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番外編③結婚式2 恭介くんとみんなで幸せになるんだから

 暗転した会場のスポットライトがパッ パッ パッ パッと四つ光を放つ。

 俺と陽菜の席の後ろ、さっきまで飾られている花など以外は何もなかったはずのスペースを照らしている。


 そこには4人のウエディングドレスを着た女の子が立っていた。のどか、ひより、しずく、みおが俺と陽菜の後ろに並んでいる。


 のどかはボートネックのドレスででちょっと清楚なイメージ、見た目が幼いのどかが着るとなんとなく七五三やコスプレ感も出ちゃうけど凄く可愛い。


 ひよりはオフショルダーのドレスで綺麗な肩と鎖骨が見えてドキドキしてしまう。すらりと背が高いので本当にモデルさんみたい。今日はパッドも何もないけどやっぱりひよりはそのままが一番きれいでカッコいい。


 しずくはストレートビスチェのドレスで綺麗で大きな胸が強調されている。谷間も少し見えてて……いや、結婚式でまで興奮してどうする。でもすごく綺麗なバストラインと柔らかそうな二の腕の魅力にクラクラする。しずくのお腹にも俺の子供が宿っている。陽菜より少し遅いのでまだお腹は目立たないけど。


 みおはとにかくエロい。ハートカットの胸元がバッチリ開いたデザインで胸の谷間が強調されているし、スカート丈もミニになっていて白いストッキングがガーターベルトで止められているのが見えちゃってる。なんで真面目な結婚式場にそんなドレスがあったのか不思議になる。


 この結婚式場はメイクアップアーティストとして働き始めているみおのお師匠さんが懇意にしている会場だ。だからこんな無理を聞いて貰っている。

 前代未聞の花嫁5人の結婚式。元の世界でもこんな結婚式が存在していたかは知らない。こっちの世界だともっとありえないだろう。


 しずくたち後から現れた花嫁が俺と陽菜が座っているテーブルにこっそりと置いてあった4つの椅子に腰かける。


『新婦が4人増えたところで、6人の来し方を振り返らせて貰います』

 映像が再開されてみおのナレーションが再び始まる。俺がみおの顔をちらりと見るとニコッと笑って「任せておいて」と口が動く。

 いつでもみおに助けてもらっている気がする。


『4人の花嫁は多々良恭介がこちらの世界に来てから出会いました。最初は恭介から見ると貞操逆転してて肉食な彼女たちに戸惑いもあったそうです』

 出会った頃から4人と俺が惹かれあっていくまでの物語が写真や動画で綴らえる。一番のクライマックスはみんなで参加した竜王旗剣道大会。


 そういえばあの剣道大会の動画は、トップアイドルのυ's(ユーズ)のゆうきが剣道大会で優勝している動画として再度バズったりしている。そんな動画の中で足を引きずりながら奮戦するひよりや、強敵である石動さんに立ち向かっていくのどかや、みお、みんなをフォローするしずくの姿が映し出される。最後に陽菜の応援と俺の勝利。

 友人のテーブルに座っている()()()()()()()はニヤリと不敵に笑っている。


『しかし、恭介が選んだのは陽菜1人でした。4人は2人の幸せを見守ることを誓い、諦めたはずでした』

 会場のみんなが息をのむ。なのになぜ今花嫁が5人並んでいるのか。

『陽菜と結ばれた恭介ですが、この世界と元々いた貞操逆転世界のギャップに疲れ心をすり減らしていました。自分の元々の世界と違う世界に暮らすことは精神的に想像できないほどのストレスでした。そんなストレスの中、この世界を拒絶して陽菜1人に依存してしまいます』


 みんなの視線が痛いがこれは事実だから受け入れる。今はみんなのおかげで前を向けるから。

『そんな恭介を救ったのは元の世界からの幼馴染であり恋人でもある陽菜と、こちらの世界で出会った4人の女の子でした。恭介は自分が本当の意味でこの世界に受け入れられ愛されていることを知り、再び立ち上がることが出来ました』

 その場面で俺は立ち上がりマイクを握る。会場にいる親しい人たちに理解してもらうために。


「俺は彼女たちに愛されて本当の意味でこの世界に受け入れられたと信じることが出来ました。

 きっと彼女たちがいなければ……もしも誰か1人でも欠けていれば今の俺はここにこうして元気に立っていることはできなかったと思います。俺は陽菜と結婚しました。

 でもこの4人のことも心の底から愛しています。5人もお嫁さんを貰うなんて非常識この上ないと思いますけど、俺達のことを応援して貰えると本当に幸せです。よろしくお願いします」

 深々と頭を下げる。みんなが理解してくれるまでいつまででも頭を下げ続ける覚悟だ。




『……とまあ、こんな風に言ってくれてますがあーしたちが恭っちのことを好きなだけだから! 誰がなんて言おうがあーしたちは一生一緒だから』


『死がふたりを分かつまでというが、私たち5人は恭介と一緒に最後の1人になるまで、いや最後の1人になってもこの思いを貫くだろう』


『恭介さんとだったら……いや、恭介さんとじゃないと私たちは幸せになれないからみんなで幸せになります』


『きょーちん、まるはきょーちんと結婚できて幸せなんだよ。みんなと一緒が一番楽しいんだよ』


『恭介くん、私もみんなも恭介くんのことを愛してるんだから。一人で難しく考えないでみんなで幸せになろうね』


 それまでみおの真面目なナレーションだったのに俺がマイクで話し終わるのを待っていたかのように一人一人が映像の中から俺に話しかけてくる。


 こんな演出聞いてないんだけど……?


 芥川を見ると下を向いて肩を震わせている。みお? みおの方見るとみんなが椅子から立ち上がっていた。

「「「「「こんな私たちですが6人で幸せになります。よろしくおねがいします」」」」」


 頭を下げる5人の花嫁に会場のみんなから割れんばかりの拍手。受け入れてもらえたのは嬉しいけど、何これ? どうなってるの?

「恭介さんって本当にたくさんの人から愛されてるよね」

()()()()()というのを仕掛ける側に回ったのは初めてだが面白いものだな」

「きょーちん凄くびっくりした顔してるんだよ」

「まあ、根回しもサプライズもあーしの得意分野だから」

「恭介くん以外の出席してくれてるみんなも全員最初から理解してくれてたんだよ。流石に結婚式でいきなり入れ替わりの告白されたらみんなびっくりしちゃうから」


 そこからは驚きと喜びで泣き笑いになっちゃった俺を結婚式場まで引っ張って、さちえさんがさっきまで牧師さんが立っていた場所に立ち人前式で改めて5人と愛を誓い合った。


 和気あいあいとして緊張感は足りなかったかもしれないけど本当に幸せな結婚式だった。

 って、さちえさん!? 天使のコスプレだから許すけど本当は花嫁以外が白いドレスを着るのはマナー違反だから。その天使の羽と頭の輪っかをとってベールを乗っけたら6人目の花嫁とか言い出せちゃいそうだよね?


 心愛ちゃん!? 「5人も6人も一緒だよねぇ、恭にぃ」じゃないから!

 石動さん!? 「夜の団体戦なら負けない」って……石川さんから聞いてるけどまだ処女でしょ?

 ゆかり部長!? なんで真っ赤な顔してモジモジしてるんですか? せめてなんか言ってくれないとツッコめないんですけど!


 5束のブーケトスがほとんど未婚の女の子にわたるなか、陽菜の1束を全力で取り合うちさと先生とみなも刑事の姿もあった。


 感動的な結婚式だったはずだけど……いや、俺は今でも感動してるんだけど。なんでこんなにバタバタしちゃうんだろう。


 俺の隣に陽菜が寄り添うようにして腕を絡めてくる。

「恭介くん、これだけの人に受け入れてもらえて愛されてるんだよ。私たちは本当に幸せだね。これからもずっと一緒だから……愛しているよ恭介くん」

 潤んだ瞳で見上げてくるので思わす唇を重ねてしまう。


「あっ、陽菜ちんズルい。まるもまるも」

「平等とは言わないが、今夜は私のことも世界で一番幸せにしてくれよ、恭介」

「結婚初夜かぁ……新妻5人と同時にエッチなんてさすがの恭っちも今夜は枯れ果てそうだね」

「この流れだとやっぱり私だけいい子にしちゃうのはちょっと……今夜は私のことも可愛がってね恭介さん」

 みんなが俺の元につめ寄ってくる。


「きょっ」

「「「「きょっ?」」」」

「恭介くんとみんなで幸せになるんだからね」

 そう言って俺と一緒に両手を広げる陽菜。4人の花嫁が飛び込んでくる。世界が違うとかそんなことは関係ない。みんなで抱きしめ合って一つになる。


 これからも俺達の幸せは続いていく。そんな風に思える最高の結婚式だった。

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なぜこの結婚式が番外編なのか……理由は途中に挟むには()()()()()()から。

そしてもしこの結婚式が最終回だと最初の最終回の焼き直しになるから番外編なのです。

 お楽しみいただければ幸いです。

明日からは10話の続きの物語、元の世界でのヒナの物語が始まります。

作品が少しでも読んで貰えるように応援をいただけると嬉しく思います。


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