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第53話 使い終わったら返すね~(陽菜視点)

 いきなり恭ちゃん……いや、多々良くんに手を握られてびっくりする。

 幸いカルピス(っぽい)飲料を持ち上げる前だったのでこぼさずに済んだ。


 そこから恭ちゃん、いや多々良くんの谷垣先生への説教タイムだった。

 このお店ではアルコール飲料がストローなしで、ソフトドリンクがストローが刺さっているということを多々良くんは食べ始める前に店員さんから確認していたらしい。

 私はそんなことを全然知らなかったので驚いた。多々良くんが昔バイトしたところでもそうだったと言っていたがバイトなんてしてたんだ、大人だなって思った。


「で、警察官の前で未成年にアルコールを飲ませようとするなんて何考えてるんですか? 懲戒免職されますよ」

 説教されて谷垣先生は「お肉をとられてむしゃくしゃしてやった。アルコールで酔わせれば勝てると思った」などと供述しており、反省はあまり見られず結局水元さんと一緒にテーブルの上の4杯のカルピスハイを飲み干していた。


「俺はともかく陽菜を酔わせて何かしようとしたら絶対俺が許さないですからね」

 多々良くん、勢いで私のことを「陽菜」って呼んじゃってる。

 そういえばさっきまで私もお肉をお願いする時に「恭ちゃんお願い」って元の世界での小学生の頃みたいに沢山甘えちゃった気がする。


 ちょっと恥ずかしくなって真っ赤になっていると、多々良くんに「もしかしてアルコール飲んじゃった」と顔を覗き込まれてますます赤くなってしまって心配された。


 皆のお腹がいっぱいになったところでお開きにすることになり、水元さんにお会計して貰ってお店を出た。

 食べすぎて多分お腹がポッコリしちゃってるからお会計中にセーターを着るときにちょっと恥ずかしかったけど多々良くんはちゃんと紳士でよそをむいてくれた。


 タクシーに乗る前に「ちさと、もうちょっと飲むわよ」とコンビニに向かった水元さんがビールとかちゅーはい?の缶をいっぱい買ってタクシーに乗り込んだ。


 私達も送ってくれるというのでありがたくタクシーに乗ったが、今度は助手席に水元さん、後部座席は左側から私、谷垣先生、多々良くんの順番で多々良くんの隣に座れなくて残念だった。


 ん?……残念? 相手は多々良くんなのにと思ったが谷垣先生がいびきをかきながら多々良くんにもたれかかってるのを見てモヤモヤした。多々良くんが迷惑そうだからだよね。多々良くんイヤそうな顔してるもん。

 デレデレしてないだけましだと思っちゃうのを止めることが出来なかった。


 家につくと私が車から降りたタイミングで、後部座席の奥に座っていて席順のせいで降りることが出来なかった多々良くん(すぐ近所に家がある)の肩に腕を回しながら、谷垣先生が「じゃ、こいつ借りてくから~使い終わったら返すね~」という謎の言葉を残して「運転手さん、車出して」とタクシーで走りさってしまった。


 多々良くんが目の前で谷垣先生に攫われた!?

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