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第69話 その人を誰にも絶対渡したくない(陽菜視点)

 お昼ご飯を隣のクラスでみんなでワイワイ食べて、今私は午後の授業を受けている。

 5時限目の授業は古文の授業。私は古文は嫌いではない。昔の人の恋の歌なのにものすごく共感することがあったりするからだ。


 今日の内容は伊勢物語だった。私は授業で出来るだけしっかり覚えて帰りたいから予習を中心に毎日の家での勉強をしている。

 英語と古文に関しては、その日に授業でする範囲をノートに書き写してから自分なりに訳してみてわからないところをしっかり授業で聞くようにしている。


 名にし負はばいざ言問こととはむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと


 在原業平が詠んだと言われる歌、東国を旅する業平が隅田川にいた都鳥という鳥を見て詠んだ歌だそうだ。

 授業をしている谷垣先生はちょっと眠そう。昨日の夜は大変だったもんね。

 いつもより元気のない声のせいもあってか、1年4組の生徒も3月の午後の日差しの中でうつらうつらと船を漕いでいる人がちらほらいる。


 私はこれまでのことを考えていたので、眠いということは全くなかったが授業には集中できていない。


 昨晩のこと……今日のお昼のこと……多々良恭介くんのこと。

 昨日の夜、谷垣先生と刑事の水元さんに多々良くんが連れ去られたことで生まれて今までで一番焦ってしまった。どうにかしないとって必死になって、多々良くんと再会出来たら安心して泣いてしまった。

 そして私は自覚した。


 私は多々良恭介くんに恋をしている


 ()()()()じゃないのは分かっている。

 恭ちゃんがいまどうしているのかを聞けるなら隅田川まで都鳥に言問ことといに行きたいくらいだ。

 でも聞けないから自分で考える。自分の心に従う。


 私の初恋は恭ちゃんだった。

 二度と会うことがない相手だから成就することもフラれることもない宙ぶらりんな恋。この貞操逆転世界で好きになれる男子が現れなかったら一生この恋だけを大切に胸に抱いて生きていくのもいいかと思っていた。


 でも、私は恋を知った。この世界にも好きになれる人がいた。

 その人を誰にも絶対渡したくない。多々良くん……いや、今日から頑張って恭介くんって呼ばせて貰おう。恭介くんの隣にいられる私になるんだ。

 友達だとか言い訳するのはもう止めよう。恭介くんは私の好きな人だ。


 恭介くんの心の中にいる好きな人に関しても、その人よりも好きになって貰えるように頑張る。

 ライバルは多いかもしれないけど負けたくない。それに私は頑張るのは得意なのだ。


 恭介くん、覚悟してね。私頑張るから。絶対幸せにしてみせる。

 10話までは元の世界だったので約60話かけて自分の気持ちに気付けました。

 作中では結構短い時間で惹かれあってます。

 別人と思ってるけど一番好きな人が目の前にいるのに好きにならないわけがない。ライバルは昔の自分だけど頑張って。


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