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第5話 ヒナに直接聞くわけにもいかないよな

 今日も水泳部の部活はあるが体調も気持ちも参加できる状態じゃなかったから部長に欠席のラインをしておいた。


 村上も部活を休みサッカー部1年のオカズシェア参加者に聞き込みに行っている。

 俺はヒナに会おうと連絡を取ろうとしていた。電話をかけても取ってくれない。

 いつもの平日は俺の水泳部があるので夜にメッセージの遣り取りや話をするくらいでもっぱら会えるのは土日だけだ。

 今日は月曜日だからいつもはこの時間にやり取りすることはない。


「ヒナに送ったメッセ―ジ……既読にもならないな」

 教室に残ってつぶやきながら昨日の日曜日の夜の事を思い出す。今は12月、そろそろクリスマスも近づいているからクリスマスの計画を立てたくてヒナと会おうと思ったが用事があると断られた。


 ヒナが用事があるという時にしつこく確認すると嫌がられるのでそれっきりになって今日の放課後まで会っていない。

 小学校の頃は一緒に登下校していたが中学時代は疎遠で、付き合い始めた高校の半年間は俺の部活と朝練のために一緒に登校することはなくなった。

 ヒナは心臓を移植した関係で激しいスポーツは出来ないので部活には入らなかった。文化部はあまり気にいったものがなかったようだ。


「ヒナに直接聞くわけにもいかないよな」

 流石に俺と付き合う前にサッカー部の西田とハメ撮りしたことがあるかとは聞けない。


 ブゥゥゥゥブゥゥゥゥ…

 マナーモードにしていたスマホが振動した。画面を見ると村上の名前が表示されているので電話に出る。

『恭介……落ち着いて聞けよ。今サッカー部の一年から聞いたんだが今日の朝練で西田先輩が「昨日の夜の動画は撮って出しの新作だ」って言っていたらしいんだ。

 それと西田先輩は3年生の矢代先輩って女の先輩と別れてフリーになったから女を探さないとって言っていたらしい』

 村上に言われて足が震える……あれだけ吐いて空っぽになっていたはずの胃がまたムカつく。


「大丈夫……俺は落ち着いている……」

 返す声が震えてしまい言葉が続かない。

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