ男性で、『11 Gates Online』の音声アシスト機能を使う場合は別だが。
しかし、マヤとティナと彼の間では、お互いを区別しやすいように特定の特徴を持つキャラクターを作るという合意があり、現在、声の主は特定の特徴、つまり性別には固執していない。そう、3人がどんなゲームをプレイするにしても、事前に決めていた特徴の一つは、性別が本来の性別と一致していなければならないということだった。
つまり、マヤとティナは元々女性なので、キャラクターデザインは間違いなく女性を選ぶことになる。ラウルは元々男性なので、男性を選んだ。声の主は間違いなく男性だ。筋肉質な女性ではないが、キャラクターデザインとして筋肉質な男性を選ぶのはごく限られた女性だけだろう。ありがたいことに、マヤとティナはそうした女性には含まれていなかった(ことを願う)。
ラウルがまだ考え事をしている間、彼の名前を呼んだ筋肉質の男性は心配そうな表情をした。
「大丈夫か?」彼の声ははつらつとしていて心配そうだった。それは彼がラウルを知っていること、そしてなぜかラウルも彼を知っているはずであることを示していた。「君は2週間近くも離れていたのに、何もなかったかのように戻ってきたな。」
プレイヤーと地元民(NPC)の頭上に通常表示されるカーソルが消えていたため、ラウルはこの男が元々プレイヤーだったのか地元民だったのか見分けがつかなかった。
「あなたは一体誰ですか?」それは正直な質問だった。ラウルはこの男を全く知らなかった。
「は?頭でも打ったか?アルバートだ。」その男――アルバートが名前を口にした瞬間、ラウルの頭に激痛が走り、すぐに眠気が襲い、ある光景が頭に浮かんだ。
そう、ラウルはこの男を知っていた。アルバート・アーデル。ラウルと同じようにベルグラードのスラム街に取り残された孤児で、共に育ち、冒険者ギルドにも所属し、幾度となく冒険に出た。武器は巨大な大剣。その屈強な体格によく似合っている。
そう、12日前、ラウルは一人で冒険に出たのだ…ラウルの知らない場所へ。
「大丈夫か?顔色悪かったな。」
「大丈夫…大丈夫…」数秒間、頭が真っ白になった。ラウルはまた何を考えていたのだろう。「二週間も行方不明だったんだ…?」
「覚えてないのか?」明らかに彼の懸念は根拠のあるものだった。ラウルは彼と別れた後のことも、二週間近く空虚だったことも覚えていない。恐ろしいことに、一人で冒険していた間に何が起こったのかすら覚えていない。
「調子が悪そうだな。この話は明日まで待たないといけない。少し休んだ方がいい。とりあえず宿屋に泊まったらどうだ?今の調子で夜更かしするのは得策じゃない。」
「…うーん…」ラウルはポーチの中身が少し気になっていた。なぜか中身は見えなかった。
「なあ、今夜の宿代は払う。でも、依頼の報酬が入ったらすぐに払うんだぞ?」
「ありがとな。借りができたな」
二人とも孤児で、普段は路上で寝泊まりしているが、たまにギルド提携の宿屋でまともな寝具を借りて稼いだ金で暮らす。決して豪華な宿ではないが、中身が見えない袋を抱えた者にとっては、決して安くはない。アルバートから大銅貨三枚を受け取ったラウルは、ギルド提携の宿屋『ふわふわアークス』へと向かった。
「僕が行方不明になっていた12日間、一体何があったんだ?」ラウルは深く考えてみたくなった。しかし、眠気が襲ってきたので、ラウルは眠りの呼び声に耳を澄ませて目を閉じた。




