第60話 クラスの女子に俺の邪魔をさせないため
昨日は怒涛の一日だった。今日はのんびりと過ごしたいものである。
国語準備室を出るタイミングでちょうど予鈴が鳴ったので1年5組に移動する。
ちさと先生は職員室に朝礼をサボることを報告済みだからこのままホームルームに行くと言って一緒に隣を歩いている。
「いや~、サボるイイ口実が出来たわ~、多々良のおかげで教頭の退屈な《《禿げ頭》》聞きながら、光る《《話》》見なくて済むわ」この教師……昨日の徹夜がたたって頭が回っていないらしい……職員室で失言しなければいいけど。
「ま、なんにせよ節度を持って生活する分にはアタシは咎めないから。高校生が恋人とセックスしたからって避妊してれば問題ないって。その代わり浮気とか二股とか止めなさいよ、女子が傷つくから」
物分かりのいいことを言っているが、処女のくせにやたら上から目線の独身・26歳だった。
俺の目線に気付いて歳を考えず全力で追いかけてくるので、教室に駆け込んで風紀委員の小烏の後ろに回り込む。
はぁはぁ……ちさと先生かなりやっぱり鍛えてるな。筋トレ中心で瞬発力がまだ不十分なこの身体だと廊下を逃げるのが大変だった。
「多々良も谷垣先生も廊下を走らないように」
小烏にそのめちゃ強の目力で言われると流石にちさと先生も大人しくなった。コツン、と俺の頭に軽くゲンコツを入れて教卓に立つ。
「え~と、伝達事項だけど来週から期末テストだからテスト範囲の勉強をちゃんとやっておいてください。特に多々良く~ん、三学期に関しては出席日数が完全に足りていないから下駄を履かせてあげることが出来ないわよ。
二学期までみたいな成績だと進級に赤信号が灯っちゃうかもしれないから頑張るようにね。先生応援してる」
めちゃくちゃいい笑顔で言ってるけど、今言う必要あったかな? 個人的な話のような気が。さっきの意趣返し? ……ああ、クラスの女子に俺の邪魔をさせないためにくぎを刺したのか。
女子があんまり俺にかまって勉強できない状況にすると俺が落第して4月に入学してくる新一年生に取られちゃうぞってことね。
あれ?……日曜日にカメラを買いに行く約束をした桜島先輩、大丈夫なんだろうか?
テスト前日に買い物に行く余裕なんてあるのか? 連絡先はスマホにあるだろうから後で連絡と……
まあ、テスト前の最後の授業を真面目に聞いて先生にテストで出そうなところを質問しておこう。
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今週末のお話は貞操逆転世界でもエッチばっかりしているわけじゃなく大人は大人で真面目に生きてるんだってお話でした。エッチな女性が多いですけど。
ちさと先生は現実世界だと性欲はあるけど女の子と話したりするのは苦手なチャラっぽい雰囲気の男子みたいな感じでしょうか。
こじらせ処女……ありだと思いますか?
60話までお読みいただきありがとうございます。
恭介くんがこの世界に受け入れられるまでの段階をやっと終えました。
物語はこの後、一気に両片思いのラブコメになっていきます。
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