第4話 お前のカノジョってどういうことだよ
「お前のカノジョってどういうことだよ」
村上が聞いてきた。俺の顔色を見て嘘や冗談ではないことが分かって心配してくれているのが分かる。
「映っている女子は間違いなくヒナだ。この動画はリベンジポルノかもしれない。今から話す話は絶対に秘密にしてくれるか」
俺は村上を信用している。村上は確かにスケベかもしれないが友人を裏切るようなことをする男じゃない。
「ヒナは俺と付き合う前にサッカー部の西田と付き合っていた。西田が二股をかけてヒナを捨てたから、結果的に俺がヒナと付き合うことになった」
6月の雨の中濡れながら歩いていたヒナを思い出す。びしょ濡れで泣いているヒナを公園で水泳部の部活帰りに見つけて一緒に帰り慰めたのが、幼馴染だったヒナと付き合うことになったきっかけだった。
「4月に入学した時点で1年で一番かわいいって評判だった姫川に西田先輩が声をかけたって噂はあったな」
村上が言う。姫川はヒナの名字だ。
「ここから先は本当に誰にも言わないでくれ。6月に俺と付き合った時点でヒナは処女じゃなかった」
童貞だった俺には辛かったがヒナは避妊具の付け方から男の悦ばせ方までお手の物だった。二股をかけたヤリチンの西田と付き合ったのは見る目がなかったと思うが、ヒナが相手のことを好きだった気持ちは本気だったと思ったからどうにか全てを受け入れた。
「だから今回の動画、ヒナが西田と付き合っていた頃に撮られたものが流出したか、西田がヒナへの嫌がらせで流した可能性がある」
俺が告げると村上も難しそうな顔をする。
「そうか、オカズシェアが男子の有志だけの共有とはいえこれが流出したら大変なことになる。それ以前に学校のカレシでもない男に裸を見られるなんて姫川も耐えられないよな。
この動画はすぐに消させないと」
村上が言ってくれるが俺たちは1年生、上級生にいうことを聞かせるのは簡単なことじゃなさそうだ。
「とにかく状況の確認からだ」二人で頷いてとりあえず午後の授業のため教室に戻る。