第56話 この後は祝杯よ! さぁ、朝まで飲むわよ~
教師と刑事になで回されながらも陽菜は俺の頭を抱え込むように抱きしめて……ネコが子ネコを守るために外敵を威嚇するようにフゥゥゥーって表情で二人を睨んでいる。
自分のものだと思っている多々良恭介のおちんちんを取られそうになったのがそんなにイヤだったのだろうか?
俺のほうはぎゅぅって押し当てられて天国だった。こんなに柔らかいんだ……顔がにやけそうになる。いや、蕩けてるかも。
それに凄くいい匂い。ここは天国ですか!?
「アハハ、あなた達なら大丈夫そうね、これだけ誘惑しても手を出そうともしないんだもの。それに……相手のことを想い合うことが出来るみたいだし」
みなもさんが安心したように笑いかけてくる。
「ま、私は最初から大丈夫だって思ってたけどね~。私の教え子なんだし。
さ、アンタ達、明日も朝から学校なんだから家に帰ってしっかり寝なさい。
夜更かしは美容の大敵だしね~、さぁ……みなも、確認は終わり多々良は大丈夫って分かったんだから、この後は祝杯よ! さぁ、朝まで飲むわよ~」
ちさと先生も新しい缶ピールをプシュッしながら言ってくる。美容の敵と乾杯が矛盾してるんだが大丈夫なのか?
「じゃあ後のことは先生たちに任せて帰りましょうか? それとも恭介くんはここに残って筆おろしして貰う?
先生達なら優しく恭介くんのハジメテ貰ってくれるかもよ」
勘弁してください……もう疲れたから陽菜とさちえさんと帰ります。
「あら? 義理の母に筆おろしして欲しいの? 甘えんぼさんね」
さちえさんがからかってくるので陽菜がほっぺたを膨らませて思いっきりさちえさんの背中をペシペシ叩いていた。
「アンタ達はもう遅いから本当に帰りなさい。で、多々良は明日の朝、ちょ~っち早く学校に出てきて国語準備室に来なさい。
姫川……大丈夫、最初から多々良に手を出すつもりなんてなかったから安心して帰りなって、巻き込んで悪かったと思うけどこれで確認は終了だから」
ちさと先生にそう言われて家に帰ることになった。あの痴態も俺のことを試すための演技だったってことか……すっかり騙されてしまった。
焼肉屋でこっそりアルコール飲ませて理性のガードを下げようとしたり……大人の女は、特にこの世界の大人の女は怖い。
「あれもこれも全部演技だったってことですね、ああ、すみません後もう1つだけ……あのレズ風俗と男娼風俗の下りも嘘だったってことでいいんですよね?」
俺が質問すると、二人はなぜそんな当たり前のことを聞くのかという不思議そうな顔で俺の顔を見つめながら
「「行ってるに決まってるでしょ。当り前じゃない」」
と見事に声をハモらせた。この世界の大人の女は怖い。
ちさと先生に送り出されるようにして家路につき、さちえさんの運転で自分の家まで送って貰った。
陽菜は車の後部座席でずっと俺にしがみついて放してくれなかった。ちょっと泣いてるっぽかったので陽菜の頭をずっとなでるようにして帰ったが、陽菜の髪の毛はサラサラですごくいい匂いがした。
そんな俺たちをルームミラーで眺めながらニヤニヤしているさちえさん。陽菜は家に帰ってからからかわれまくるんだろうな。
翌朝、登校二日目にして朝から早朝出勤させられることになった俺は事の真相をちさと先生から告げられることになった。