第49話 俺と陽菜は捕まってタクシーで連行されることに
「まあこうして元気になったんだし、アンタ達も前よりも仲良くなったみたいだし、入院は大変だったけど多々良がイイ男になったんだからいいんじゃない」
応接台の三人掛けソファに俺と陽菜が、その向かいの一人掛けのソファが二つ並んでるうちの一つにみなもさん、そして応接室の入り口横の壁に何故か腕を組んでカッコよく壁にもたれかかっていたちさと先生が口を出す。
刑事のみなもさんがいるのにずいぶん態度が大きいような。
「フフフ……迷宮入り。つまり賭けは私の勝ちね。焼き肉おごってもらう約束忘れたわけじゃないわよね？ みなも」
ちさと先生がみなもさんに言う。
な、なんだ？この人とんでもないことを言い出したぞ！？
「もうっ、事件を賭けの対象にするのは不謹慎って言ってるでしょ？ 本当に昔からギャンブルが大好きなんだから」とみなもさん。
二人の会話のキャッチボールを聞きながら訳がわからず混乱して目がグルグルになってる陽菜が可愛い。
「えっと……二人はひょっとしてお知り合い？」
俺が訪ねると、「そうよ～、この高校のＯＧで私とみなもは同級生」とちさと先生があっさりカミングアウトする。確か二人とも26歳・独身って表記があった気がする。
元の世界にも賭け事好きな女性はいるだろうが、この二人が現実の事件をも賭け事の対象にするほどギャンブル狂いなのは貞操逆転のせいで元の世界の男性並みに女性のギャンブル狂いが多かったりするんだろうか？
どっちにしても元の世界ではギャンブル好きの男性は恋愛対象にならないと聞いたことがあるので、この二人の婚期は思いっきり遅れそうである。南無～。
「ちさと先生って日頃はそういう話し方なんですか？ みなもさんも？」
と俺が尋ねると「そ～よ～」「そうなの」と二人ともあっさりカミングアウト。
「というわけで……」ぎゅぅ。ちさと先生が二人掛けソファに座っている俺と陽菜の肩を後ろから抱くようにして捕まえる。
「あんたたち、タダ肉よ！ 今日はこの無能刑事の財布で好き放題食べていいからね。犯人を捕まえてくれなかった警察への恨みを肉を喰うことで晴らしなさい」
そのまま教師と刑事に俺と陽菜は捕まってタクシーで連行されることになった……焼肉屋へ。
この教師、でたらめだよ。いい先生だと思っていたのに～教師ガチャ失敗？
