#23 原因
大変お待たせいたしました!
ストーリーの練り直し(ほぼ内容は変わりませんが、表現方法やストーリーの展開順など)をし、読者様が感情移入しやすくなるよう、少しでも読みやすいように改良しました。
大好きなゆうくんとの学校生活、私が元々住んでいたこの街を離れる前⋯⋯私は、感情に流されて自暴自棄になった
「いつもいつも仕事ばっかり!!そんなお父さんなんか、私はお父さんだなんて思わないっ!」
「──なんてこと言うのっ!!」
リビングで響く私の声と、お母さんの怒号
私がこの街から出ていく事になってしまった頃のその時、母親に向けて放ったお父さんに対する悪口⋯⋯
大好きなお父さんに、ここまで言ってしまうほど感情に流されてた事には理由があった
簡潔に言えば、お父さんが仕事で異動になったことを伝えられた
それは引越しが必要な程遠い場所であると、つまりそれを意味するのは⋯⋯ゆうくんとのお別れ
今にして思えば⋯⋯お父さんにもお母さんにも⋯⋯すっごく、酷い事を言っちゃったなぁって、そう感じる
全ての元凶は──愛月真海、彼女が原因だったのに
〜
「せっかく学校生活も楽しくなってきたのに⋯⋯!あんまりだよ!!」
「いい加減にしなさい!仕事の異動はお父さんの一存で決まるものじゃないのよっ!」
ゆうくんとのお別れを前にして自暴自棄になって、心にもない言葉をぶつけて⋯⋯
「うるさいうるさいっ!!いつも⋯⋯いっつもっ!お父さんは私なんかより仕事って!どうせ私なんて可愛く思ってないんだよっ!」
「────っ!!」
しまいには、これまで仕事ばかりでも凄く良くしてくれたお父さんの全てを、真っ向から否定しちゃった。
ゆうくんとの別れの日が訪れる事が辛くて、寂しくて⋯⋯耐えられなくて。
あの時のお母さんは⋯⋯まさかそんなに言うだなんて思わなかったんだと思う
唇がわななき、声にならない吐息だけが漏れて⋯⋯お母さんは表情ひとつ変えず、こちらへ向かってきて
「⋯⋯いっ」
気がつけば、私の頬は赤く腫れてた
強く、まるで焼けるかのような痛みが私の頬に走り続けて、そこから私が咄嗟に移した行動
「────待ちなさい!彩華っ!!」
勢いで飛び出した。リビングを、玄関を
友達の少ない私には行く宛てもない
ゆうくんと顔を合わせる事さえ出来ない、辛さが勝り抵抗感が芽生えて⋯⋯涙を流してた
霧雨に包まれた街は、世界ごとぼやけたように沈黙していて、行き交う人影もなく、ただ信号の青が滲んで道を照らし、 その光の中を私は無我夢中で駆け抜けた。
どうしよう、どうしようって⋯⋯
両親への怒り、受け止められない現実への感情。それが家を出た拍子に忽然と消えて、その代わりとして、人生への絶望の感情に変わった
私が口から出した言葉が親にとってどれほど刺さるものか。
子供ながらに事の重大さを理解して、申し訳なさと後悔が心に残る中、引き返せず、只々道を走った
⋯⋯ゆうくんの家に行って、彼の顔を見れば喪失感に拍車がかかってしまう
行きたいけど行きたくない⋯⋯彼の家の反対側の道を行く私には、そんな矛盾した言葉が、良く似合うと思う
途方もなく走って、感情に突き動かされてた私に体力切れなんて言葉はない
⋯⋯ゆうくん以外に大した身寄りがない私が、本能的に向かってたその場所⋯⋯
涙を拭って、ある程度の落ち着きが取り戻し、顔を上げたその遠い先
愛月真海の家⋯⋯
傍から見ても仲良しとは言えなくて、むしろ仲が悪かった。けど、彼女とは多少の接点があって⋯⋯私は、苦手でも1人の友達として認識してた
私だけに異様に冷たい真海ちゃんでも、私にとっては友達だった
恐怖心を押し殺して、家の前に立とうと歩みを進めながら、何度も考えた
一歩一歩が重く、濡れた路面を歩く自分の足音が一際大きく聞こえながら
真海ちゃんになんて相談しよう、そもそも家に上げてくれるかな⋯⋯って
近づく度、不安が大きく、心臓の鼓動が早まる
「⋯⋯あれっ」
真海ちゃんの家の前に、1台の車が止まった
一層足取りが重くなった私は、その場で立ち止まると、その車のドアが開く
「(真海ちゃんのお父さんかな⋯⋯?)」
仕立ての良いスーツに身を包んだ、いかにもエリート然とした男性が降りてきた
降りる際の所作、立ち居振る舞い、何もかもが凄く気品を感じさせる
⋯⋯まさしく、権力を持ってる人って感じ
車を降りてから程なくして、霧雨を意に介さず車の窓越しに運転手と喋り始めた。傘も刺さずに
その運転手との会話が、私の耳にも届く
「本日は良い懇親会だったよ。先方もご満足いただけたようでこれも君のおかげだ。桜木くん」
私は眉をひそめた。
⋯⋯桜木──私の家と同じ苗字⋯⋯?
「恐れ入ります。本日は会長様にお目にかかれましたこと、また同じ会に参加の機会を賜りましたこと、誠に光栄に存じます」
待って、あの声⋯⋯微かに聞こえたけど──
霧雨でかすれてよく見えなかった。でも、聞こえたのはお父さんの声だし、あれもお父さんの車によく似てる⋯⋯
⋯⋯やっぱりあれ、お父さんだよね
「異動先でもこれまで通りのご活躍を期待しているよ。私の独断の異動で負担をかけるが、 よろしく頼むよ。それじゃあ、私はこれで」
言い終えたスーツの男性は車に背を向けて、そのまま帰宅していく
「⋯⋯っ」
スーツの男性が、そこで口角だけを上げた
車の角度的に、運転手はスーツの男性の背中しか見えない。
去り際に浮かべた笑みは、あくまで私の見解だけど⋯⋯それはどこか人を試すようで、決して真意を明かさないものに見えた
私には何も関係ないけど、すっごく気になる。なんで、あそこで笑ったんだろう?あの人⋯⋯
私は立ち尽くしている中、スーツの男性が家へ入り姿が見えなくなって、車がこっちに向けて発進する
点灯していたライトが私を照らして、眩しかった私は手で目を覆う
「ん、彩華??」
⋯⋯あっ、や、やばいっ
色んな出来事に気を取られて、すっかり身を隠すのを忘れてた⋯⋯
「何してるんだ?この雨の中⋯⋯」
私は家を飛び出したにも関わらず、今、ゆうくんの次に会いたくなかった人と相対しちゃった
なんて返そうか、気まずかった私は目を逸らしてモジモジとしちゃう
そうしていると、車のドアのロックが外れる音が聞こえた
「⋯⋯とりあえず、乗りなさい?」
長い間お待たせしてしまい、申し訳ございません。
書き上げた内容、全てを消したので投稿するのに少しお時間を頂きました。
また、練り直したため書き溜めが少ないので週1〜2回の更新を目処としています。
改めまして、お読み頂きありがとうございました!
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