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第59話 無理させちゃってるのがバレてる(陽菜視点)

 昨日の夜、多々良くんを先生たちから取り戻して、多々良くんが無事だったと思うとホッとして泣いてしまった。

 それもお母さんの運転する車の後部座席で多々良くんにしがみつきながらだ。明日顔を合わせる自信がない。


 多々良くんを迎えにいく車中でお母さんがいろいろと話してくれた。

 学校、警察、病院、そして私のお母さんと多々良くんのお母さん、この人たちがチームを組んで最近の多々良くんについていろいろと情報交換をしていたんだそうだ。


 今の多々良くんはこの世界の男子では珍しい性欲が強い男子でトラブルの原因になりかねない。

 だから、学校に復帰する今日のタイミングで先生と刑事さんがテストして問題ありならこれからは同じ高校に通えなくなっちゃう可能性まであるという話だった。


「でも、あの二人と同じ部屋から陽菜に迎えに来てくれて連絡してくるってことはきっと恭介くんは大丈夫な子だと思うわよ」

 お母さんが言ってくれて、実際にその通りになった。多々良くんは明日も私と同じ学校に通学できる。帰りの車で泣いてしまったのはそれも理由の一つだ。


 多々良くんを家に送って、家に帰るともう日付が変わる時間だった。今日の日記はどうしよう……あ、明日のお弁当の仕込みしてないや、と頭はまだとりとめもなく考えているがお母さんに無理矢理お風呂に放り込まれてベッドに連れていかれた。


 焼き肉を食べていたので、髪まで洗わされてすっごく久しぶりにお母さんにドライヤーで乾かしてもらう。凄く甘やかされて()()()()()()いるのを感じる。

 今日は一日私にはちょっとハードすぎたから体に無理させちゃってるのがバレてるんだろう。

 ベッドに横になるとお母さんが私に聞いてくる。


「ねぇ陽菜? 陽菜は恭介くんとどうなりたいの? 友達?恋人?それとも家族?」

 眠くてよく分からない……まぶたが重い。


「ずっと一緒にいたい……んだと思う……よく分からないよ……()()()()……どうしたらいいの?」

「そう、多分恭介くんと一緒にいるのはとっても大変だと思うけど、お母さんも協力してあげる。

 だから、明日も恭介くんとお弁当でも食べながらゆっくり話してみなさい。明日のお弁当はお母さんが作っておいてあげるから……陽菜おやすみなさい」

 そう言って部屋の電気を消すと、お母さんは部屋から出て行った。


 私は本当の……この世界で生まれたヒナじゃないのにいつもすごく優しくてお母さんのことが大好きだ。

 私はそのまま眠りについた。


 朝になって目が覚めた。昨日と違って時間はちょっとギリギリめ。

 でも疲れはどうにかとれていた。昨日焼き肉をあんなに食べたのに食欲があるのが体が元気って感じがして安心した。私の体……頑張ってと心の中でエールを送る。


「で……陽菜に聞きたいんだけど、恭介くんの性欲処理をする自信ある? 私も手伝っ(親子丼し)てあげようか?」

 お母さん!? 朝っぱらから食卓で何を聞いてるの?


 昨日の夜の会話ってそういう意味だったの? お母さんにいろいろ感謝してたのに食欲どころか考えてたこと含めて全部ふっとんじゃったよ。

 本当はお説教したかったけど、時間がギリギリで遅刻しそうだから急いで家を出るしかなかった。もちろんお弁当の包みは二つ持って出たよ。

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