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遠回りでいいんじゃない?

作者: 杉原 麦

 遠回りでいいんじゃない?

 今日は寄り道をして、歩いて帰ろう。

 風が吹いて気持ちのいい秋の日だから。

 ケータイの電源をきって、会社をぬけた。


 認められていなくたっていいんじゃない?

 誰かに賞賛をあびなくても、前に進んでいるんだから。

 いずれ実ができる植物も、見えない根っこを下へ下へと

 伸ばしているんだから。


 消耗しなくていいんじゃない?

 自分のことを相手はすべてわかってくれないんだから。

 いつも一羽でいる鳥も、誰にも知られず高く高く

 飛んでいるんだから。


 自己投資しなくていいんじゃない?

 未来のことなんて誰にも分からないんだから。

 自分が今一番したいことをしなよ。


 夕方の空はどこまでも遠い。

 きらきら反射する川の光が目に入る。

 今日は、本当に気持ちのいい秋だ。

 ミニマリストを目指して、たくさん捨てたけど、

 部屋の隅に残ってるピアノ。


 昔は誰よりもピアノが好きだった。

 だけど、教えられるほどうまくはならなかった。


「ピアノ下手だけど好きだ」

 下手だけどとぼやくと、視界が歪んだ。

 食えるほど、うまくないけど。

 ピアノをひいたらいいんじゃない?

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