第76話 病名 持続勃起症(プリアピズム)
「さちえさん、QOLの質問状に答えなくてすみません。ただこの診断書を見てもらえれば同じことかと思って」
そういうと俺はテーブルの上に病院の診断書をのせる。
診断書は俺が2か月間入院していた病院のもので、そこにはこう書かれていた。
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診断書
一. 病名 持続勃起症
当院入院中に患者を診断した結果、性的刺激がないにもかかわらず勃起してしまう「持続勃起症」と診断された。
なお、勃起時の痛みなどないことなどから非虚血性プリアピズムと診断を下した。
とくに投薬などは必要なく、患部を安静にすること、もしくは射精を促すことで対処は可能なため、通学や就労などの問題はないものと判断する。
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まあ、実際に元の世界において俺は「持続勃起症」と診断されたことはないしこっちの世界の多々良恭介が持続勃起症であったという事実はないと思う。
純粋に健康体である俺がこの「持続勃起症」と診断されてしまったのは、貞操逆転世界の男子では絶対に勃起しないようなわずかな性的刺激でも性的興奮して勃起してしまうためである。
つまり普通なら勃起しないような木の股を見ても興奮するという状態である。勃起するはずがない状況下において何故か勃起してしまっているように見えるというわけだ。
実際は俺の下半身が節操なしなだけなんだけどね。
この診断結果は入院中に看護師の若山あさかさんがお世話をして確認した内容や、昨日の夜のちさと先生とみなもさんによるチェックで、俺が性欲過多で女性を襲うような変態性欲者ではないと判断して貰えたためにこちらの診断が下り、今日病院から学校にこの診断書が届き、ちさと先生の手から俺に渡された。
「ふ~ん、そうか……恭ちゃんは持続勃起症って言う病気だったんだ~?」
なぜだか最後に語尾が上がって疑問符になっているのが気になるが、さちえさんが診断書を見ながら言う。
「この最後の文章だけど、恭ちゃんが大変な時はお姉ちゃんがおちんちんのお世話をしてあげたら早く楽になれるってこと?」
と手を軽く握った状態で空中で上下に動かしながらさちえさんが聞いてくる。
まだお姉ちゃん設定続ける気ですか?
それとそのエアあれっぽい手の動き……下半身が反応しちゃいそうだから止めて下さい。
「恭介くんってそういう病気になっちゃってたんだ。私はどうやって協力すればいいの?」
陽菜が真面目な表情で正面から聞いてくる。……騙してエッチな事して貰いたくなっちゃうからヨコシマな俺をあんまり純粋な目で見ないで欲しい。
本日の更新はこれにて終了です。
本人も言っていますが恭介は全く病気ではありません。健康体です。
ただこの貞操逆転世界の常識に照らし合わせて、あまりにも勃起しているので「持続勃起症」と診断されてしまいました。
後、非虚血性持続勃起症の対処法の部分において「もしくは射精を促すことで」の部分はフィクションです。特にそういう治療法はありません。