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第29話 そのおちんちんは恭ちゃんのおちんちん (陽菜回想)

 私は日記をつけている。

 本当は小学生の頃からずっと日記をつけているのだけど日記として手元にあるのは中学生になってすぐの頃に心臓移植をしてからのものだけだ。

 小学校時代のものは一度なくしてしまって思い出せることだけでも書いて(複製して)みたものだ。


 いや、本当は分かっている。私は心臓移植の麻酔から目覚めた時から()()()()で生きているんだ。


 最初におかしいと思ったのは麻酔から覚めて恭ちゃんから貰ったアメジストのペンダントを渡して欲しいってお願いした時だった。お母さんに「生きて目覚めることが出来たらペンダントをつけたい」ってお願いして病院にも特別に目覚めた直後からつけていいという許可まで貰っていた。

 絶対に生きて帰ってまたペンダントをつけるんだと必死に生にしがみついたつもりだったけど「ペンダント? 知らないわよ」というお母さんの不思議そうな返事に私の心は壊れそうだった。


 最初はお母さんがイジワルしようとしているのかと疑ったくらいだったが、どう見ても本当に知らないと不思議そうな顔をしているから本当にペンダントはないんだと分かって私は号泣した。

 戸惑っていたお母さんたちの顔が今でも忘れられない。私が手術の影響で頭がおかしくなったと思われていそうなくらいだった。


 最初の衝撃から立ち直ると次に恭ちゃんが別人になっていることに気付いた。いや、顔や声はほとんど同じなのだ。けどそこにある表情は私に対する怯え。


 私のことを好きでいてくれる恭ちゃんは()()()()のどこにもいなかった。

 せめて思い出にすがりたいと思っても、あれだけ毎日書いて恭ちゃんのことを綴っていた私の日記も部屋のどこにもなかった。

 日記帳が一冊埋まるたびに大事に本棚に並べていたのにそこにあったのは一冊のアルバムだった。


「ひっ!?」

 アルバムを開くとそこにはおちんちんの写真が沢山あった。一人の男の子のおちんちんの写真。まじまじと見たわけではないがその男の子が誰かは私には一目で分かっていた。

 小学校のころまで何度も一緒にお風呂に入っていた男の子だったから。


 そのおちんちんは恭ちゃんのおちんちんだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] おち◯ちんのインパクトが強かったですが、目覚めた直後の陽菜の絶望もすごかっただろうなと思うなど…。
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